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解釈ガイド

やり抜く力(グリット)とは? 成功を予測するのか、誠実性との違いと粘り強さの育て方を研究で検証

やり抜く力(グリット)とは? 成功をどれだけ予測するのか、誠実性との重なり、韓国・日本の研究、伸ばせるのか、1万時間の法則、粘り強さの育て方まで研究で整理。

やり抜く力(グリット)とは? 結論から

目標を立てたのに数か月で興味が冷めてしまう、始めた勉強を最後まで続けられず「自分は根気がないのか」と思う。そんな悩みとともによく出てくる言葉が「グリット(やり抜く力)」です。米国の心理学者アンジェラ・ダックワースの研究チームは、グリットを「長期的な目標に向けた粘り強さと情熱」と定義しました。最初の研究では、グリットは学歴、大学の成績、米国陸軍士官学校(ウェストポイント)での訓練の継続、スペリング大会の順位といった成功の指標の差の平均4%を説明し、知能(IQ)とは正の関係がありませんでした(Duckworth ほか, 2007)。この考えは、ダックワースが2016年に出した同じ名前の本で広く知られるようになりました(Duckworth, 2016)。

結論から言うと、グリットは成功と関係していますが、その大きさは最初に言われていたより小さいものでした。88の標本、66,807人のデータをまとめた2017年のメタ分析では、グリットと学業成績の相関はρ = 0.18と中程度で、ビッグファイブの一つである誠実性とはρ = 0.84と非常に大きく重なっていました。グリットを構成する二つの要素のうち、予測力の多くは「努力の粘り強さ」から来ており、「興味の一貫性」は弱いものでした(Credé ほか, 2017)。そのため、グリットは誠実性に新しい名前をつけただけではないかという批判が続いています(Ponnock ほか, 2020)。

だからといって、粘り強さが役に立たないわけではありません。10年のあいだに入学した9期のウェストポイントの士官候補生11,258人を卒業まで追った研究では、最初の夏の厳しい基礎訓練をやり遂げるかどうかを、グリットは知能や体力よりもよく予測しました。ただし関連を見た研究なので、グリットが成功の原因だと確定することはできません(Duckworth ほか, 2019)。このガイドでは「根気さえあればいい」でも「グリットは過大評価だ」でもなく、研究が実際に示したことを整理します。

このガイドでは、グリットの測り方と成功をどれだけ予測するか、誠実性との関係、韓国や日本を含む文化ごとの研究、グリットは伸ばせるのか、才能か努力かの論争と1万時間の法則、そして研究に照らした粘り強さの育て方を順に扱います。つらい出来事のあとに適応していく力はレジリエンスのガイドに、能力は努力で伸びるという信念は成長マインドセットのガイドに、目の前の誘惑を我慢する自制心は意志力のガイドに別にまとめています。mind.ioにはグリットの診断はありません。

グリットはどう測り、成功をどれだけ予測するのか

グリットはふつう、自分で答える質問紙で測ります。最初のグリット尺度は12項目で、困難があっても努力を続ける「努力の粘り強さ(perseverance of effort)」と、一つの目標への興味を長く保つ「興味の一貫性(consistency of interest)」の二つの要素からなります(Duckworth ほか, 2007; Disabato ほか, 2019)。2009年には、同じ二つの要素の構造を保ったまま4項目を減らした8項目の短縮版(Grit-S)が作られました(Duckworth & Quinn, 2009)。

初期の研究は、グリットがさまざまな場面で「続けること」を予測すると報告しました。最初の研究では、成人の二つの標本(1,545人と690人)の学歴、アイビーリーグの大学生138人の成績、ウェストポイントの士官候補生二期(1,218人と1,308人)の訓練の継続、全米スペリング大会の出場者175人の順位と関連していました(Duckworth ほか, 2007)。短縮版の得点が高い成人は転職が少なく、若者はその後の成績が高く、テレビを見る時間が短くなっていました(Duckworth & Quinn, 2009)。特殊部隊の選抜課程の修了、営業職での仕事の継続、高校卒業、結婚生活の継続とも関連していたという報告が続きました(Eskreis-Winkler ほか, 2014)。

もっとも大きなデータは、10年のあいだに入学した9期のウェストポイントの士官候補生11,258人を卒業まで追った研究です。最初の夏の6週間の基礎訓練では100人あたり平均3人が辞めましたが、グリットが1標準偏差高い候補生は訓練をやり遂げるオッズが54%高く、知能と体力はこの時期の脱落をはっきりとは予測しませんでした。4年以内に卒業したのは100人あたり約81人で、卒業はグリットと体力のほうが知能よりよく予測しました。一方、学業と軍事の成績をもっとも強く予測したのは知能で、グリットの予測力は小さいものでした。研究チームは、この結果が軍の外でもそのまま当てはまるとは仮定できず、相関のデータなので原因ではなく予測を示すものだと限界を述べています(Duckworth ほか, 2019)。この研究は誠実性を測っていません。

研究をまとめると、関連の大きさはより控えめになります。2017年のメタ分析では、グリットと学業成績の相関はρ = 0.18(39標本、13,141人)で、途中でやめずに残ることとの相関は、結婚の研究を含めるとρ = 0.12、除くとρ = 0.18でした。ここでのρは測定誤差を補正した相関です。研究チームは、勉強の習慣やスキル、大学への適応のように、すでに知られているほかの予測因子の一部は成績とこの2倍を超える相関を示すと指摘しています(Credé ほか, 2017)。137件の研究(285,331人)をまとめた2022年のメタ分析も、グリットと学業達成の相関をr = 0.19と、弱いから中程度の水準とまとめました(Lam & Zhou, 2022)。

誠実性と何が違うのか:粘り強さと情熱を分けてみると

グリットをめぐる最大の論争は、ビッグファイブの誠実性とどれだけ違うのかという点です。最初の研究でもグリットは誠実性と強く相関していましたが、知能と誠実性を超えて成功を予測する力があると報告されていました(Duckworth ほか, 2007)。しかし2017年のメタ分析では、グリットと誠実性の相関はρ = 0.84(22標本、18,826人)で、誠実性の一側面とされることの多い自己制御ともρ = 0.72でした。研究チームは、いまの測り方のグリットは誠実性を包み直しただけかもしれないとして、名前が違うだけで実質的に同じ概念を新しいもののように扱う誤り(jangle fallacy)に注意を促しました。誠実性を考慮すると、グリット全体の得点は成績をほとんど追加で説明しませんでした(Credé ほか, 2017)。

ほかの方法で調べた研究も似た結論でした。英国の16歳の双子4,642人(2,321組)を調べた研究では、性格、主に誠実性が義務教育修了時の試験(GCSE)の成績の差の約6%を予測し、グリットはそこにほとんど上乗せしませんでした。グリットの「努力の粘り強さ」と誠実性は、表に現れる得点(r = 0.53)でも遺伝的にも(遺伝相関0.86)、大部分が同じ特性でした(Rimfeld ほか, 2016)。多様な若者を対象に項目レベルで分析した2020年の研究も、グリットと誠実性の因子構造は大きく重なっているとして、二つは別々の概念ではないと結論づけました(Ponnock ほか, 2020)。

興味深いのは、二つの要素が別々に動くことです。メタ分析では、「努力の粘り強さ」と学業成績の相関はρ = 0.26、「興味の一貫性」はρ = 0.10で、誠実性を考慮したあとも成績を追加で説明したのは努力の粘り強さでした(Credé ほか, 2017)。2022年のメタ分析でも、努力の粘り強さ(r = 0.21)のほうが興味の一貫性(r = 0.08)より学業達成と強く関連していました(Lam & Zhou, 2022)。6大陸の7,617人を対象にしたオンライン調査では、努力の粘り強さは主観的幸福感や人格的な強みと中程度から強く関連していた一方、興味の一貫性の関連は弱いか、むしろ逆方向でした(Disabato ほか, 2019)。

そこで、グリットの「情熱」の側面がきちんと測られていないという指摘も出ました。ある研究チームは、グリット尺度は実質的に粘り強さだけを測っているとみなし、その分野に望むだけの情熱を感じているかを別に測りました。グリット尺度と成果を測った127件の研究(45,485人)をまとめると、参加者がその分野に情熱をもっているほど、グリットと成果の関連が大きくなっていました。会社員422人と大学生248人の研究でも、粘り強さと情熱の組み合わせがより高い成果を予測しました(Jachimowicz ほか, 2018)。まとめると、研究は「何でも長く続ける傾向」よりも「心が向く目標で困難に耐えながら努力すること」に近い姿を示しています。

文化によって違うのか:韓国・日本と世界の研究

グリットは米国で生まれた概念なので、ほかの文化でも同じ姿なのかを確かめた研究があります。6大陸の7,617人を調べた研究では、「努力の粘り強さ」が幸福感や強みとより強く関連するという結果は、世界の7つの地域でくり返し見られました。しかし、粘り強さと一貫性を一つにまとめた「グリット全体」という構造は、個人主義の国では支持されたものの、ラテンアメリカやアジアのような集団主義の国では支持されませんでした(Disabato ほか, 2019)。

一方、成績との関連だけを見ると、文化による違いははっきりしませんでした。2022年のメタ分析は、グリット全体と二つの要素が学業達成と関連する程度は、個人主義の文化と集団主義の文化で違わないと結論づけています(Lam & Zhou, 2022)。日本では、大学生1,043人を対象に短縮版グリット尺度の日本語版が作られ、元の尺度と同じ二つの要素(粘り強さと一貫性)の構造が確かめられました(Nishikawa ほか, 2015)。

韓国では2021年に、韓国の大学生556人のデータから韓国版グリット尺度(K-GRIT)を作った研究があります。元の尺度の12項目に、特定の長期目標が自分にとってどれだけ意味があり楽しいかを尋ねる新しい項目を加えて分析したところ、「努力-持続性」「情熱-意味」「情熱-熱中」の三つの因子、20項目が得られました。この尺度のグリット総得点と誠実性の相関はr = 0.55、努力-持続性と誠実性はr = 0.62でした(Lee ほか, 2021)。

とくに、元の尺度の「興味の一貫性」は、努力の粘り強さを考慮すると人生満足度や精神的な健康(ウェルビーイング)を追加で説明しませんでしたが、新しく作った二つの情熱の因子は追加で説明しました。ただし、誠実性と自己制御を考慮したうえで学業達成を追加で説明するかどうかは、元の尺度も新しい尺度も境界線上(p = 0.08)にとどまりました。研究チームは先行研究を引きながら、誠実な人は目標がなくても与えられた仕事に励む人であるのに対し、グリットの高い人は長期的な目標を定めてそれに向けた努力と情熱を続ける人だと、両者を区別しています(Lee ほか, 2021)。大学生の一つの標本と自己報告の質問紙から得られた結果なので一般化には注意が必要ですが、「一貫性」の要素が弱く、情熱を別の形で測る必要があるという点で、前述の国際的な研究と同じ方向を指しています。

グリットは伸ばせるのか

グリットが成功と関係するなら、学校で教えられるのでしょうか。2017年のメタ分析の研究チームは、介入でグリットを高められるかはまだはっきりしないと判断し、グリットと成績の関連が大きくない以上、グリットを高めるプログラムが成果に与える効果も弱いかもしれないとまとめました(Credé ほか, 2017)。2018年の批判的レビューは、グリットが介入によく反応するという主張を裏づける根拠はないと指摘しています(Credé, 2018)。

もっともよく引用される実験は、トルコ・イスタンブールの公立小学校52校で、4年生3,200人あまりを対象にした無作為化研究です。教師が約12週間、アニメーション動画、短い事例、授業での活動を使って、脳と能力は努力で伸びること(成長マインドセット)、失敗してもまた挑戦すること、目標を立てることを教えました。プログラムを受けた子どもは、簡単な課題より難しいが報酬の大きい課題を選ぶことが多く、失敗したというフィードバックを受けたあともまた挑戦することが多くなりました。2年半後の標準化された算数のテストでも、約0.2標準偏差の効果が残っていました。ただし、教師がつける成績でははっきりした差はありませんでした(Alan ほか, 2019)。

希望の持てる結果ですが、あわせて見ておくべき点があります。このプログラムは成長マインドセットと目標設定をまとめて教えたものなので、グリットそのものを変えた効果だと言い切ることは難しいのです。対象も一つの都市の、主に所得の低い地域の小学生でした(Alan ほか, 2019)。成長マインドセットの介入の効果と論争は成長マインドセットのガイドにまとめています。

グリットは生まれつきなのかを気にする人も多いでしょう。英国の双子研究では、努力の粘り強さの遺伝率は37%、興味の一貫性は20%と推定され、家族が共有する環境の影響は見られませんでした(Rimfeld ほか, 2016)。これは人と人との違いがどこから来るかを分けて見た結果であり、一人の人の粘り強さが変わらないという意味ではありません。メタ分析では、グリットは年齢が高い人ほどわずかに高く(ρ = 0.12)、研究チームはこれを、年齢とともに誠実性が高まる一般的な傾向と似ていると見ています(Credé ほか, 2017)。

同じ研究チームは、学校や大学が使える資源は限られているとして、成績とより強く関連し、介入で変えられるという根拠があるもの、たとえば勉強のスキルと習慣(大学の成績との相関は約0.40)、大学への適応、授業への出席にまず力を注ぐよう勧めています(Credé ほか, 2017)。

才能か努力か:1万時間の法則は本当か

グリットが人気を集めた背景には、「才能より努力」というメッセージがありました。この考えの根の一つが、1993年のエリクソンの研究チームによる「意図的な練習(deliberate practice)」の研究です。研究チームは、一流の人たちどうしの差さえ意図的な練習の量と密接に関係しており、生まれつきの才能と思われてきた多くの特徴は、少なくとも10年続いた集中的な練習の結果だと主張しました(Ericsson ほか, 1993)。この研究はのちに、マルコム・グラッドウェルの本(原題 Outliers)を通じて、「1万時間の意図的な練習で専門家になれる」という「1万時間の法則」として広まりました(Macnamara & Maitra, 2019)。

しかし研究をまとめると、練習は大切でもすべてではありませんでした。意図的な練習の研究を集めた2014年のメタ分析では、練習量が説明した成績の差はゲームで26%、音楽で21%、スポーツで18%、教育で4%、職業では1%未満で、研究チームは、意図的な練習は重要だが、主張されてきたほどではないと結論づけています(Macnamara ほか, 2014)。1993年のバイオリンの研究をやり直した2019年の再現研究でも、一人での練習量は腕前の差の26%を説明し、決して小さくはないものの元の研究の48%よりずっと小さく、腕前のレベルごとに練習量が順に違っていたという中心的な結果は再現されませんでした(Macnamara & Maitra, 2019)。

グリットと練習はどうつながるのでしょうか。全米スペリング大会の出場者の研究では、一人で単語を勉強して覚える意図的な練習のほうが、人に問題を出してもらうことや楽しみのための読書よりも成績をよく予測しました。出場者は意図的な練習をもっともつらく、もっとも楽しくない準備と評価していましたが、グリットと最終成績の関連はこの練習を通じて現れていました。グリットの高い出場者ほど、この練習を多くしていたのです(Duckworth ほか, 2011)。つまりグリットは、「長く耐えること」そのものより、退屈でも効果的な練習を続けさせることで成果とつながっているのかもしれません。

才能と努力に対する私たちの態度にも矛盾があります。プロの音楽家は、努力型の人のほうが生まれつき才能のある人より成功すると強く信じていると答えましたが、実績が同じ二人のピアニストのうち、幼いころから生まれつきの才能を見せていたと紹介されたほうを、より才能があり、成功しやすく、採用したいと評価しました。この「生まれつき偏重(naturalness bias)」は専門家に見られ、専門家でない人には見られませんでした(Tsay & Banaji, 2011)。また、グリットは知能ともほとんど関係がありませんでした(ρ = 0.05)。少なくとも知的な能力と粘り強さは、ほぼ別々の軸だと言えます(Credé ほか, 2017)。

研究に照らした粘り強さの育て方と、やめどき

以下は研究で効果が確かめられた方法ではなく、上の研究に照らした提案です。一つめに、粘り強さを「何にでも耐える力」より「心が向く目標に向けた努力」と考えてみましょう。情熱を感じる分野ほどグリットと成果の関連は大きく(Jachimowicz ほか, 2018)、韓国の研究では、目標を楽しく意味があると感じる程度が、努力とは別に人生満足度や精神的な健康と関連していました(Lee ほか, 2021)。いま取り組んでいる目標がなぜ自分にとって大切なのかを、一文で書き出すことから始められます。

二つめに、どれだけ長くより、どう取り組むかを見てみましょう。スペリング大会の研究で成績をもっともよく予測したのは、つらくても一人で集中して勉強し、覚える練習でした(Duckworth ほか, 2011)。ただし練習が説明する割合は分野によって違い、教育や職業では小さいものでした(Macnamara ほか, 2014)。成績が目標なら、勉強のスキルと習慣、授業への出席のように成績とより強く関連するものから整えるほうが、根拠とよく合います(Credé ほか, 2017)。

三つめに、失敗の受け止め方と目標の立て方をあわせて練習してみましょう。トルコの小学校の実験は、「失敗は能力がないという意味ではない」というメッセージと目標設定をまとめて教え、子どもたちが難しい課題にまた挑戦することが増えました(Alan ほか, 2019)。そのプログラムを家庭でそのまま再現することはできませんが、行き詰まったときに「自分がだめだから」ではなく「次は何を変えようか」と書き出す習慣は、同じ方向を向いています。取りかかること自体が難しいなら先延ばしのガイドの方法が、誘惑が問題なら意志力のガイドの状況の変え方が合うかもしれません。

四つめに、やめることも一つの判断と考えましょう。実験の課題やゲームでは、グリットの高い人は、負けているときでもコストを払ってより長く粘り、お金を失う危険があっても続けようとする傾向がありました(Lucas ほか, 2015)。達成できない目標から手を引き、別の目標に改めて力を注ぐ力は、高い主観的幸福感と関連していました(Wrosch ほか, 2003)。粘り強さは方向が合っているときに力になるので、目標を定期的に見直してみてください。がんばり続けるあいだに睡眠や体調が崩れたり、いつも疲れ切っていたりするなら、必要なのは粘り強さより休息と助けかもしれません。仕事で燃え尽きたと感じるなら燃え尽きの症状のガイドも見てみてください。根気が続かない理由が長く続く無気力なら、性格の問題とだけ考えずに無気力のガイドもあわせて読んでみてください。

グリットのよくある質問

Q. グリットの診断で自分のグリットの点数がわかりますか? A. 研究で使われるグリット尺度(12項目の元の尺度と8項目の短縮版)は自分で答える質問紙なので、得点はいまの自己評価として読むのがよいでしょう(Duckworth & Quinn, 2009)。mind.ioにはグリットの診断はありません。グリットと大きく重なる誠実性を含め、5つの性格特性を得点で見たいならビッグファイブを、強みのなかで「忍耐力」が何番目かを見たいならVIA強みテストを受けられます。どちらもグリット尺度ではありません。

Q. グリットが低いと成功しにくいのですか? A. グリットと学業成績の相関はρ = 0.18程度なので、得点だけで一人の人の将来を見通すことは難しいのです(Credé ほか, 2017)。ウェストポイントの研究でも、成績は知能が、最初の夏の訓練をやり遂げるかどうかはグリットが、卒業はグリットと体力がよりよく予測するなど、成功の種類によって大事なものが違っていました(Duckworth ほか, 2019)。

Q. グリットは生まれつきですか、育てられますか? A. 双子研究では、努力の粘り強さの遺伝率は37%と推定されました(Rimfeld ほか, 2016)。授業のプログラムで難しい課題にまた挑戦する行動が増えたという実験もありますが(Alan ほか, 2019)、グリットへの介入全体の根拠はまだ不十分です(Credé, 2018)。

Q. グリットとレジリエンス、成長マインドセットはどう違いますか? A. グリットは長期的な目標に向けて努力と興味を続ける傾向です(Duckworth ほか, 2007)。レジリエンスはつらい経験のあとに適応していく過程に近く、成長マインドセットは能力は努力で伸びるという信念です。くわしくはレジリエンスのガイドと成長マインドセットのガイドにまとめています。

Q. 1万時間練習すれば誰でも専門家になれますか? A. 「1万時間の法則」は、意図的な練習の研究が一般向けの本を通じて広まるなかで生まれた言葉です(Macnamara & Maitra, 2019)。練習量が説明する成績の差は、ゲームの26%から職業の1%未満まで分野によって違いました(Macnamara ほか, 2014)。練習は大切ですが、時間を積み重ねるだけで腕前が決まるわけではありません。

参考文献:Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D. R. (2007), Grit: perseverance and passion for long-term goals, Journal of Personality and Social Psychology 92(6), 1087-1101, https://doi.org/10.1037/0022-3514.92.6.1087; Duckworth, A. (2016), Grit: the power of passion and perseverance, New York: Scribner (book; mentioned, not quoted); Credé, M., Tynan, M. C., & Harms, P. D. (2017), Much ado about grit: a meta-analytic synthesis of the grit literature, Journal of Personality and Social Psychology 113(3), 492-511, https://doi.org/10.1037/pspp0000102; Ponnock, A., Muenks, K., Morell, M., Yang, J. S., Gladstone, J. R., & Wigfield, A. (2020), Grit and conscientiousness: another jangle fallacy, Journal of Research in Personality 89, 104021, https://doi.org/10.1016/j.jrp.2020.104021; Duckworth, A. L., Quirk, A., Gallop, R., Hoyle, R. H., Kelly, D. R., & Matthews, M. D. 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