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こころのガイド

双極症(双極性障害):気分の波やうつ病との違い、効果のある治療

双極症(双極性障害・躁うつ病)をWHO・NICEの指針と研究から整理。躁・軽躁・うつ、気分の波との違い、診断が遅れる理由、効果のある治療と再発予防、相談先まで。

躁うつ病と双極症:診断が意味すること

「躁うつ病」は双極症(双極性障害)の以前の呼び名で、今もよく使われます(国立精神・神経医療研究センター, n.d.; NIMH, 2025)。気分の波は誰にでもありますが、双極症では、いつもの自分とはっきり違う高ぶった時期(躁状態や軽躁状態)と沈んだ時期(うつ状態)が、数日から数週間続く「エピソード」として現れます(WHO, 2024)。エピソードの間には、気分が安定した時期が数週間から数年続くこともあります(NHS, 2024)。世界保健機関の国際疾病分類(ICD-11)は、躁病エピソードや混合性エピソードを一度でも経験した場合を双極症I型、軽躁病エピソードと抑うつエピソードを経験したが躁病エピソードはない場合をII型としています。少なくとも2年にわたって軽い高ぶりと落ち込みがたびたび繰り返され、つらさや生活の支障があるものの、抑うつエピソードの基準には届かない場合は気分循環症といいます(WHO, 2024)。

世界保健機関は、2023年に世界で約3,600万人、226人に1人が双極症を抱えていたと推計しています(WHO, 2026)。11か国の成人6万1千人あまりに面接した世界精神保健調査では、生涯に一度でも双極症I型を経験した人は0.6%、II型は0.4%で、診断基準にわずかに届かない人まで含めると2.4%でした。日本の生涯の割合は、この軽いものまで含めて0.7%でした。また、こうした人のうち精神保健の治療を受けたのは半数に届きませんでした(Merikangas ほか, 2011)。韓国の2021年の精神健康実態調査は、地域ではきわめてまれで標本から正確に推計しにくいため、双極症を調査対象から外しました(Rim ほか, 2023)。

韓国の健康保険の統計では、双極性感情障害(F31)を主な診断として受診した人は、2010年の53,056人から2025年には144,347人に増えました。2025年は62.9%が女性で、年代別では20代(33,525人)が最も多くなっていました。ただし、これは受診した人の数で、実際に双極症を抱えている人の数とは違い、この数字だけで病気が増えたとはいえません(韓国健康保険審査評価院, 2026)。

mind.ioには双極症の検査はありません。気分の落ち込みが続くなら、うつ病の症状もあわせて確かめてください。双極症があると自殺の危険が高まることがあります(WHO, 2026)。自分を傷つけたい気持ちがあるなら、一人で抱えず、すぐに「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。

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躁状態、軽躁状態、うつ状態、混合性エピソード

躁状態(躁病エピソード)は、少なくとも1週間(治療で短くなった場合を除く)、ほぼ一日中、ほぼ毎日、気分が極端に高ぶったりいらいらしたりし、エネルギーと活動が大きく増えた状態です。話すのが速くなり、考えが次々に浮かび、自分が特別にすごいと感じ、2〜3時間しか眠らなくても平気だと感じます。眠りたいのに眠れない不眠とは違います。気が散りやすく、結果を考えずに楽しいことに飛びついたり、十分な計画なしに大きな決断をしたりすることもあります。生活に大きな支障が出たり、自分や他人を傷つけないよう入院などの集中的な治療が必要になったり、妄想や幻覚を伴ったりすることもあります(WHO, 2024)。世界保健機関は、浪費や危険な性行動、飲酒のように危険を顧みない行動も例に挙げています(WHO, 2026)。

軽躁状態(軽躁病エピソード)は、同じような変化が少なくとも数日続くものの、生活が大きく崩れるほどではなく、妄想や幻覚もない状態です。それでも、その人をよく知る人なら気づくほどいつもとは違います(WHO, 2024)。このときはむしろ気分がよく、仕事もはかどると感じるため本人は問題に気づきにくく、家族や友人が先に気づくことがよくあります(NIMH, 2025)。韓国の国家精神健康情報ポータルは、高ぶった状態がI型では7日以上、II型では4日以上続くものと説明しています(国家精神健康情報ポータル, 2020)。宝くじに当たった、卒業した、恋に落ちたときのように、状況に合った喜びは躁状態や軽躁状態とはみなしません(WHO, 2024)。

うつ状態(抑うつエピソード)は、気分の落ち込みや興味の喪失が、ほぼ一日中、ほぼ毎日、少なくとも2週間続くもので、誰にでもある気分の浮き沈みとは違います(WHO, 2026)。混合性エピソードは、躁の症状とうつの症状が同時に現れたり、日ごと、あるいは一日のうちにも速く入れ替わったりする状態が、少なくとも2週間続くものです。考えが駆けめぐって高ぶっているのに、同時に絶望感や死にたい気持ちが出ることがあります(WHO, 2024)。混合性の特徴をもつうつ状態は、短い期間のうちに自殺を図る危険がより高い、特に危険な時期とされています(Yatham ほか, 2018)。

I型では、ふつう躁状態とうつ状態が交互に現れ、時間がたつにつれてうつ状態のほうが多くなることがよくあります(WHO, 2026)。II型は、躁状態のかわりに軽躁状態があるという意味で、軽い病気という意味ではありません。II型の人は、軽いうつ状態で長く過ごすことが多くあります(NIMH, 2025)。治療が今とは違った1970年代末から、I型の146人の症状を平均12.8年にわたって毎週記録した研究では、症状があった期間は全体の47.3%で、その多くは躁よりもうつ(31.9%)で、診断基準に届かない軽い症状のほうが基準を満たす症状よりも多く見られました(Judd ほか, 2002)。多くは10代後半から成人期の初めに始まりますが(NIMH, 2025)、I型はどの年齢でも始まりえます(WHO, 2024)。

ふつうの気分の波やうつ病との違い

気分の波は誰にでもあります。数時間から一日ほど気分が沈んだり高ぶったりすることは、双極症のない人にも起こりえます(国家精神健康情報ポータル, 2020)。双極症の気分の変化は数日から数週間続き、行動やエネルギーの変化を伴って、周りの人にもわかるほどいつもと違います(NIMH, 2025)。周りの人が「いつものあの人と違う」と気づき、家族や周りの人が困るほどの行き過ぎかどうかが一つの目安になります(国立精神・神経医療研究センター, n.d.)。一日に何度も気分が変わるというだけでは双極症とはいわず、いつもと違う状態が数日以上続く「エピソード」があるかどうかを見ます(WHO, 2024)。

境界性のパーソナリティ特性でも気分は大きく揺れますが、多くは人間関係のストレスのようなきっかけに反応したもので、数時間、長くても数日続く程度です。双極症の気分の変化はそれより長く続きます(WHO, 2024; Paris & Black, 2015)。両方が一緒にあることも比較的よくあるため、専門家は気分のエピソードではないときの様子を別に確かめます(WHO, 2024)。大人のADHDも、気の散りやすさや衝動性が似て見えますが、双極症は高ぶった、またはいらいらした気分を伴うエピソードとして現れる点が違います(WHO, 2024)。大人のADHDについては大人のADHDの症状にまとめました。甲状腺の病気のような体の病気や一部の処方薬、お酒や薬物も、似た症状を起こしたり悪化させたりすることがあるため、診察で一緒に確かめます(NIMH, 2025)。診断は面接で行い、診断に使える血液検査や脳画像検査はまだありません(HAS, 2015)。

双極症では、診断の前にうつ状態が先に現れることが多くあります(国家精神健康情報ポータル, 2020)。軽躁状態は本人には問題と感じられないため、うつのときだけ受診しがちです(WHO, 2024)。うつのときは以前の高ぶった時期を思い出しにくかったり、病気だと思わなかったりするため、最も多い誤診はうつ病です(Yatham ほか, 2018)。研究27件(9,415人)をまとめたメタ分析では、双極症が始まってから治療や診断を受けるまで平均5.8年かかり、II型が多い研究や発症が早い人が多い研究ではさらに長くなっていました(Dagani ほか, 2017)。診療ガイドラインは、症状が始まってから最長で10年たってようやく正しく診断される人も多いとしています(Yatham ほか, 2018)。

うつ病と診断された人を長く追った研究56件をまとめた分析では、一部の人が後に双極症と診断が変わり、その危険は最初の5年間に最も高くなっていました。家族に双極症の人がいる、うつ病が若いうちに始まった、幻聴や妄想のような精神病症状があった場合に、より多く見られました(Ratheesh ほか, 2017)。韓国の健康保険のデータでも、抗うつ薬の治療を始めたうつ病の人の一部が後に双極症と診断が変わり、その割合は18〜29歳で最も高くなっていました(Kim ほか, 2020)。

うつで受診するときは、以前に数日間、いつもと違って活動的すぎたり、遠慮なくふるまったりした時期があったかを必ず伝えてください。英国国立医療技術評価機構(NICE)の指針は、うつ病で受診した人にそうした時期を尋ね、4日以上続いていたら専門的な評価を検討するよう勧め、プライマリケアで質問票を使って双極症を見分けないよう勧めています。本人が同意すれば、家族の話も診断の助けになります(NICE, 2014; HAS, 2015)。mind.ioのうつのセルフチェック(PHQ-9)は過去2週間のうつの症状だけを見るため、双極症のうつ状態とうつ病を区別できません。子どもや10代は、ふつうの気分の変化と見分けるのが難しいため、心配なら児童思春期の精神科医に相談してください(HAS, 2015)。

効果が確かめられた治療:薬と心理療法を組み合わせて

双極症は、治療によって症状を管理できる病気です。世界保健機関は、症状がたびたび繰り返されても回復は可能で、適切な治療を受ければ症状とうまく付き合いながら、意味のある生産的な生活を送れるとしています。薬は治療に欠かせませんが、薬だけでは十分に回復しにくいことが多いため、心理療法や日々の自己管理を組み合わせます(WHO, 2026)。

薬は気分安定薬と一部の抗精神病薬が中心です(WHO, 2026; NIMH, 2025)。韓国の精神科医87人が回答した専門家の合意にもとづく薬物治療指針(2022年)も、ほかの国の指針と同じように、躁状態の治療でこれらの薬を基本にしています(Jeong ほか, 2023)。代表的な気分安定薬の一つをプラセボと比べた試験5件(770人)をまとめた分析では、再発の危険が約3分の1減り、とくに躁状態の再発を防ぐ効果ははっきりしていましたが、うつ状態の再発を防ぐ効果はより小さく不確かでした(Geddes ほか, 2004)。同じ薬は、気分障害の試験48件をまとめた分析で、プラセボより自殺による死亡が少なくなっていました(Cipriani ほか, 2013)。どの薬が合うかは、効果と副作用、生活の事情を考えて医師と一緒に決めます。一部の気分安定薬はおなかの赤ちゃんに害を及ぼすことがあるため、妊娠中や妊娠を考えているときは、薬を変えたりやめたりする前にまず医師に相談してください(WHO, 2023; NHS, 2024)。出産直後は軽躁状態が最も起こりやすい時期とされているため(WHO, 2024)、妊娠を考えているなら前もって医師と計画を立てておきましょう。

うつ状態を抗うつ薬だけで治療すると、躁状態や頻繁な気分の切り替わりを引き起こすことがあるため、双極症では抗うつ薬を単独では使いません(NIMH, 2025)。韓国や各国の指針も、そろって抗うつ薬の単独使用を避けるようにしています(Jeong ほか, 2023)。双極症のある3,240人を分析したスウェーデンの研究では、抗うつ薬を単独で使った場合は躁状態の危険が約2.8倍に高まりましたが、気分安定薬と一緒に使った場合は、始めてから3か月の間に高まりませんでした(Viktorin ほか, 2014)。気分安定薬や抗精神病薬に抗うつ薬を加えた試験6件をまとめた分析では、うつの症状は少し減ったものの回復率の差ははっきりせず、1年近く続けて使うと躁状態の危険が高まりました(McGirr ほか, 2016)。抗うつ薬を加えるかどうかは医師が判断します。今うつ病の薬を飲んでいるなら、この記事だけを見てやめず、以前に高ぶった時期があったかを処方した医師に伝えてください。薬を飲み始めてから気分が高ぶったり、睡眠が大きく減ったりしたら、すぐに処方した医師に連絡してください(WHO, 2016)。

心理療法は薬物療法に加えて行います(WHO, 2023)。無作為化比較試験39件(3,863人)をまとめた分析で、使えるデータのあった20件を見ると、薬物療法に手順の決まった心理療法を加えると再発の可能性が低くなっていました(オッズ比0.56)。病気を管理するスキルを一人ではなく家族や集団で練習する心理教育は、再発をさらに減らす傾向もありました(Miklowitz ほか, 2021)。心理教育は病気の特徴、再発の前ぶれ、薬、ストレスへの対処を学ぶ治療で、カナダの気分・不安治療ネットワークと国際双極性障害学会の指針は、再発予防の第一選択として勧めています(Yatham ほか, 2018)。症状が安定した人を対象にした心理教育の試験をまとめたレビューでは、5〜7人が受けるごとに1人の割合で再発を余分に防げましたが、うつ状態の再発だけを見ると、はっきりした効果はなく、集団で行うときに効果がよりはっきりしていました(Bond & Anderson, 2015)。

双極症のうつ状態にある293人を分けた試験では、薬物療法と一緒に家族焦点化療法、対人関係・社会リズム療法、認知行動療法のいずれかを9か月の間に最大30回受けた人は、1年後に回復した割合が64.4%で、6週間に3回の短い介入だけを受けた人(51.5%)より高く、三つの治療の間にはっきりした差はありませんでした(Miklowitz ほか, 2007)。対人関係・社会リズム療法は、起きる時間、食事、人と会う時間、寝る時間といった一日のリズムを一定に保てるよう助ける治療です。175人を分けた試験では、この治療を受けた人は新しいエピソードなしで過ごした期間が長くなりましたが(Frank ほか, 2005)、カナダと国際学会の指針では、根拠が比較的少ない第三選択とされています(Yatham ほか, 2018)。うつ病の治療全般はうつ病のときに役立つことにまとめましたが、双極症のうつ状態は薬の治療が違うため、参考程度にしてください。

再発を減らす暮らし方:前ぶれ、睡眠、一日のリズム

双極症は、よくなったり悪くなったりを長く繰り返しやすい病気なので、自分で管理する方法を身につけることが大切です(NICE, 2014)。初めての躁状態を経験した734人を追った研究をまとめた分析では、1年以内に84.2%が診断基準から外れるほど回復しましたが、1年以内に41.0%、4年以内に59.7%が再びエピソードを経験しました(Gignac ほか, 2015)。治療を受けて回復した858人を最長2年見守った研究では、48.5%が再びエピソードを経験し、うつ状態が躁の側の2倍を超えて多く、回復時に軽い症状が残っていると再発が多くなっていました(Perlis ほか, 2006)。残っている軽い症状も、医師と話し合う価値のある治療目標です。

症状が落ち着いたあとも、気分安定薬や抗精神病薬はたいてい少なくとも6か月続け、何度もエピソードを経験した人はふつうもっと長く治療します(WHO, 2026)。診療ガイドラインは、双極症のある人のほとんどに再発を防ぐ維持療法が必要だとしています(Yatham ほか, 2018)。気分がよくなっても、医師に相談せずに薬をやめないでください(NHS, 2024)。やめることにしたときは、医師と一緒に少しずつ減らし、やめたあとも2年間は再発のサインを見守ります(NICE, 2014)。

気分障害のある人の80%以上は、エピソードの前ぶれを一つ以上見分けることができ、双極症で躁状態の最もはっきりした前ぶれは、睡眠が減ったり乱れたりすることでした(中央値77%)。躁状態の前ぶれは平均20日を超えて続くと報告されています(Jackson ほか, 2003)。自分なりの再発のサインに気づいて対処できるよう助けるプログラムを扱ったコクランレビューでは、次の再発までの期間が長くなり(ハザード比0.57)、入院も減りましたが、研究は古く、主な結果のデータがない研究も多くありました(Morriss ほか, 2007)。気分、睡眠、エネルギーの変化を気分の記録につけ(NIMH, 2025)、安定しているときに、再発のサインとそのときにすること、連絡する人をまとめた計画を医師と一緒に作り、家族と共有しておきましょう(NICE, 2014)。

双極症のある英国の成人3,140人に尋ねたところ、20%が睡眠不足が躁状態や軽躁状態のきっかけになったと答え、睡眠不足は尋ねたきっかけの中で最も多く挙げられました(Lewis ほか, 2017)。寝る時間、起きる時間、食事と運動を規則正しく保ち、避けられるなら交代勤務や長すぎる勤務、夜間のフライトや時差の大きい旅行、カフェインの多い飲み物は避けましょう(NHS, 2024)。睡眠の問題は不眠症の治し方も参考にしてください。ただし、床にいる時間を減らす睡眠制限法は、躁状態になりやすい人には合わないことがあるため、専門家と一緒に行ってください(Edinger ほか, 2021)。

一般の人を対象にした調査をまとめた分析では、双極症のある人の約4分の1(24%)にアルコール使用障害がありました(Hunt ほか, 2016)。お酒や薬物は症状を悪化させることがあるので避けたほうがよく(WHO, 2016)、薬や心理療法の効果を妨げることもあります(NICE, 2014)。体の健康も大切です。双極症のある人は平均寿命が約13年短く、その半分ほどは体の病気のような自然な原因によるものでした(Chan ほか, 2022)。血圧や血糖、体重などの健康状態も定期的に確かめましょう。

家族や友人にできること

身近な人が病気を一緒に理解することも助けになります。心理社会的な治療を比べたネットワークメタ分析では、家族や介護する人を対象にした教育と支援が、躁状態やうつ状態の再発の危険を減らしていました(Chatterton ほか, 2017)。ただし、2007年のコクランレビューでは、家族への介入の根拠は少なく結果もまちまちで、はっきりした結論は出せませんでした(Justo ほか, 2007)。世界保健機関は、双極症のある人を支える家族に、心理教育や自助グループのような支援を検討するよう勧めています(WHO, 2023)。

忍耐強く理解して励まし、受診に付き添ったり薬を受け取ってきたりといった実際的な手助けをしてください。きちんと治療すればよくなりうることも思い出させてあげましょう(NIMH, 2025)。睡眠や話し方、お金の使い方などの変化に気づいたら、落ち着いて話してみてください(Santé.fr, 2026)。高ぶった時期には、回復するまで大事な決断を先に延ばすよう勧め(NICE, 2014)、大きなお金がかかることは信頼できる人に相談できるよう手伝ってください(WHO, 2016)。症状について本人や家族を責めないでください(WHO, 2016)。

高ぶった時期には本人が問題を感じないことがあるため、安定しているときに再発のサインや危機のときの連絡先を一緒に決めておくと役立ちます(NICE, 2014; 国家精神健康情報ポータル, 2020)。死にたい気持ちが心配なら、遠回しにせず直接尋ねてもかまいません(Santé.fr, 2026)。尋ね方やそばで支える方法はうつ病のときに役立つことにまとめました。支える人も一人で抱え込まず、家族向けの教育や集まりなどの助けを探してください(WHO, 2023)。

すぐに相談したいとき:相談先

何日もほとんど眠っていないのにエネルギーがあふれているとき、払えないほどのお金を使うなど、いつもとまったく違う危険な行動が続くとき、ほかの人には聞こえない声が聞こえたり、事実でないことを固く信じたりしているときは、先延ばしにせず、すぐに精神科を受診してください。躁状態や重いうつ状態が疑われるとき、自分やほかの人を傷つける危険があるときは、急いで専門家の評価を受ける必要があります(NICE, 2014)。初めての躁状態は、入院が必要になりうる精神科の救急とみなされます(HAS, 2015)。安全のために入院したり、自宅で危機支援を受けたりすることもあります(NHS, 2024)。気分の変化が長く続いたり生活に支障が出たりしているなら、急ぎでなくても受診してみてください(NHS, 2024)。

日本では、精神科・心療内科や、地域の精神保健福祉センターに相談できます。韓国では、精神科や市・郡・区の精神健康福祉センターで助けを得られ、精神健康危機相談電話1577-0199(24時間)に電話すると近くの精神健康福祉センターにつながります(韓国保健福祉部, 2025)。mind.ioには双極症の検査はなく、うつのセルフチェック(PHQ-9)はうつの症状を確かめられますが、双極症を見分けることはできません。

デンマークで精神保健の専門的な診療を初めて受けた17万人あまりを最長36年追った研究では、双極症のある男性の7.8%、女性の4.8%が自殺で亡くなっていて、精神疾患のない人(男性0.7%、女性0.3%)よりはるかに高い割合でしたが、見方を変えれば、ほとんどの人は自殺で亡くなってはいません(Nordentoft ほか, 2011)。気分安定薬の一つが自殺による死亡を減らしたという根拠もあり、治療を続けることが大切です(Cipriani ほか, 2013)。自殺の危険は、うつ状態や混合性エピソードのときにとくに高くなります(WHO, 2024)。自分を傷つけたい気持ちがあるなら、一人で抱えず、すぐに「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。

よくある質問

Q. 気分の波が激しいと、双極症ですか? A. 必ずしもそうではありません。数時間から一日ほど気分が上下することは、双極症のない人にも起こりえます。双極症は、いつもとはっきり違う高ぶった時期や沈んだ時期が数日から数週間続く病気です(国家精神健康情報ポータル, 2020; WHO, 2024)。気分の波のせいで生活がつらいなら、原因が何であれ専門家に相談してみてください。睡眠や月経周期、更年期など気分の波を大きくしうるものは感情の起伏(気分の波)にまとめました。

Q. 双極症の検査はありますか? A. mind.ioには双極症の検査はありません。診断は専門家が面接で行い、英国の指針は、プライマリケアで質問票を使って双極症を見分けないよう勧めています(NICE, 2014)。スクリーニングの質問票を使う場合も、面接で確かめる必要があります(Yatham ほか, 2018)。うつのセルフチェック(PHQ-9)はうつの症状だけを見るため、双極症を見分けることはできません。

Q. 薬は一生飲まなければいけませんか? A. 人によって違います。症状が落ち着いたあともたいてい少なくとも6か月は薬を続け、何度もエピソードを経験した人はふつうもっと長く治療します(WHO, 2026)。診療ガイドラインは、ほとんどの人に再発を防ぐ維持療法が必要だとしています(Yatham ほか, 2018)。減らしたりやめたりしたいときは、一人で決めずに医師と一緒に少しずつ減らしてください(NICE, 2014)。

Q. II型は軽い双極症ですか? A. いいえ。II型は、躁状態のかわりに軽躁状態があるという意味です。II型の人は軽いうつ状態で長く過ごすことが多く(NIMH, 2025)、自殺の危険もI型と同じように一般の人よりはっきり高くなっています。II型の人の最大15%は、後に躁状態を経験してI型と診断が変わります(WHO, 2024)。

Q. 双極症のある人は危険なのですか? A. そうではありません。スウェーデンの研究で暴力犯罪の危険が高く出たのは、ほとんどがお酒や薬物の問題も抱えている場合で、そうした問題がなければ危険の増加はわずかで、きょうだいと比べるとほとんど差がありませんでした(Fazel ほか, 2010)。むしろ、多くの人が差別や偏見に苦しんでいます(WHO, 2026)。

Q. うつ病の薬を飲んでいますが、以前に何日も高ぶって過ごしたことがあります。 A. 自分の判断で薬をやめず、そのときのことを処方した医師に伝えてください。医師が診断と治療を見直すことができます(NICE, 2014)。薬を飲み始めてから気分が高ぶったり、睡眠が大きく減ったりしたら、すぐに連絡してください(WHO, 2016)。

Q. つらすぎて、自分を傷つけたい気持ちまであります。 A. 一人で抱えないでください。すぐに相談窓口(よりそいホットライン 0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。

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