こころのガイド
瞑想・マインドフルネスの効果と副作用:研究でわかったことと始め方
瞑想とマインドフルネスがストレス、不安、うつ、睡眠にどれほど役立つかを研究から整理。ほかの方法との比較、再発予防の8週間プログラム、副作用と注意が必要な人、始め方まで。
瞑想とマインドフルネスとは:ひとつの方法ではない
「瞑想」はひとつの方法ではなく、さまざまな実践をまとめた言葉です。呼吸や音、イメージ、くり返す言葉(マントラ)のように、ひとつの対象に注意を集める方法もあれば、今この瞬間に評価をせずに注意を向けるマインドフルネスもあります(NCCIH, 2022)。韓国の公的なこころの健康情報サイトのコラムは、瞑想を大きく、変わらないひとつの対象に集中する集中瞑想と、呼吸・感覚・痛みのような変わる対象に集中し、注意がそれたら気づいて戻る気づきの瞑想に分けています(国家精神健康情報ポータル, 2020)。韓国疾病管理庁は、瞑想を腹式呼吸、ヨガ、漸進的筋弛緩法、マッサージとともに、心身の緊張をやわらげるリラクセーション法のひとつとして紹介しています(韓国疾病管理庁, 2026)。
マインドフルネスとは、自分の内と外で起きていることに一瞬一瞬注意を向けることです。考えに引きずられていることに気づき、考えを自分を支配しない心の出来事として見られるよう、少しずつ練習します(NHS, 2026a)。国立精神・神経医療研究センターはマインドフルネスを「今この瞬間の体験に気づき、ありのままにそれを受け入れる方法」と紹介し、日常生活での意識の向け方や瞑想、呼吸法などで取り組むとしています(国立精神・神経医療研究センター, n.d.)。
研究の多くは、決まった枠組みのあるプログラムを対象にしています。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)はマインドフルネス瞑想を教えながら、話し合いやストレスのかかる場面に生かす方法も扱い、マインドフルネス認知療法(MBCT)はマインドフルネスの実践に認知行動療法の要素を加えたものです(NCCIH, 2022)。瞑想プログラムの試験をまとめた分析では、MBSRはふつう8週間で20〜27.5時間の訓練を行っており、マントラ瞑想のプログラムがストレスやウェルビーイングの指標に効果があるという根拠は、ないか不十分でした(Goyal ほか, 2014)。マインドフルネスという言葉自体が、数多くの実践や過程、特性をまとめた傘のような言葉だという指摘もあります(Van Dam ほか, 2018)。ですから「瞑想の効果」を見るときは、どんな方法を、誰が、何と比べて行ったのかをあわせて見る必要があります。
何にどれくらい役立つのか:何と比べたかもあわせて見る
時間と関心をそろえた比較活動とだけ比べたランダム化比較試験を集めた分析(47本、3,515人)では、マインドフルネス瞑想のプログラムが8週間後の不安(効果量0.38)とうつ(0.30)を、また痛み(0.33)を改善したという中程度の根拠があり、ストレスと心の健康に関する生活の質については根拠が低いものでした。前向きな気分、注意力、睡眠、体重には、効果がないという低い水準の根拠しかないか根拠が不十分で、薬や運動、ほかの行動療法より優れているという根拠はありませんでした。研究者は、瞑想プログラムは心理的ストレスのさまざまな面を小〜中程度に減らしうるとまとめています(Goyal ほか, 2014)。
診断を受けた人を対象にした142の標本(12,005人)をまとめた分析では、マインドフルネスにもとづく介入は治療なしより優れていましたが(効果量0.55)、比較対象が積極的になるほど差は小さくなり、特定の積極的な比較治療とは0.23で、根拠にもとづく治療とは差がありませんでした(Goldberg ほか, 2018)。うつ病についてマインドフルネスにもとづく療法と認知行動療法を直接比べた試験30本(2,750人)では、両者の効果は同等でした(Sverre ほか, 2023)。不安症の成人276人を振り分けた試験1件では、最後まで参加した208人の症状の重さの点数(評価者による)が、8週間のMBSRで1.35点、よく使われる抗うつ薬で1.43点下がり、MBSRは抗うつ薬に劣っていませんでした(非劣性; Hoge ほか, 2023)。ただし、これは治療者が導く決まったプログラムの結果で、ひとりで行う瞑想やアプリにそのままあてはめることはできません。
臨床以外の場の一般の人を対象にしたランダム化比較試験136本(11,605人)のメタ解析では、マインドフルネスのプログラムは何もしない場合より、不安(8本、効果量0.56)、うつ(14本、0.53)、心理的苦痛(27本、0.45)を減らし、ウェルビーイング(9本、0.33)を高めました。しかし、特定の積極的な比較活動より優れているという根拠はなく、バイアスのリスクが高い試験を除くと心理的苦痛への効果だけが残り、根拠の確実性は中程度から非常に低いものでした(Galante ほか, 2021)。指導者が導く集団プログラムを自ら希望して受けた一般の成人2,371人の個人データをまとめた分析でも、1〜6か月後の心理的苦痛は、何もしない場合より小〜中程度減っていました(効果量0.32; Galante ほか, 2023)。
メタ解析44本(ランダム化比較試験336本、30,483人)をまとめ直したレビューでも、マインドフルネスのプログラムは待機や何もしない比較群よりはおおむね優れていたものの、積極的な比較群と比べると効果はより小さく、統計的にはっきりしないことが多くありました(Goldberg ほか, 2022a)。
睡眠はどうでしょうか。試験18本(1,654人)をまとめた分析では、睡眠教育のような一般的な比較活動よりは睡眠の質が改善しましたが(効果量0.33)、根拠のあるほかの治療と比べると効果に差がないという低い水準の根拠がありました(Rusch ほか, 2019)。不眠が続くなら、まず勧められる治療は不眠症にまとめています。慢性の痛みでは、試験30本でさまざまな比較群より痛みがわずかに減りましたが、根拠の質は低いものでした(Hilton ほか, 2017)。
アプリはどうでしょうか。ランダム化比較試験45本をまとめた分析では、マインドフルネスのアプリは比較群よりうつ(効果量0.24)と不安(0.28)をわずかに減らしましたが、ほかの積極的な方法と比べた研究は少なく、差もありませんでした(Linardon ほか, 2024)。アプリの研究34本(7,566人)をまとめた別の分析では、使用期間の終わりに比較群よりストレスが低くなっていましたが(0.46)、含まれる研究が少なくバイアスのリスクがはっきりしないため、慎重に解釈すべきだとしています(Gál ほか, 2021)。
英国のガイドライン(NICE)は、より軽いうつ病の最初の治療として使える11の選択肢のひとつに集団でのマインドフルネスや瞑想を挙げていますが、委員会がつけた順番では7番目で、もっとも負担の少ないガイド付きのセルフヘルプから考えるよう求めています。この集団プログラムは、うつ病向けにつくられたMBCTのようなプログラムを使い、ふつう8回、8〜15人で行い、セッションの合間に録音を聞きながら自宅で練習する必要があります(NICE, 2022)。
うつ病の再発を減らす8週間のプログラム(MBCT)
MBCTは、うつ病の再発を防ぐために使われる決まった8週間(8回)の治療プログラムです。うつ病をくり返し、完全にまたは部分的によくなった人を対象に、MBCTをほかの治療と比べたランダム化比較試験9本(1,258人)の個人データをまとめた分析では、60週間の再発のリスクはMBCTを受けなかった場合より低く(ハザード比0.69)、ほかの積極的な治療と比べても低いものでした(ハザード比0.79)。治療前のうつ症状がより重かった人では、ほかの治療より効果が大きい可能性を示す一部の根拠があり、追跡期間が長くなるほど効果は小さくなる傾向がありました(Kuyken ほか, 2016)。ハザード比は再発した人の割合ではなく、再発のリスクを比べた値です。
うつ病を3回以上経験し、薬を続けていた英国の成人424人を振り分けた試験では、医師の支えのもとで薬を減らしながらMBCTを受けた群と、薬を続けた群とで、2年間の再発にはっきりした差はありませんでした(Kuyken ほか, 2015)。だからといって、MBCTをすれば薬をやめてよいという意味ではありません。薬を減らしたりやめたりするのは処方した医師と相談してゆっくり行い、くわしくは抗うつ薬のガイドにまとめています。これらは決まった集団プログラムの結果で、ひとりで行う瞑想やアプリの結果ではありません。
英国のガイドラインは、抗うつ薬だけでよくなったものの再発のリスクが高い人に、薬を続けること、薬を続けたくなければ集団の認知行動療法かMBCTを受けること、または薬を続けながらこうした治療を受けることを検討するよう求めています。再発予防のスキルに焦点をあてたプログラムで、ふつう2〜3か月で8回行い、その後12か月以内に追加のセッションを設けることができます(NICE, 2022)。フランス高等保健機構も、マインドフルネス療法を、うつ病エピソードがくり返すときに使う認知行動療法のひとつとして紹介しています(HAS, 2017)。
日本うつ病学会の診療ガイドラインは、英国のガイドラインが軽症うつ病の非薬物療法の選択肢として集団でのマインドフルネスや瞑想を挙げていることを紹介しつつ、日本ではマインドフルネス認知療法は保険収載された精神療法ではなく、厚生労働省が推奨する治療マニュアルにも技法が記載されていないとしています(日本うつ病学会, 2025)。韓国の公的な情報サイトのコラムは、宗教的な色合いを取り除いた瞑想プログラムがストレスや慢性の痛みに使われてきたこと、精神医学では瞑想を不安、うつ、不眠などの症状を和らげるための一種の情動・注意の調節訓練とみていることを説明しています(国家精神健康情報ポータル, 2020)。うつ病の治療全般はうつ病のときに役立つことにまとめています。
誇張された主張と、まだわかっていないこと
瞑想の研究には誇張も多くあります。マインドフルネスと瞑想の研究を批判的に検討した研究者は、誤った情報やずさんな研究方法が人々を害したり、誤解させたり、失望させたりしうると警告し、どんな問題に、どんな人に確かに役立つのかを知るには、はるかに多くの研究が必要だとしています(Van Dam ほか, 2018)。米国国立補完統合衛生センターも、これまでの研究の多くは予備的か厳密でなく、結果が楽観的に解釈されすぎた可能性があるとしています(NCCIH, 2022)。
肯定的な結果ばかりが目立ちやすいという問題もあります。2016年の分析では、発表されたマインドフルネス療法の試験124本のうち108本(87%)が抄録で1つ以上の肯定的な結果を報告しており、これは効果量から予想される数の1.6倍でした。また、登録された試験21本のうち13本(62%)は、終了から30か月たっても発表されていませんでした(Coronado-Montoya ほか, 2016)。一方、メタ解析44本をまとめ直したレビューは、結果は出版バイアスにはおおむね左右されなかったものの、ほかの重要なバイアスがあり、有害事象の報告は一貫していなかったとしています(Goldberg ほか, 2022a)。
「瞑想で脳が変わる」という話にも注意が必要です。脳画像研究をまとめた分析は脳の構造のわずかな変化を示唆していますが、楽器を習うなどほかの技能を身につけるときにも似た変化が見られるため瞑想だけの効果とは言いにくく、その実際の意味もまだはっきりしていません(Van Dam ほか, 2018)。瞑想をはじめて行う218人を、待機群、8週間のMBSR、条件をそろえた比較活動に振り分けた2つの試験をあわせた研究では、MBSRのあとに脳の構造が2つの比較群と違って変化したという証拠はありませんでした(Kral ほか, 2022)。
学校ですべての生徒に行うマインドフルネスの授業も、期待どおりではありませんでした。英国の84校の生徒8,376人を対象にした試験では、10回のマインドフルネスの授業は、1年後のこころの健康について通常の情緒教育より優れているという根拠がなく、授業に関連した有害事象も見られませんでした(Kuyken ほか, 2022)。
副作用と、注意が必要な人
瞑想やマインドフルネスはふつうリスクが少ないと考えられていますが、有害な影響を調べた研究は少なく、安全だと言い切ることはできません(NCCIH, 2022)。英国の国民保健サービスも、マインドフルネスは誰にでも合うわけではなく、役に立たなかったり、かえって気分が悪くなったりする人もいるとしています(NHS, 2026a)。
83の研究(6,703人)をまとめたレビューでは、瞑想に関連した有害事象は全体で約8%(8.3%)でしたが、研究の方法によって大きく違い、実験的な研究では3.7%、観察研究では33.2%でした。もっとも多いのは不安とうつで、心の健康の問題を経験したことのない人にも起こりえました(Farias ほか, 2020)。8週間のMBCTを受けた96人に独立した評価者が面接した研究では、37%が日常の機能に悪い影響を与える反応を1つ以上経験し、6〜14%に長引く悪い影響があり、それは過覚醒や解離の兆候と関係していました。研究者は、一時的な苦痛や悪い影響の割合はほかの心理療法と同じくらいだとみています(Britton ほか, 2021)。
瞑想をしたことのある人を調べると、割合はたずね方によって大きく変わります。米国の成人434人の調査では、32.3%が瞑想による悪い反応を経験したと答え、10.6%は日常生活に何らかの支障があり、その支障が1か月以上続いたのは1.2%でした。もっとも多いのは不安、トラウマの記憶がよみがえること、感情が過敏になることで、子ども時代に逆境を経験した人に多く見られました。悪い反応を経験した人も、そうでない人と同じくらい瞑想をしてよかったと考えていました(Goldberg ほか, 2022b)。米国の成人886人の調査では、31.4%がつらい、または苦しい経験を、9.1%がそのために日常の機能に支障があったと答え、心理的苦痛が大きいこと、精神病的な傾向があること、瞑想リトリートへの参加と関連していました(Van Dam ほか, 2025)。定期的に瞑想する1,232人のうち25.6%が特に不快な経験をしたと答え、瞑想リトリートに参加したことがある人に多く見られました(Schlosser ほか, 2019)。
よく使われるマインドフルネスのプログラムの参加除外基準には、物質への依存、自殺を考えること、精神病、心的外傷後ストレス障害、重いうつ、重い社交不安、最近の死別や離婚のような大きな危機がよく含まれます。ただし、こうした状態に合わせて変えたプログラムで有望な結果が出ることもあり、除外基準は柔軟にみるべきだとされています(Baer ほか, 2019)。英国のガイドラインも、強い、あるいはひどく苦しい考えを抱えている人や、体に注意を向けるのが難しい人には、こうしたプログラムは難しいことがあるとしています(NICE, 2022)。ですから、これにあてはまるなら、ひとりで始めるより、治療を担当する医師や治療者に先に相談してください。有害事象をまとめたレビューでは、まれながら自殺関連行動を報告した研究もありました(Farias ほか, 2020)。瞑想中や瞑想のあとに死にたい気持ちになったら、一人で抱えず、すぐに「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。
精神病、躁状態、離人感・現実感消失、トラウマの記憶のような重い症状が瞑想で起きたという症例報告もあります。さまざまな種類の瞑想で報告され、集中的なリトリートの中で起きたものが多く、根拠が確かめられたマインドフルネスのプログラムで起きたものはありませんでした(Baer ほか, 2019)。症例報告は、こうしたことがどのくらい多いのかを教えてはくれません。瞑想中の離人感・現実感消失については離人感・現実感消失にまとめています。
フランスのこころの健康情報サイトは、瞑想は一部の人にときとして高揚感、幻視、強い体の痛み、妄想的な疑い、怒りや恐れといった副作用を起こしうるので、とくに精神疾患がある人は不調のサインに注意し、それが起きたら瞑想をやめ、必要ならこころの健康の専門家に相談するよう勧めています(Psycom, 2026)。
始め方
特別な道具はいりません。快適で暖かい場所で、背すじを伸ばして楽に座りましょう(NHS, 2026b)。息が入って出ていくことに注意を向け、注意がそれて何かの考えや感情、感覚が浮かんだら、判断したり抑えたりせずに「ああ、こんな考えが浮かんだな」と気づいてから、また呼吸に戻ります。はじめは長く集中するのは難しいので、数分から始め、慣れてきたら少しずつ時間を延ばします(国家精神健康情報ポータル, 2020)。
注意がさまようのは失敗ではなく瞑想の自然な一部で、経験の長い人でも同じです。頭の中を完全に空っぽにすることも目標ではありません。10回さまよったら10回呼吸に戻ればよく、終えるときは急にやめず、ゆっくり締めくくります。1回の長さに決まりはありませんが、英国の国民保健サービスは20分ほどをよい目安としています(NHS, 2026b)。歩きながら足の裏が地面にふれる感覚に注意を向ける歩く瞑想もあります(国家精神健康情報ポータル, 2020)。
時間をとりにくいなら、通勤の途中や昼休みの散歩のように日常の決まった時間を選んで周りの感覚に気づいてみたり、浮かんでくる考えや感情に心の中で名前をつけてみたりする方法もあります(NHS, 2026a)。
研究で使われる8週間のプログラムでは、ふつう週1回2〜2.5時間の授業と、丸一日の実践1回、そして週6日、1日約45分の自宅での練習が求められます。43の研究(1,427人)をまとめた分析では、参加者はその64%、1日約30分を練習していました。これを調べた28の研究(898人)では、自己報告の練習量が多いほど結果がわずかによいという関連がありました(相関係数0.26)。ただし、これは関連にすぎず、長くやるほどよくなるという証拠ではありません(Parsons ほか, 2017)。
プログラムや指導者を選ぶときは、指導者がどんな訓練や経験を積んでいるかたずねてください(NCCIH, 2022)。アプリから始めてもかまいませんが、前に見たとおり効果は小さめでした。
どこで学び、いつ治療を受けるか
瞑想を従来の治療のかわりにしたり、受診を先延ばしする理由にしたりしないでください(NCCIH, 2022)。韓国の公的な情報サイトのコラムも、瞑想は万能薬ではなく、薬物療法をはじめとするほかの治療のほうが重要なこともあるとしています(国家精神健康情報ポータル, 2020)。多くのマインドフルネスの機関が、マインドフルネスは標準的な精神科治療のかわりをめざすものではないと明らかにしようとしているという指摘もあります(Van Dam ほか, 2018)。
気分の落ち込みや不安が2週間以上続いて日常がゆらいでいるなら、うつのセルフチェック(PHQ-9)や不安のセルフチェック(GAD-7)で過去2週間をふり返り、うつ病のときに役立つことや初めての精神科を参考に受診してみてください。日々のストレスを減らしたいなら、運動、睡眠、ゆっくりした呼吸など、根拠のあるほかの方法もストレス解消法にまとめています。
学ぶ場所は国によって違います。韓国では、住んでいる地域の保健所や精神健康福祉センターに、マインドフルネスのプログラムがあるかたずねてみましょう。日本ではマインドフルネス認知療法は保険収載された精神療法ではないため(日本うつ病学会, 2025)、治療が必要なら担当の医師に先に相談するのがよいでしょう。自分にやさしくする練習を加えたマインドフル・セルフ・コンパッションのプログラムはセルフ・コンパッションのガイドにまとめています。
よくある質問
Q. 瞑想するときは頭の中を空っぽにしなければいけませんか? A. いいえ。頭の中を完全に空っぽにすることは瞑想の目標ではなく、考えが割りこんできたら、そっと呼吸に注意を戻せばよいのです(NHS, 2026b)。マインドフルネスは考えを消すことではなく、来ては去っていく心の出来事として見る練習です。はじめはとても難しいものの、ゆるやかに続ければできるようになります(NHS, 2026a)。
Q. 瞑想は宗教ですか? A. 多くの瞑想法はさまざまな宗教の修行法から始まりましたが、宗教的な色合いを取り除いた瞑想プログラムがストレスや慢性の痛みに使われてきました(国家精神健康情報ポータル, 2020)。英国の国民保健サービスは瞑想を神秘的なものではなく、少し立ち止まって落ち着くための方法だと説明し(NHS, 2026b)、日本マインドフルネス学会は、心理、医療、教育、宗教、産業など多くの分野でマインドフルネスの研究と実践が行われていると紹介しています(日本マインドフルネス学会, n.d.)。
Q. 瞑想すれば必ず心が落ち着きますか? A. そうとは限りません。試験で見られた効果は平均すると小〜中程度で(Goyal ほか, 2014)、役に立たなかったり、かえって気分が悪くなったりする人もいます(NHS, 2026a)。つらい反応が出たらやめて、必要ならこころの健康の専門家に相談してください(Psycom, 2026)。
Q. 長くやるほどよいのですか? A. 必ずしもそうではありません。8週間のプログラムでは練習量の多い人ほど結果がわずかによいという関連がありましたが(Parsons ほか, 2017)、瞑想リトリートへの参加はつらい経験とも関連していました(Van Dam ほか, 2025)。1回の長さに決まったルールもありません(NHS, 2026b)。
Q. 瞑想は治療のかわりになりますか? A. いいえ。瞑想を従来の治療のかわりにしたり、受診を先延ばしする理由にしたりしないよう求められています(NCCIH, 2022)。うつ病の再発予防のMBCTのように根拠があるものは決まった治療プログラムで、その試験でも薬を減らすときは医師の支えのもとで行っていました(Kuyken ほか, 2015)。飲んでいる薬を減らしたりやめたりするときは、処方した医師に相談してください。
Q. 瞑想中や瞑想のあとに、死にたい気持ちになります。 A. 瞑想をやめて、一人で抱えないでください。すぐに「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。いのちの電話(0570-783-556、毎日10:00〜22:00・通話料がかかります)もあります。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。
参考文献:National Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH) (2022), Meditation and mindfulness: Effectiveness and safety, https://www.nccih.nih.gov/health/meditation-and-mindfulness-effectiveness-and-safety; National Center for Mental Health (2020), Meditation as psychiatric treatment [National Mental Health Information Portal column, in Korean], https://www.mentalhealth.go.kr/portal/bbs/bbsDetail.do?bbsId=BBSINIT_2&nttId=302; Korea Disease Control and Prevention Agency (2026), Feeling depressed [National Health Information Portal, in Korean], https://health.kdca.go.kr/healthinfo/biz/health/gnrlzHealthInfo/gnrlzHealthInfo/gnrlzHealthInfoView.do?cntnts_sn=6788; NHS (2026a), Mindfulness, https://www.nhs.uk/mental-health/self-help/tips-and-support/mindfulness/; National Center of Neurology and Psychiatry (n.d.), Mindfulness [CBT map, in Japanese], https://cbtmap.ncnp.go.jp/material/mindfulness/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B9/; Goyal, M., Singh, S., Sibinga, E. M. S., Gould, N. F., Rowland-Seymour, A., Sharma, R., et al. (2014), Meditation programs for psychological stress and well-being: A systematic review and meta-analysis, JAMA Internal Medicine, 174(3), 357-368, https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2013.13018; Van Dam, N. T., van Vugt, M. K., Vago, D. R., Schmalzl, L., Saron, C. D., Olendzki, A., et al. (2018), Mind the hype: A critical evaluation and prescriptive agenda for research on mindfulness and meditation, Perspectives on Psychological Science, 13(1), 36-61, https://doi.org/10.1177/1745691617709589; Goldberg, S. B., Tucker, R. P., Greene, P. A., Davidson, R. J., Wampold, B. E., Kearney, D. J., & Simpson, T. L. (2018), Mindfulness-based interventions for psychiatric disorders: A systematic review and meta-analysis, Clinical Psychology Review, 59, 52-60, https://doi.org/10.1016/j.cpr.2017.10.011; Sverre, K. T., Nissen, E. R., Farver-Vestergaard, I., Johannsen, M., & Zachariae, R. (2023), Comparing the efficacy of mindfulness-based therapy and cognitive-behavioral therapy for depression in head-to-head randomized controlled trials: A systematic review and meta-analysis of equivalence, Clinical Psychology Review, 100, 102234, https://doi.org/10.1016/j.cpr.2022.102234; Hoge, E. A., Bui, E., Mete, M., Dutton, M. A., Baker, A. W., & Simon, N. M. (2023), Mindfulness-based stress reduction vs escitalopram for the treatment of adults with anxiety disorders: A randomized clinical trial, JAMA Psychiatry, 80(1), 13-21, https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2022.3679; Galante, J., Friedrich, C., Dawson, A. F., Modrego-Alarcón, M., Gebbing, P., Delgado-Suárez, I., et al. (2021), Mindfulness-based programmes for mental health promotion in adults in nonclinical settings: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials, PLoS Medicine, 18(1), e1003481, https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1003481; Galante, J., Friedrich, C., Collaboration of Mindfulness Trials (CoMinT), Dalgleish, T., Jones, P. B., & White, I. R. (2023), Systematic review and individual participant data meta-analysis of randomized controlled trials assessing mindfulness-based programs for mental health promotion, Nature Mental Health, 1(7), 462-476, https://doi.org/10.1038/s44220-023-00081-5; Goldberg, S. B., Riordan, K. M., Sun, S., & Davidson, R. J. (2022a), The empirical status of mindfulness-based interventions: A systematic review of 44 meta-analyses of randomized controlled trials, Perspectives on Psychological Science, 17(1), 108-130, https://doi.org/10.1177/1745691620968771; Rusch, H. L., Rosario, M., Levison, L. M., Olivera, A., Livingston, W. S., Wu, T., & Gill, J. M. (2019), The effect of mindfulness meditation on sleep quality: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials, Annals of the New York Academy of Sciences, 1445(1), 5-16, https://doi.org/10.1111/nyas.13996; Hilton, L., Hempel, S., Ewing, B. A., Apaydin, E., Xenakis, L., Newberry, S., et al. (2017), Mindfulness meditation for chronic pain: Systematic review and meta-analysis, Annals of Behavioral Medicine, 51(2), 199-213, https://doi.org/10.1007/s12160-016-9844-2; Linardon, J., Messer, M., Goldberg, S. B., & Fuller-Tyszkiewicz, M. (2024), The efficacy of mindfulness apps on symptoms of depression and anxiety: An updated meta-analysis of randomized controlled trials, Clinical Psychology Review, 107, 102370, https://doi.org/10.1016/j.cpr.2023.102370; Gál, É., Ștefan, S., & Cristea, I. A. (2021), The efficacy of mindfulness meditation apps in enhancing users’ well-being and mental health related outcomes: A meta-analysis of randomized controlled trials, Journal of Affective Disorders, 279, 131-142, https://doi.org/10.1016/j.jad.2020.09.134; National Institute for Health and Care Excellence (NICE) (2022), Depression in adults: treatment and management (NG222), https://www.nice.org.uk/guidance/ng222; Kuyken, W., Warren, F. C., Taylor, R. S., Whalley, B., Crane, C., Bondolfi, G., et al. (2016), Efficacy of mindfulness-based cognitive therapy in prevention of depressive relapse: An individual patient data meta-analysis from randomized trials, JAMA Psychiatry, 73(6), 565-574, https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2016.0076; Kuyken, W., Hayes, R., Barrett, B., Byng, R., Dalgleish, T., Kessler, D., et al. (2015), Effectiveness and cost-effectiveness of mindfulness-based cognitive therapy compared with maintenance antidepressant treatment in the prevention of depressive relapse or recurrence (PREVENT): A randomised controlled trial, The Lancet, 386(9988), 63-73, https://doi.org/10.1016/S0140-6736(14)62222-4; Haute Autorité de santé (HAS) (2017), Épisode dépressif caractérisé de l’adulte : prise en charge en soins de premier recours, https://www.has-sante.fr/jcms/c_1739917/fr/episode-depressif-caracterise-de-l-adulte-prise-en-charge-en-premier-recours; Japanese Society of Mood Disorders (2025), Clinical practice guideline for depression 2025 [in Japanese], https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline2025.pdf; Coronado-Montoya, S., Levis, A. W., Kwakkenbos, L., Steele, R. J., Turner, E. H., & Thombs, B. D. (2016), Reporting of positive results in randomized controlled trials of mindfulness-based mental health interventions, PLoS ONE, 11(4), e0153220, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0153220; Kral, T. R. A., Davis, K., Korponay, C., Hirshberg, M. J., Hoel, R., Tello, L. Y., et al. (2022), Absence of structural brain changes from mindfulness-based stress reduction: Two combined randomized controlled trials, Science Advances, 8(20), eabk3316, https://doi.org/10.1126/sciadv.abk3316; Kuyken, W., Ball, S., Crane, C., Ganguli, P., Jones, B., Montero-Marin, J., et al. (2022), Effectiveness and cost-effectiveness of universal school-based mindfulness training compared with normal school provision in reducing risk of mental health problems and promoting well-being in adolescence: The MYRIAD cluster randomised controlled trial, Evidence-Based Mental Health, 25(3), 99-109, https://doi.org/10.1136/ebmental-2021-300396; Farias, M., Maraldi, E., Wallenkampf, K. C., & Lucchetti, G. (2020), Adverse events in meditation practices and meditation-based therapies: A systematic review, Acta Psychiatrica Scandinavica, 142(5), 374-393, https://doi.org/10.1111/acps.13225; Britton, W. B., Lindahl, J. R., Cooper, D. J., Canby, N. K., & Palitsky, R. (2021), Defining and measuring meditation-related adverse effects in mindfulness-based programs, Clinical Psychological Science, 9(6), 1185-1204, https://doi.org/10.1177/2167702621996340; Goldberg, S. B., Lam, S. U., Britton, W. B., & Davidson, R. J. (2022b), Prevalence of meditation-related adverse effects in a population-based sample in the United States, Psychotherapy Research, 32(3), 291-305, https://doi.org/10.1080/10503307.2021.1933646; Van Dam, N. T., Targett, J., Davies, J., Burger, A., & Galante, J. (2025), Incidence and predictors of meditation-related unusual experiences and adverse effects in a representative sample of meditators in the United States, Clinical Psychological Science, 13(3), 632-648, https://doi.org/10.1177/21677026241298269; Schlosser, M., Sparby, T., Vörös, S., Jones, R., & Marchant, N. L. (2019), Unpleasant meditation-related experiences in regular meditators: Prevalence, predictors, and conceptual considerations, PLoS ONE, 14(5), e0216643, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0216643; Baer, R., Crane, C., Miller, E., & Kuyken, W. (2019), Doing no harm in mindfulness-based programs: Conceptual issues and empirical findings, Clinical Psychology Review, 71, 101-114, https://doi.org/10.1016/j.cpr.2019.01.001; Psycom (2026), S’aider soi-même, des outils pour tous, https://www.psycom.org/sinformer/lauto-support/ce-quon-peut-faire-pour-sa-sante-mentale/; NHS (2026b), How to meditate for beginners [Every Mind Matters], https://www.nhs.uk/every-mind-matters/mental-wellbeing-tips/how-to-meditate-for-beginners/; Parsons, C. E., Crane, C., Parsons, L. J., Fjorback, L. O., & Kuyken, W. (2017), Home practice in mindfulness-based cognitive therapy and mindfulness-based stress reduction: A systematic review and meta-analysis of participants’ mindfulness practice and its association with outcomes, Behaviour Research and Therapy, 95, 29-41, https://doi.org/10.1016/j.brat.2017.05.004; Japanese Association of Mindfulness (n.d.), What is mindfulness [in Japanese], https://mindfulness.smoosy.atlas.jp/ja
ひとりで抱えなくて大丈夫です
自分を傷つけたい気持ちになったときや、心がつらくてたまらないときは、下の窓口に相談できます。よりそいホットラインは24時間つながります。
- よりそいホットライン 0120-279-338 24時間・無料
- いのちの電話(ナビダイヤル) 0570-783-556 毎日10:00〜22:00・通話料がかかります
- いのちの電話(フリーダイヤル) 0120-783-556 毎日16:00〜21:00・無料
今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。
気になっていそうな友だちや家族に、この記事を送ってみましょう。