解釈ガイド
バーンアウト診断はどこまで正確? 燃え尽き尺度の信頼性と結果が変わる理由
バーンアウト診断の点数はどこまで信頼できる?燃え尽き尺度の信頼性と限界、燃え尽きが診断名ではないため検査ごとに基準が違う理由、点数が変わるわけと結果の読み方をまとめました。
バーンアウト診断の点数は信じていい?
バーンアウト診断で仕事に関連した燃え尽きが54点、「燃え尽き度 中程度」と出たのに、休暇のあとにもう一度受けたら46点で「燃え尽き度 低め」だった、あるいは会社で受けた別の燃え尽きの検査では問題なしと言われた、という話はよくあります。そうなると「どちらが正しいの?」「バーンアウト診断は信頼できるの?」と気になりますよね。
結論から言うと、mind.ioが使うコペンハーゲン・バーンアウト尺度(CBI)は、疲れの度合いをかなり一貫して測る尺度です。デンマークの対人援助職の調査では、質問どうしがどれだけそろって動くかを見る内的一貫性が個人的な燃え尽き、仕事に関連した燃え尽きともに.87でした(Borritz & Kristensen, 2004)。ただし世界保健機関(WHO)は燃え尽きを病気ではなく職業上の現象に分類しているため(WHO, 2019)、点数を照らし合わせる国際的に合意された診断基準がありません。そのため検査ごとに何を燃え尽きとみなし、どこで区切るかが違い、結果が食い違うこともあり、点数は最近の仕事と休み方につれて動くのが自然です。
このガイドでは、診断基準のない検査の正確さをどう判断するか、CBIが研究でどれだけ信頼できたか、検査によって燃え尽きの判定が違う理由、受け直すと点数が動く理由、燃え尽きの点数が見落としやすいもの、結果の読み方と使い方を順にまとめました。mind.ioのバーンアウト診断の点数がほかの人と比べてどのあたりかは燃え尽きの平均点で、燃え尽きがどんな形で現れるかは燃え尽き症候群の症状で、うつ病との違いは燃え尽き症候群とうつ病の違いで扱っています。
正解のない検査:信頼性と妥当性で見ます
心理検査の正確さは、ふつう二つの面から判断します。信頼性は、質問どうしがそろって動くか(内的一貫性)、短い間隔でもう一度測ったときに似た結果が出るか(再検査信頼性)を指します。妥当性は、その検査が測ろうとしているものを実際に測っているか、点数がほかの測定やその後の出来事と意味のある形でつながるかを指します。
うつや不安のセルフチェックは、さらに一つ加えます。専門家の診断面接と比べて、実際に当てはまる人をどれだけ見つけ(感度)、当てはまらない人をどれだけ除外できるか(特異度)を調べるのです。燃え尽きの検査の多くは、それができません。世界保健機関はICD-11に燃え尽きを職業上の現象として入れましたが、医学的な状態としては分類せず、この言葉は仕事の文脈にだけ使うよう定めました(WHO, 2019)。五つの燃え尽きの質問票を検討した研究者も、質問票の感度と特異度を評価できるよう、燃え尽きの診断基準を作ることが優先課題だとしています(Shoman ほか, 2021)。定義も一つではありません。文献で見つかった88の定義を整理し、29か国の専門家50人にたずねた研究では、82%が「働く人が仕事に関連した問題に長くさらされて生じた、心と体の消耗」という定義に同意しました(Guseva Canu ほか, 2021)。
とはいえ、どこでも診断されないわけではありません。スウェーデンには国の保健福祉庁が基準を定めた「消耗症(exhaustion disorder)」という診断があり(Hadžibajramović ほか, 2026)、オランダでは産業医が医師会の指針に沿って面接し、燃え尽きを診断します(Schaufeli ほか, 2023)。研究者は、一部のヨーロッパの国で燃え尽きが職業病として認められているとも紹介しています(Schaufeli ほか, 2023)。一方、日本では2020年の研究の時点で、正式な診断名として認められていませんでした(Sakakibara ほか, 2020)。こうした診断と点数を比べた研究は、後で扱うバーンアウト評価ツール(BAT)とマスラック・バーンアウト尺度(MBI)から出ていて、mind.ioが使うCBIで行われた研究は今回見つけられませんでした。
つまり燃え尽きの検査の正確さは、四つの問いで確かめられます。質問が同じものを指しているか、短い間隔で測り直しても似た結果になるか、点数が疲れや病欠のように関係しているはずのものとつながるか、そして一部の検査に限っては、診断を受けた人をどれだけ見分けられるか、です。mind.ioは自社のバーンアウト診断について、こうした調査を独自に行ったことはありません。このガイドの数字は研究から得られたもので、mind.ioの点数がどれだけ動くかはmind.ioの採点方法から計算した値です。
コペンハーゲン・バーンアウト尺度(CBI)はどこまで信頼できる?
CBIは、デンマーク国立労働衛生研究所の研究者が作った公開の尺度です。対人援助の分野で働く人を追跡したPUMA研究の中で作られ、個人的な燃え尽き、仕事に関連した燃え尽き、クライアントに関連した燃え尽きの三つの尺度からなります。開発論文は、三つの尺度とも内的一貫性が非常に高く、職種によって点数がはっきり分かれ、その後の病欠、睡眠の問題、鎮痛薬の使用、離職の意向を予測したと報告しています(Kristensen ほか, 2005, 要旨による)。研究者が公開した資料によると、PUMA研究での内的一貫性は、個人的な燃え尽き.87、仕事に関連した燃え尽き.87、クライアントに関連した燃え尽き.85で、20〜59歳のデンマークの成人を代表するよう選んだ1,498人のサンプルでは、個人的な燃え尽きの尺度の内的一貫性が.80でした(Borritz & Kristensen, 2004)。3年間の追跡研究では、仕事に関連した燃え尽きの点数がもっとも低い4分の1が自己申告した病欠は年平均5.4日、もっとも高い4分の1は13.6日でした(Borritz ほか, 2006, 要旨による)。
研究を検討する側の評価は、もう少し慎重です。五つの燃え尽きの質問票を同じ基準で評価した系統的レビューでは、CBIがもっとも妥当に見えましたが、著者らはその理由がおもに内容的妥当性、つまり質問が燃え尽きの中心をよくとらえている点にあると述べています。CBIの検証は開発者による一つの研究(非常に包括的なものではありました)で行われたもので、再検査信頼性、測定誤差、構造についての根拠の質は非常に低いと評価されました。著者らは、内容的妥当性以外の根拠は、CBIをもっともよい尺度として勧めるにはまだ足りないとし、翻訳版は別に検証する必要があるとも指摘しています(Shoman ほか, 2021)。原版では、三つの尺度の点数どうしが.46〜.75ほどとかなり強く結びついていました(Kristensen ほか, 2005, INRS, 2014の要約による)。
国ごとの研究もあります。韓国では、全国から確率抽出した高齢者の訪問介護職464人に研究者が訳した韓国語版CBIを実施したところ、もとの三つの尺度の構造はあまりよく当てはまりませんでした。逆に採点する唯一の質問「家族や友人と過ごすための元気」がほかの質問とほとんど連動せず、この質問を除くなどモデルを調整してようやく受け入れられる水準になり、その後の尺度ごとの構成信頼性は.90〜.92でした。仕事に関連した燃え尽きはほかの二つの尺度と.85を超えて結びつき、切り分けるのが難しい結果でした(Jeon ほか, 2019)。事務職345人で韓国語版バーンアウト評価ツール(K-BAT)を確かめた予備研究では、四つの下位尺度の内的一貫性が.84〜.91でした(Cho, 2020)。日本については、CBIの日本語訳があるという記録はあるものの(INRS, 2014)、その信頼性を検証した研究は今回見つけられませんでした。代わりに、会社員982人に実施したバーンアウト評価ツール日本語版(BAT-J)では、中核症状の尺度の内的一貫性が.96でした(Sakakibara ほか, 2020)。フランス国立労働安全衛生研究所(INRS)の2014年のまとめの時点で、フランス語版は三つの尺度のうち個人的な燃え尽きとクライアントに関連した燃え尽きの二つだけを訳した部分版で、病院の医師と薬剤師の調査で内的一貫性は.88と.85でした(Doppia ほか, 2011, INRS, 2014の要約による)。INRSは、仕事に関連した燃え尽きの尺度も含めてフランス語版の検証を続ける必要があり、まとめた時点ではフランスの基準値(ノルム)がなかったと記しています(INRS, 2014)。
mind.ioのバーンアウト診断は、CBIの個人的な燃え尽き6問と仕事に関連した燃え尽き7問を使い、原版どおり回答に100・75・50・25・0点を与えて尺度ごとに平均を出します。英語の設問は発表された文言に従っていますが、韓国語・日本語・フランス語の設問はmind.ioが訳したもので、上の研究の翻訳版ではなく、別に検証されてもいません。そのため、これらの数字は研究用の尺度についてのもので、mind.ioの結果がどれだけ正確かを示す数字ではありません。
検査によって燃え尽きの判定が違う理由
「バーンアウト診断」という名前が同じでも、たずねている内容は違います。CBIは疲れと消耗を燃え尽きの中心とみなし、開発者は、燃え尽きはただの疲れではなく、その疲れを仕事のような特定の領域のせいだと感じることだと説明しました(Kristensen ほか, 2005, Guseva Canu ほか, 2021の要約による)。マスラック・バーンアウト尺度(MBI)は、情緒的消耗感、脱人格化(冷笑)、個人的達成感の低下の三つの点数を別々に出し、BATの研究者によると燃え尽きの論文の88%で使われたと推定されています(Schaufeli ほか, 2020)。バーンアウト評価ツール(BAT)は、消耗、仕事から心が離れること、考えを調整しにくいこと、感情を調整しにくいことの四つの中心的な症状をあわせて測ります。これらの症状は燃え尽き症候群の症状にまとめました。
どこで区切るかも違います。医師の燃え尽きの有病率を扱った182の研究(45か国、10万9,628人)を検討した研究では、85.7%がMBIのいずれかの版を使っていたのに、燃え尽きの定義のしかたは少なくとも142通りあり、燃え尽き全体の割合は研究によって0%から80.5%まで違いました(Rotenstein ほか, 2018, 要旨による)。同じ人に二つの検査を受けてもらった研究もあります。カナダの救急医と研修医147人では、CBIの全体平均50点以上が44.2%、MBIの単一項目による基準が44.9%と割合はほぼ同じでしたが、21.1%は二つの検査で違う分類になりました。35歳未満ではこの割合が30.2%でした(Li ほか, 2024)。
MBIを診断に使うことには限界が報告されています。MBIのマニュアルは、三つの点数を合わせて一つの燃え尽きの点数にしないよう案内しています(Schaufeli ほか, 2020の要約による)。84の研究の信頼性係数を集めたメタ分析では、三つの尺度の平均はおおむね.70〜.80で、個人的達成感と脱人格化の尺度は、燃え尽きの診断のような重要な判断に使うには推奨水準を大きく下回っていました(Wheeler ほか, 2011, 要旨による)。仕事に関連した心の問題を治療するオランダの機関の外来患者419人では、構造化面接で決めた診断(燃え尽きの代わりに使われた「鑑別不能型身体表現性障害」)と比べたとき、もっともよい区切りでも感度78%、特異度48%にとどまり、研究者はMBIだけで診断すると燃え尽きを多く診断しすぎるおそれがあると述べました(Kleijweg ほか, 2013, 要旨による)。フランスのINRSも、フランス語版MBIは正式に出版された検査ではないため、個人を診断する臨床の用途には使えないとまとめています(INRS, 2022)。
診断を受けた人と比べて区切りまで定めた検査がBATです。オランダ、ベルギーのフランデレン地域、フィンランドで、働く人の代表サンプル(過去5年以内に燃え尽きの治療を受けた人は除く)と燃え尽きの診断を受けた従業員を比べた研究では、23問のBATの合計点が二つの集団を分ける度合い(AUC)は.91でした。三か国のデータを合わせて定めた「重度」の区切りは、診断を受けた人の74%を見つけ、そうでない人の91%を除外し、「リスクあり」の区切りでは92%と79%でした。ただし、仕事から心が離れる度合いをたずねる下位尺度は「重度」の区切りで診断を受けた人の30%しか見つけられず、著者らは診断が評価者のあいだでどれだけ一致していたかを確かめられなかったと記し、これらの区切りを暫定的に使うよう述べています(Schaufeli ほか, 2023)。消耗症の診断を受けたと答えた159人と働く人の代表サンプルを比べたスウェーデンの研究では、AUCは.92、「重度」の区切りの感度69%、特異度91%で、スウェーデンの区切りはほかの三か国より少し低めでした(Hadžibajramović ほか, 2026)。どちらの研究も、診断を受けた人と、過去5年以内に燃え尽きやストレスで治療を受けていない働く人を比べた結果です。こうした設計が示すのは、診断のはっきりした人とはっきり当てはまらない人を分ける力なので、境目の近くにいる人も含まれる働く人全体にそのまま当てはめることはできない、というのがmind.ioの解釈です。
CBIにはこうした研究がありません。今回見つけた範囲では、CBIの点数を診断と比べて区切りを定めた研究はなく、50点は研究で使われる慣例です。CBIの開発者の資料は50点以上を「高い燃え尽き」と定義しており(Borritz & Kristensen, 2004)、50〜74点を中程度、75〜99点を高い、100点を重度と分けた研究もあります(Creedy ほか, 2017)。mind.ioも50点未満を「燃え尽き度 低め」、50〜74点を「燃え尽き度 中程度」、75点以上を「燃え尽き度 高め」と分けていますが、診断基準ではなく、結果を読むための目盛りです。研究で50点以上がどれくらいよく見られたかは燃え尽きの平均点にまとめました。
点数が動く理由:最近の仕事と休み、そして回答ひとつ
燃え尽きの点数は、生まれつきの性格ではなく今の状態を測ります。CBIが作られたPUMA研究でも、時間がたつにつれて燃え尽きの水準が変わった職員はかなりの割合にのぼり(Kristensen ほか, 2005, 要旨による)、3年のあいだの燃え尽きの点数の変化は、病欠の日数の変化と連動していました(Borritz ほか, 2006, 要旨による)。スウェーデンの研究者も、燃え尽きの症状は時間とともに上下すると述べています(Hadžibajramović ほか, 2026)。またCBIの質問には、PHQ-9やGAD-7の「この2週間」のような期間の指定がないため、どの時期を思い浮かべて答えるかで答えが変わりえます。mind.ioは、今日一日よりここ数週間を思い浮かべて答えるよう案内し、今働いていない人には、仕事についての質問を学業や介護・子育てのように最近いちばん時間を使っている役割に置きかえて答えるよう案内しています。
短い間隔で測り直した研究は多くありません。バーンアウト評価ツール日本語版に1か月の間隔で2回答えた会社員485人では、二つの点数の相関は中核症状が.64、二次的な症状が.71でした(Sakakibara ほか, 2020)。香港の対人援助職を調べたCBI中国語版では4か月の間隔で.60〜.63(Fong ほか, 2014, INRS, 2014の要約による)、MBIは2〜4週間の間隔で測り直した53人で、情緒的消耗感.82、脱人格化.60、個人的達成感.80でした(Maslach & Jackson, 1986, INRS, 2022の要約による)。仕事が変われば一緒に変わる状態を測る検査なら、点数がある程度変わるのは自然なことです。ただしその一部は測定の誤差かもしれず、CBIで何点変われば意味のある変化といえるかを定めた研究は、今回見つけられませんでした。
mind.ioでは、回答ひとつで区分が変わることがあります。個人的な燃え尽きは6問の平均なので、回答を一段階変えると点数は4〜5点、仕事に関連した燃え尽きは7問の平均なので3〜4点動きます。計算すると、どちらの尺度でも46点と50点、71点と75点は回答ひとつの差です。そのため46点「燃え尽き度 低め」と50点「燃え尽き度 中程度」、71点「燃え尽き度 中程度」と75点「燃え尽き度 高め」は、一問だけ違う答えをしても分かれます。すべての質問で「ときどき」や「ある程度そう感じる」を選ぶと、二つの尺度とも50点で「燃え尽き度 中程度」になります。結果の見出しには二つの尺度のうち高いほうの区分が使われ、どちらかの尺度が75点以上なら、結果の画面は相談先を先に表示します。点数が区分の境目の近くだという案内は特にないので、区分の名前より点数を見てください。同じブラウザに前回の結果があれば、結果の画面は何点変わったかを示しながら、燃え尽きのスコアは最近の仕事量や休息の状態によって自然に上下すると案内します。
特に注意して読みたい質問が一つあります。仕事に関連した燃え尽きの「余暇に、家族や友人と過ごすための元気が十分に残っていますか?」は、肯定的に書かれた唯一の質問なので、逆に採点します(「いつも」なら0点)。先の韓国の研究ではこの質問がほかの質問と連動せず除く必要があり、研究者は回答者が内容をよく見ずにほかの質問と同じように答えた可能性があるとみています(Jeon ほか, 2019)。この質問では、前の回答の印象に引きずられるハロー効果が出るかもしれないという報告もあります(Campos ほか, 2013;Yeh ほか, 2007, INRS, 2014の要約による)。計算すると、13問すべてに「いつも」や「とても強くそう感じる」を選んだ場合、仕事に関連した燃え尽きは100点ではなく86点になります。またCBIの案内資料は、質問を資料に載っている順番のまま並べないようにとし、決まった答え方のパターンを避けるため、ほかのテーマの質問と混ぜてもよいとしていますが(Borritz & Kristensen, 2004)、mind.ioは13問をもとの順番のまま続けて表示しています。
燃え尽きの点数が見落としやすいもの
CBIは燃え尽きを主に消耗感として測ります。バーンアウト評価ツールを作った研究者は、CBIを燃え尽きを消耗ひとつに絞った質問票に分類しました(Schaufeli ほか, 2020)。そのため、仕事から心が離れているか、集中や感情のコントロールが以前どおりかは、点数にほとんど表れません。こうした変化は燃え尽き症候群の症状に照らして別に見てください。二つの尺度もかなり重なります。台湾の2社の従業員384人の研究では、個人的な燃え尽きと仕事に関連した燃え尽きの相関が高く、重なる概念を測っているように見え(Yeh ほか, 2007, 要旨による)、韓国の研究でも仕事に関連した燃え尽きはほかの尺度と.85を超えて結びついていました(Jeon ほか, 2019)。二つの尺度が15点以上離れたときにmind.ioの結果の画面がどちらが高いかを示すのは、mind.ioが決めた読み方の手がかりで、CBIのルールではありません。
うつや不安とも大きく重なります。67の研究、8万4,169人のデータをまとめたメタ分析では、燃え尽きとうつの相関は.52、34の研究、4万751人では燃え尽きと不安の相関は.46で、著者らは両者は深く関係しているものの、同じ概念とみなすほどには重ならないと結論づけました(Koutsimani ほか, 2019)。一方、92の研究を検討した別の研究者は、燃え尽きとうつ病の区別は概念的にもろく、根拠も一貫していないとまとめています(Bianchi ほか, 2015, 要旨による)。韓国の研究でも、CBIの三つの尺度はいずれもうつ症状と関連していました(Jeon ほか, 2019)。ですから、燃え尽きの点数でうつ病を見分けることはできません。気分が沈んだり興味が薄れたりしているなら、うつのセルフチェック(PHQ-9)もあわせて受けてみてください。このチェックも診断ではなく、その点数の読み方はうつ病セルフチェックの正確さにまとめました。二つの状態の違いは燃え尽き症候群とうつ病の違いで詳しく扱っています。
体の問題も疲れを大きくします。似た疲れは、貧血や甲状腺の問題のような体の病気や、睡眠の問題からも来ます。疲れが長引くなら燃え尽きのせいだけにせず、受診してほかの原因も確かめてください。個人的な燃え尽きは原因にかかわらずどれだけ疲れているかをたずねるので、介護や子育て、病気、生活の大きな変化のような仕事以外の負担も点数を押し上げます。
会社で一斉に燃え尽きの検査を行うなら、結果の使い方も確かめておきたいところです。BATの研究者は、個人の点数は本人にだけ伝え、会社にはまとめた結果だけを報告するよう勧めています(Schaufeli ほか, 2023)。燃え尽きの点数は、採用や人事評価に使う道具ではありません。
結果の読み方と使い方
第一に、二つの尺度を別々に見て、点数が50点と75点からどれだけ離れているかを確かめてください。46点と50点は回答ひとつの差なので、区分の名前より数字のほうが多くを教えてくれます。
第二に、ほかの人と比べたいなら燃え尽きの平均点を見てください。デンマークの成人を代表するよう選んだサンプルの個人的な燃え尽きの平均は32.7点でした(Borritz & Kristensen, 2004)。訳や調査の時期、職種が違うので、おおまかな目安としてだけ使ってください。
第三に、休暇や仕事量の調整のあと、2〜4週間ほどの間隔をあけて、似た状況で受け直してみてください。睡眠、仕事の量、休みがどう変わったかをメモしておくと、点数が動いた理由がわかりやすくなります。一度の数点の差より、何回かを通した方向を見てください。
第四に、どちらかの尺度が75点以上のとき、50点以上の状態が何週間も続くとき、睡眠や食事、日々の暮らしが揺らいでいるときは、一人で抱え込まず、信頼できる人や職場の相談窓口(EAP)、産業保健スタッフ、かかりつけの医師に話してみてください。仕事の量と回復のバランスを立て直す順番は燃え尽きからの回復にまとめました。
こんな使い方はしないでください。燃え尽きの点数だけで自分やほかの人を判定したり、点数が低いからと疲れた気持ちを無視したり、「燃え尽きだからうつ病ではない」と決めつけたりしないでください。燃え尽きの点数は、最近どれだけ疲れているかを示す目盛りであって、判決ではありません。
バーンアウト診断の正確さについてよくある質問
Q. バーンアウト診断は信頼できますか? A. 研究用のCBIは、質問どうしがかなり一貫して動きます。デンマークの対人援助職の調査で内的一貫性は個人的な燃え尽き、仕事に関連した燃え尽きともに.87で(Borritz & Kristensen, 2004)、五つの燃え尽きの質問票を比べたレビューでは、おもに内容的妥当性のおかげでもっとも妥当に見えましたが、著者らはもっともよい尺度として勧めるには根拠がまだ足りないとしています。再検査信頼性の根拠もまだ弱く(Shoman ほか, 2021)、燃え尽きには照らし合わせる国際的に合意された診断基準がありません。mind.ioの日本語の設問は別に検証されていないので、今の状態をおおまかに知る目安として使ってください。
Q. 50点や75点を超えたら燃え尽き症候群ですか? A. そうとは言い切れません。50点以上を「高い燃え尽き」とするのはCBIの研究上の慣例で(Borritz & Kristensen, 2004)、75点でもう一度区切る研究もありますが(Creedy ほか, 2017)、CBIの点数を診断と比べて定めた区切りは今回見つけられませんでした。どちらかの尺度が75点以上なら、mind.ioの結果の画面が相談先を先に表示します。
Q. ほかのサイトのバーンアウト診断と結果が違います。 A. 検査ごとに燃え尽きの定義のしかたと区切りが違うからです。医師を調べた研究だけでも定義は少なくとも142通りあり(Rotenstein ほか, 2018, 要旨による)、カナダの救急医と研修医147人にCBIとMBIの単一項目を受けてもらうと、21.1%が違う分類になりました(Li ほか, 2024)。CBIはおもに消耗感を測り、ほかの検査は冷笑や集中のしにくさまでたずねることもあります。
Q. 前回と点数が違います。どちらが正しいのですか? A. どちらも、その時点の状態を反映した点数です。燃え尽きは仕事と休み方によって変わる状態なので、バーンアウト評価ツール日本語版でも1か月後に測り直したときの相関は.64でした(Sakakibara ほか, 2020)。mind.ioでは、回答がひとつ変わるだけで点数が3〜5点動きます。そのあいだに仕事の量や睡眠、休みがどう変わったかとあわせて、何回かを通した方向を見てください。
Q. MBIやBATで測ったほうが正確ですか? A. だれにでも合う正解の検査はありません。MBIは燃え尽きの研究で多く使われてきましたが、診断に使うには限界が報告されています(Wheeler ほか, 2011, 要旨による;Kleijweg ほか, 2013, 要旨による)。BATは診断を受けた人と比べて区切りを定めましたが、著者ら自身が暫定的だとしています(Schaufeli ほか, 2023)。CBIは消耗感に焦点を当てた公開の尺度です。検査ごとにたずねていることが違うと知ったうえで読むことが大切です。
Q. 燃え尽き症候群は病院で診断してもらえますか? A. 世界保健機関は燃え尽きを医学的な状態ではなく職業上の現象に分類しています(WHO, 2019)。スウェーデンの消耗症やオランダの産業医による燃え尽きの診断のように、国によっては診断するところもありますが(Hadžibajramović ほか, 2026;Schaufeli ほか, 2023)、日本では正式な診断名ではありませんでした(Sakakibara ほか, 2020)。診察では、点数より症状全体を見て、うつ病や体の病気のようなほかの原因もあわせて確かめます。
Q. 燃え尽きの点数でうつ病もわかりますか? A. いいえ。研究をまとめると燃え尽きとうつの相関は.52で、深く絡み合っていますが、同じ概念とみなすほどには重なっていませんでした(Koutsimani ほか, 2019)。気分の落ち込みが2週間以上続いているなら、うつのセルフチェック(PHQ-9)も受けてみてください。どちらのチェックも診断ではありません。
Q. どんなときに助けを求めればいい? A. 落ち込みが長く続くなら、専門家に相談してください。自分を傷つけたい気持ちがあるなら、燃え尽きではなく心の危機として、すぐに相談窓口(よりそいホットライン 0120-279-338、24時間・無料)に助けを求めてください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。
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