データガイド
HSPの割合:繊細な人は何パーセント?韓国と米国の研究で見る感受性の3グループ
繊細な人(HSP)は何%?韓国の成人1,773人の研究では高感受性グループが32.7%、米国の大学生では29.2%でした。割合が研究で違う理由と結果の読み方をまとめました。
HSPの割合、繊細な人は何パーセント?
HSP(Highly Sensitive Person、とても繊細な人)は、心理学者のエレイン・アーロンとアーサー・アーロンが研究で紹介した概念です。研究では感覚処理感受性と呼ばれ、音や光などの刺激や周りの微妙な変化を、より深く細やかに処理する気質と説明されます。mind.ioのHSP診断も、この気質を3つの領域に分けて見ていきます。
ところが、HSPの割合は資料によって違います。エレイン・アーロンは長く15〜20%と紹介してきましたが(Aron, 1996)、いまのアーロンのHSP案内サイト(hsperson.com)には20〜30%とあります。人を低・中・高の3グループに分けた近年の研究では高感受性グループがおよそ30%で、韓国の成人1,773人を調べた研究では32.7%でした。
数字が違うのは、感受性が「ある・ない」で分かれる特性ではなく、身長のように高い人から低い人まで連続している特性で、どこからを「高い」と呼ぶかで割合が変わるからです。このガイドでは、研究ごとの数字と年齢による違い、数字が変わる理由、そして自分の結果を読むときに覚えておきたいことをまとめます。
タンポポ・チューリップ・ラン:3つのグループを見つけた研究
長いあいだ、HSPは「繊細な少数派」と「それ以外」の2グループで語られてきました。リオネッティら(Lionetti et al., 2018)は、米国ストーニーブルック大学で心理学の授業を受ける学部生906人(分析は901人、平均19.2歳)が答えた27項目のHSP尺度(1〜7点)を潜在クラス分析で調べました。潜在クラス分析は、回答のパターンが似た人どうしがいくつのグループにまとまるかを、データから見つける方法です。
結果は2グループではなく3グループでした。全体のサンプルで低感受性グループが30.5%、中間グループが40.3%、高感受性グループが29.2%でした。論文の要旨には低29%、高31%と表とは逆に書かれていて、著者たちはおよそ30%・40%・30%とまとめています。研究チームは、環境にあまり左右されない低いグループをタンポポ、中間をチューリップ、高いグループをランにたとえました。
グループの境目は27項目の平均で3.71点と4.66点でした。研究チームは、感受性そのものは連続していて正規分布に近い特性だが、その連続線の上で人は3つのまとまりに分かれると解釈しています。別のサンプルでは、ランのグループは情緒の敏感さ(神経症傾向)が高く外向性が低く、気分を明るくする実験でもより大きく反応しました。
韓国の成人1,773人:高感受性32.7%
ヤン・ウォニョンとクォン・ミジ(Yang & Kwon, 2024)は、2023年12月にSNSで告知したGoogleフォームのアンケートで、20代から80代の韓国の成人1,773人(女性929人、男性844人)に同じ27項目のHSP尺度を実施しました。参加者には謝礼が支払われています。
潜在クラス分析の結果、低感受性グループが22.0%、中間グループが45.3%、高感受性グループが32.7%でした。米国の大学生の研究より低いグループが小さく、中間と高いグループが少し大きくなっています。境目は27項目の平均で3.81点と4.73点で、米国の研究の3.71点、4.66点より少し高めでした。
年代別では、20〜30代が16.9%・50.5%・32.6%、40〜50代が23.8%・45.0%・31.2%で、高感受性グループはどちらの年代でも約3分の1でした。60〜80代は3グループではなく2グループ(38.0%、62.0%)にしか分かれなかったため、ほかの年代とそのまま比べることはできません。研究チームは、年齢や文化によって基準点が変わりうるため、さらに調査が必要だと付け加えています。
国や年齢で見るほかの研究
子ども・若者向けの12項目の尺度をつくったプルース(Pluess et al., 2018)は、英国の8〜19歳の子ども・若者(論文全体で3,581人)を対象にした研究でも3グループを見つけました。グループの分析はそのうち一部のサンプルで行われ、要旨によるとサンプルによって低いグループはおよそ25〜35%、中間は41〜47%、高いグループは20〜35%でした。
一方、ポーランドの10〜14歳の小学生928人を調べた研究(Baryła-Matejczuk et al., 2022)では、低いグループが41.8%でいちばん大きく、中間が20.5%、高いグループが37.7%でした。研究チームもこの分布はこれまでの研究と合わないと書き、文化の違いや発達段階、尺度そのものの特徴を考えるべき点に挙げています。
韓国語版の尺度を検証し直したソンとキム(2021)は、韓国の成人925人(うち大学生53.8%)を四つのグループに分け、高い側は25.7%でした。高感受性の22.6%に、著者が「健康な高感受性」と呼んだ3.1%を足した値で、477人はこのうち尺度の構造を確かめる分析に使った約半数です。韓国の成人の研究(Yang & Kwon, 2024)がまとめた表によると、日本の大学生1,257人を調べた矢野・大石(Yano & Oishi, 2023)では28.0%でした。下の表は、元の論文で数字を確かめた4つの研究です(英国の研究は要旨の範囲)。
| サンプル | 低い | 中間 | 高い |
|---|---|---|---|
| 韓国の成人(20〜80代) 1,773人 | 22.0% | 45.3% | 32.7% |
| 米国の大学生 901人 | 30.5% | 40.3% | 29.2% |
| 英国の子ども・若者(8〜19歳) 論文全体で3,581人 | 25–35% | 41–47% | 20–35% |
| ポーランドの小学生(10〜14歳) 928人 | 41.8% | 20.5% | 37.7% |
各研究が潜在クラス分析で回答者を3つのグループに分けた割合です。成人は27項目のHSP尺度、子ども・若者は12項目の子ども用尺度を使っています。英国の研究は要旨に示された範囲で、グループの分析は論文全体の3,581人のうち一部のサンプルで行われました。韓国のサンプルはSNSで募ったオンライン調査なので、韓国人全体を代表するものではありません。
HSPの割合が研究ごとに違う理由
1. どこで線を引くか。潜在クラス分析はデータの中の自然なまとまりを探し、その結果がおよそ30%でした。一方、「平均より標準偏差1つ以上高ければHSP」のように基準を決めると、正規分布では最初から約16%がその上に来ます。実際、日本の20〜40代の成人2,593人を調べた研究(Matsuzawa et al., 2026)は、この基準で14.0%を高いグループに分類しました。
2. どの尺度で、どう答えたか。成人用の27項目、日本語版の19項目、子ども用の12項目のように項目数や訳が違い、選択肢が5つか7つかも結果に影響します。リオネッティらの研究でも、5段階で答えた別のサンプルでは3グループがはっきり現れませんでした。
3. 誰を調べたか。大学生、小学生、SNSで募った成人のようにサンプルが違い、自分から参加するオンライン調査には、HSPに関心のある人がより多く答えた可能性もあります。年齢や文化によって境目が変わりうることは、複数の研究が共通して指摘しています。
そのため、「HSPはちょうど何%」というひとつの正解はありません。複数の研究を重ねて見ると、高い感受性は珍しい特異体質ではなく、およそ5人に1人から3人に1人に見られるよくある気質だ、というのが無理のない結論です。
mind.ioのHSP診断の結果とあわせて読む
mind.ioのHSP診断は、研究で使われたHSP尺度ではなく、mind.ioが独自に書いた18の文(3つの領域に6問ずつ)に1〜5点で答え、平均を0〜100点に換算して表示します。0〜39点「落ち着いて受け止めるタイプ」、40〜64点「場面によって敏感になるタイプ」、65〜100点「繊細に感じ取る人(HSP傾向)」という区分は読みやすくするための目安で、上の研究の境目ではありません。
そのため、65点以上が「上位30%」だとか、上の割合と同じグループだとは言えません。代わりにこう読んでみてください。点数が高く出たなら、刺激を深く受け止める傾向を自分でも強く感じているということです。こうした気質は研究によって5人に1人から3人に1人に見られるほどよくあるもので、診断名でも直すべき欠点でもありません。
合計点より領域別の点数のほうが多くを教えてくれます。圧倒されやすさが高ければHSPが疲れにくくなる方法の回復習慣が、内向型との違いが気になるならHSPと内向型の違いが役立ちます。睡眠不足やストレスの大きい時期には点数が高く出ることがあるので、余裕のある時期にもう一度受けて「マイ結果」で比べてみてください。
よくある質問
Q. HSPは何パーセント? A. 基準によって違います。アーロンは15〜20%と紹介してきましたが、人を3グループに分けた研究では高感受性グループがおよそ30%でした。韓国の成人1,773人の研究では32.7%でした。
Q. 女性は男性よりHSPが多い? A. 日本の成人2,593人を調べた研究では、平均より標準偏差1つ以上高い人は女性の19.0%、男性の8.7%でした。ただし、同じ項目に男女で答え方が違う傾向も混ざっている可能性があり、生まれつきの差と言い切るのは難しいところです。
Q. 年をとると繊細さは薄れる? A. 韓国の成人の研究では、高感受性グループは20〜30代で32.6%、40〜50代で31.2%と大きな差はありませんでした。60〜80代は2グループにしか分かれず、直接比べるのは難しいです。同じ人を長く追いかけた研究ではない点も覚えておいてください。
Q. HSPは病気や診断名? A. いいえ。精神疾患の診断基準(DSM-5、ICD-11)にはない、気質を説明する概念です。ただ、長く眠れない、日常が立ち行かないほどつらいといったときは、気質とは別に専門家に相談してみてください。
参考文献:Yang, W., & Kwon, M. (2024), Cut-off scores for sensitivity interpretation of the Korean Highly Sensitive Person Scale, PLoS ONE 19(9), e0309904, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0309904; Lionetti, F., Aron, A., Aron, E. N., Burns, G. L., Jagiellowicz, J., & Pluess, M. (2018), Dandelions, tulips and orchids: Evidence for the existence of low-sensitive, medium-sensitive and high-sensitive individuals, Translational Psychiatry 8, 24, https://doi.org/10.1038/s41398-017-0090-6; Pluess, M., Assary, E., Lionetti, F., Lester, K. J., Krapohl, E., Aron, E. N., & Aron, A. (2018), Environmental sensitivity in children: Development of the Highly Sensitive Child Scale and identification of sensitivity groups, Developmental Psychology 54(1), 51-70, https://doi.org/10.1037/dev0000406; Baryła-Matejczuk, M., Kata, G., & Poleszak, W. (2022), Environmental sensitivity in young adolescents: The identification of sensitivity groups in a Polish sample, PLoS ONE 17(7), e0271571, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0271571; Matsuzawa, A., Sasaki, T., & Shimizu, E. (2026), Relationships among highly sensitive personality (HSP), neuroticism, mental health, neurodevelopmental traits, and adverse childhood experiences (ACEs), PCN Reports 5(1), https://doi.org/10.1002/pcn5.70322; Yano, K., & Oishi, K. (2023), Replication of the three sensitivity groups and investigation of their characteristics in Japanese samples, Current Psychology 42, 1371-1380, https://doi.org/10.1007/s12144-021-01537-6(数値はYang & Kwon, 2024の表1から引用); Son, O.-S., & Kim, J. (2021), Revalidation of the Korean version of the Highly Sensitive Person Scale (K-HSPS-18)(韓国語), The Korean Journal of Counseling and Psychotherapy 33(3), 1049-1075, https://doi.org/10.23844/kjcp.2021.08.33.3.1049; Aron, E. N., & Aron, A. (1997), Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality, Journal of Personality and Social Psychology 73(2), 345-368, https://doi.org/10.1037/0022-3514.73.2.345; Aron, E. N. (1996), The Highly Sensitive Person, Broadway Books; Aron, E. N., The Highly Sensitive Person, https://hsperson.com/.
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