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解釈ガイド

嘘をつく人の特徴は本当にある? 研究で見る嘘のサインと見抜く精度

嘘をつく人は目をそらす? 58か国で最も多く挙がった手がかりですが、研究では視線と嘘の関係はほぼなく、嘘と本当を見分ける正答率は平均54%。本当に差が出る手がかりとポリグラフの実力も解説。

嘘をつく人の特徴は本当にある? まず短い答えから

「嘘をつく人は目をそらす」「鼻を触る」「目が右上に動く」といった「嘘をつく人の特徴」のリストはよく見かけます。58か国の人に、人が嘘をついていることをどうやって見分けるかを尋ねた調査でも、最も多かった答えは「目をそらす」でした(Global Deception Research Team, 2006)。

短く答えると、平均すれば嘘と本当の話には少し違いがあります。嘘は細部が少なく、もっともらしさに欠け、話し手がやや緊張して見える傾向がありました。しかし158の手がかりを調べたメタ分析では、ほとんどの効果はとても小さく、推定値が3つ以上ある88の手がかりの効果量の中央値は|0.10|にとどまりました(DePaulo ほか, 2003)。初対面の人の話をその場で判断した実験をまとめると、正答率は平均54%で、当てずっぽう(50%)より少しよい程度でした(Bond & DePaulo, 2006)。

その理由は、人が見当違いのところを見ているからというより、嘘が行動に残す手がかり自体がかすかだからだとする分析もあります(Hartwig & Bond, 2011)。実生活では、嘘はつかれたその場のしぐさよりも、後になって他の人の話や物的な証拠からわかることが多くありました(要旨による。Park ほか, 2002)。

この記事は、誰かを疑ったり問い詰めたりするためのチェックリストではありません。mind.io に嘘の診断はありません。この記事では、目をそらすという思い込みと研究、実際に差が出る手がかり、人がどれくらい嘘を見抜けるのか、微表情とポリグラフ、研究がより有望とみる方法、日常の嘘と身近な人への疑い、そしてよくある質問を順に整理します。

目をそらすと嘘? 世界中が信じる手がかりと研究

2006年、国際研究チームは二つの調査を行いました。一つ目では58か国で各国40人、計2,320人に、人が嘘をついているとどうしてわかるのかを自由に書いてもらいました。63.66%が「目をそらす」を挙げ、ほかのどの答えよりはるかに多く、58か国中51か国で最も多い答えでした。二つ目では63か国で各国40人が質問紙に答え、71.5%が嘘をつく人はいつもより目を合わせないと答えました(Global Deception Research Team, 2006)。

この思い込みは調べた75か国すべてで見られました。日本は二つの調査の両方に、韓国は二つ目の調査に参加しましたが、論文は国ごとの数字を示していません。参加者は一つ目の調査では多くが大学生、二つ目の調査でも多くが学生でした(Global Deception Research Team, 2006)。

研究の結果は違いました。実験研究をまとめたメタ分析では、目を合わせることについての32の推定値を合わせても嘘との関係はほぼゼロ(d = 0.01)で、目をそらすことにもはっきりした差はありませんでした(d = 0.03)(DePaulo ほか, 2003)。別のメタ分析も「嘘をつくときに人がアイコンタクトを避けるという証拠はなかった」としています(要旨による。Sporer & Schwandt, 2007)。ただ、うまくだまそうとする動機があった実験では、嘘をつくときに目を合わせることがわずかに減り(d = −0.15)、特別な動機がない実験ではむしろわずかに増えましたが、有意な差ではありませんでした(DePaulo ほか, 2003)。どちらにしても、一人の人を判断する基準に使うには小さすぎる差です。

人は目を見て判断すると言いますが、実際に下した判断との関係を調べると、アイコンタクトとの結びつきは弱いものでした(r = −0.15)(Hartwig & Bond, 2011)。目を合わせない理由は嘘のほかにもたくさんあります。社交不安があると、そうしたいのに目を合わせにくいことは社交不安のガイドで、自閉スペクトラム症のある人のなかには不快でも周りに合わせて目を合わせる人がいることは大人の自閉スペクトラム症のガイドで取り上げています。

「目が右上に動いたら嘘」という説は、神経言語プログラミング(NLP)の分野から広まったものです。イギリスとカナダの研究者が三つの研究で確かめました。右利きの32人が嘘をつくときと本当のことを話すときの目の動きに有意な差はありませんでした。32本の映像を判断した50人のうち、このルールを教わった21人の正解数は平均16.33本で、教わらなかった29人(16.59本)と有意な差はありませんでした。行方不明の家族を探す実際の公開呼びかけの映像52本(確かな証拠から嘘と判断された26本、本当と判断された26本)でも有意な差はありませんでした。研究者はこの説には「疑ってかかるべき十分な根拠がある」と結論づけています(Wiseman ほか, 2012)。

まばたきも嘘とはっきりした関係がありませんでした(d = 0.07)。瞳孔が大きくなるという結果(d = 0.39)は推定値が4つだけでした(DePaulo ほか, 2003)。推定値の少ない効果は過大に見積もられているかもしれないという指摘もあります(要旨による。Luke, 2019)。それでもこの思い込みが広く信じられている理由について、国際研究チームは「嘘をつく人は恥ずかしくて目を合わせられない」というイメージが、嘘を戒める社会の規範として受け継がれているという考えを示しつつ、推測にすぎないかもしれないと述べています(Global Deception Research Team, 2006)。

実際に差が出る手がかりと、その小ささ

2003年のメタ分析は、120のサンプルから158の手がかりについての1,338の推定値をまとめました。嘘をついた人の多くは初対面の相手に話すアメリカの学生で、話の長さが報告された36のサンプルのうち28では1分以内でした(DePaulo ほか, 2003)。以下の d は、嘘をつく側でその行動が多ければプラス、少なければマイナスです。

平均して差が出た手がかりは、主に話の中身と話し方でした。嘘は細部が少なく(d = −0.30、推定値24)、もっともらしさに欠け(−0.23)、筋道の通り方が弱く(−0.25)、つじつまが合わなかったりあいまいだったりすることがやや多くありました(0.34)。嘘をつく人は自信がなさそうに聞こえ(0.30)、直接的・個人的な語りが少なく(−0.55、推定値7)、少し緊張して見え(0.27)、声がやや高くなりました(0.21)。本当のことを話す人は、話の途中で自分で言い直したり(−0.29)、思い出せないと認めたり(−0.42)することが多かったものの、どちらも推定値は5つだけでした(DePaulo ほか, 2003)。

差がほとんどない行動も多くありました。答えの長さ(−0.03、推定値49)、答えるまでの時間(0.02、推定値32)、言いよどみや間、姿勢を変えること(0.05)、手の動き(0.00)にはほぼ差がなく、そわそわした動きについて著者は「そわそわした動きと嘘のあいだにはっきりした関係はない」というのがこのデータの最もよい要約だとしています(DePaulo ほか, 2003)。別のメタ分析では、頭と体に見られる11の行動のうち嘘と確かに結びついていたのは三つ(うなずき、手の動き、足や脚の動き)だけで、三つとも嘘をつくときに増えるどころか減っていました。ただし多くの効果は研究によって大きく異なり、著者は実務家に対し、こうした行動で供述の真偽を判断しないよう注意を促しています(Sporer & Schwandt, 2007)。

全体として、推定値が3つ以上ある88の手がかりの効果量の中央値は|0.10|にすぎず、|0.40|を超えたのは三つだけでした。著者はこれを「欺瞞の見た目と音はかすかだ」という見出しでまとめています。手がかりは、うまくだまそうとする動機が強いとき、とくに自分の能力や評価がかかっているときや、悪いことを隠す嘘のときにはっきりし、特別な動機がなく悪いことを隠すのでもない嘘は「ほとんど手がかりのない」ものでした(DePaulo ほか, 2003)。こうした効果さえ、出版バイアスや推定値の少なさで過大になっている可能性があるという分析もあります(Luke, 2019)。

これらは多くの人を集めたときの平均的な違いです。答えが短い、声が震えるといったことで、一人の人を嘘つきと見なすことはできません。信じてもらいたいという動機が強い人は、嘘をついていてもいなくても嘘をついているように見えました(Bond & DePaulo, 2006)。興味深いことに、人が実際の判断で使う手がかりは本当の手がかりとおおむね同じ向きで、向きを逆に読んでいた行動はありませんでした。研究者は判断がよく外れる主な理由を、手がかりそのものの弱さにあるとみています(Hartwig & Bond, 2011)。

人はどれくらい嘘を見抜けるのか:平均54%

あるメタ分析は、206の文献、判断者24,483人の結果をまとめました。多くは実験室で初対面の人の話を見聞きし、道具も訓練もなしに、その場で本当か嘘かを判断した研究です。正答率は平均54%(292サンプルの単純平均は53.98%)で、本当の話は61%正しく判断できた一方、嘘は47%しか見抜けませんでした。「本当」という判断は単純平均で56.86%(加重平均55.23%)と半分を超えており、このように相手の話を信じる方向に傾く傾向は「真実バイアス」と呼ばれます(Bond & DePaulo, 2006)。

サンプルごとの平均は31%から73%まで散らばっていましたが、極端な値の多くは判断の数が少ない研究から出ていました。著者は、54%はコイン投げより少しよい程度だが、判断者どうしの差を基準にすると無視できない効果(d ≈ 0.40)だとも述べています(Bond & DePaulo, 2006)。

何を見るかも影響しました。音のない映像だけで判断すると、音声つきの場合や書き起こしを読む場合よりも正確さが下がり、顔だけで判断すると偶然の水準でした(d = 0.01)。著者は、ありがちな嘘つきのイメージが主に見た目に関するものなので、映像を見るとその思い込みが呼び起こされやすいと解釈しています(Bond & DePaulo, 2006)。

警察官、裁判官、精神保健の専門家、税関職員など、仕事で嘘に接することの多い人はどうでしょうか。同じ話を専門家と一般の人が判断した20の比較では、専門家のほうが優れているという証拠はありませんでした(d = −0.025)。専門家の正答率は平均55%未満でした。研究全体を通してみると一般の人より相手の話を信じない傾向に見えましたが(「本当」と判断した割合52.28%対55.69%)、同じ研究のなかで比べるとこの差は有意ではありませんでした(Bond & DePaulo, 2006)。法科学の実務家向けの雑誌に載った、より小規模なメタ分析も、警察官・裁判官・心理学者などの職業群(55.51%、2,685人)が学生や一般市民(54.22%、11,647人)より正確ではなかったと報告しています。自信は正確さとほとんど関係がなく(r = 0.05)、年齢、経験、学歴、性別も正確さと有意に関連していませんでした。この資料は補足的な根拠としてのみ紹介します(Aamodt & Custer, 2006)。

生まれつきの「嘘発見の達人」はいるのでしょうか。247のサンプルを分析した研究は、嘘を見抜く能力の個人差は「ごくわずか」だと結論づけました。見抜いた嘘の割合でみると、測定誤差を補正した判断者間の標準偏差は1%未満で、人は能力よりも、他人の話をどれだけ信じやすいかで違っていました。違いが大きかったのはむしろ話し手の側です。嘘でも本当でもより信用できそうに見える人がいて、調べた個人差のなかで判断の結果を最も左右したのは話し手の信用されやすさでした(要旨による。Bond & DePaulo, 2008)。

著者は、数十年の研究を経ても見抜ける率は「ほとんど動かない」とし、特別な道具なしにその場で判断しなければならない人にとって「多くの嘘は見抜けない」とまとめています。同時に、研究の多くが実験室の課題で、判断者は大学生が中心で、情報を集める機会がなかったという限界も示しています(Bond & DePaulo, 2006)。見た目で人を判断することの限界は、人相と第一印象のガイドでも取り上げています。

微表情とポリグラフは違うのか

微表情とは、感情を隠そうとしたときに1/25〜1/5秒ほど顔をよぎる表情のことです。ある実験では、参加者が嫌悪・悲しみ・恐怖・喜びを誘う写真や中立的な写真を見て、本物の表情か作った表情で反応し、研究者は697の表情を1/30秒ごとに分析しました。隠そうとした感情がちぐはぐな表情として漏れた瞬間は全員に一度はありましたが、微表情が見られたのは参加者の21.95%、全表情の2%だけで、訓練を受けていない観察者は偶然をわずかに上回る程度しか見抜けませんでした(要旨による。Porter & ten Brinke, 2008)。写真に対する感情を偽る課題なので、事実について嘘をつく場面とは異なる点にも注意が必要です。

微表情を読む訓練は役に立つのでしょうか。90人を微表情訓練ツール(METT)、偽の訓練、訓練なしに無作為に分けた研究では、METTを受けた群はほかの二群より正確ではなく、全体の正答率は偶然をわずかに下回りました(要旨による。Jordan ほか, 2019)。一つの研究で、判断した映像も一人5本ですが、訓練の効果を裏づける結果ではありませんでした。

ポリグラフ(いわゆる嘘発見器)は、嘘そのものを検出する機械ではありません。心拍などの体の反応を測り、検査者がその記録から心理状態を推し量ります。米国研究評議会(National Research Council)の委員会は、嘘と結びつく状態、たとえば嘘つきと判定されることへの恐れは嘘がなくても生じうること、検査そのものへの不安も同じ反応に影響することを指摘しました。また、本当のことを言っているのに犯人と疑われている人が、嘘をつく人に似た反応を示しうるという根拠もあるとしています(National Research Council, 2003)。

委員会の結論は、特定の出来事についての検査は嘘と本当を「偶然よりはるかに高いが、完璧にはほど遠い」水準で区別できる、というものでした。実験室の52のデータセットでは正確度指数の中央値が0.86(真ん中の半分が0.81〜0.91)、七つの現場研究では中央値が0.89でしたが、この指数は正答率(%)ではなく、委員会はこれらの数字が現場での正確さを過大に見積もっているとみていました。職員のスクリーニングの例も挙げています。スパイ10人を含む職員1万人に、実際に期待できるより高い正確度(0.90)を仮定して検査しても、スパイのうち8人を見つけるように基準を設定すると無実の職員1,598人も引っかかり、誤った警報を39人まで減らすとスパイ10人のうち8人が通過してしまいます。測られる体の反応は意図的に変えることもでき、対抗手段も懸念の一つとされました(National Research Council, 2003)。

研究がより有望とみる方法:しぐさより情報と質問

実生活で嘘はどのように見つかるのでしょうか。他人についた嘘に気づいた経験を202人に思い出してもらった研究では、人は主に第三者から得た情報や物的な証拠で嘘に気づいており、気づくまでに数日、数週間、数か月以上かかることも多くありました(Park ほか, 2002)。

そこで研究者は、しぐさを読むかわりに、質問の仕方で嘘と本当の差を広げる面接法を研究してきました。認知的アプローチは、話し手の頭の負担を増やし、より詳しく話してもらい、予想外の質問をする方法です。これを開発した研究者は、認知的アプローチを使った研究をまとめたメタ分析(うち14は通常の面接と直接比較)で、全体の正答率が71%と通常の面接(56%)より高かったと報告しています(要旨による。Vrij ほか, 2017)。これに対し別の研究者は同じデータを再分析し、比較条件の正答率が異様に低く、利点は「以前主張されていたよりずっと小さい」と反論しました(要旨による。Levine ほか, 2018)。元の研究者は批判に反論しつつも、双方とも「控えめな改善」という結論は同じだと答えています(要旨による。Vrij ほか, 2018)。

人が直接判断した研究だけをまとめたメタ分析では、認知的アプローチを使った面接についての判断の正答率は平均60.00%(バイアス補正後55.03%)でした。何を見ればよいか知らない観察者は52.37%で偶然とあまり変わらず、どの手がかりに注目するか教わった観察者は75.81%でした。ただし出版バイアスの兆候や研究間の大きなばらつきがあったと著者は付け加えています(要旨による。Mac Giolla & Luke, 2021)。

ほかに二つの方法も研究されています。検証可能性アプローチは、嘘をつく人が確かめられる細部(名前を挙げられる目撃者、防犯カメラ、領収書など)を避けることを利用します。14の研究をまとめたメタ分析では、嘘には確かめられる細部が少なく(g = 0.42)、調べる側が確認できる内容を入れるよう前もって求めると差がさらに大きくなりました(g = 0.80)(Palena ほか, 2021。Vrij ほか, 2022による)。証拠の戦略的活用(SUE)は、面接者が持つ証拠をすぐには示さず、質問しながら話が証拠と合うかを確かめる方法で、八つの研究で話が証拠と合う度合いに大きな差(d = 1.06)がありました(Hartwig ほか, 2014。Vrij ほか, 2022による)。

これらは訓練を受けた捜査面接者のための方法で、研究の多くは参加者に嘘か本当のことを話してもらう実験です。研究がいくつかの研究室に集中していることや、多くが欧米で行われていることは、開発者自身も限界として挙げています(Vrij ほか, 2022)。それでも共通するメッセージは明確です。しぐさよりも、確かめられる情報と、話が事実と合っているかのほうが多くを教えてくれます。この分野のあるレビューは、これまで見つかった非言語の手がかりを「かすかで当てにならない」とまとめています(要旨による。Vrij ほか, 2019)。

日常の嘘と身近な人への疑い

人はどれくらい嘘をつくのでしょうか。米国バージニア大学の学生77人と同じ地域の住民70人が、一週間、10分以上続いた会話(嘘をついた会話は短くても含む)とすべての嘘を記録した日記研究では、学生は1日平均およそ2回(1.96回)、地域の住民はおよそ1回(0.97回)嘘をついたと記録しました。学生は会話の約3回に1回、住民は約5回に1回嘘をついており、参加者はほとんどの嘘を深刻なものとは考えておらず、あまり計画もしていなかったと答えています(DePaulo ほか, 1996)。

米国の成人1,000人に過去24時間についた嘘の数を尋ねたオンライン調査では、平均は1.65回でしたが中央値は0でした。59.9%はその日嘘をつかなかったと答え、報告された嘘の半分は5.3%の人によるものでした。研究者は、分布が大きく偏っているため平均は誤解を招くと指摘しています(Serota ほか, 2010)。どちらの研究も自己報告による数字です。

身近な人の嘘は見抜きやすいのでしょうか。判断の前にその人のふだんの様子を見せた実験では正答率が少し上がりましたが(21の比較で55.91%対52.26%)、差は小さいものでした。人はよく知っている相手ほど疑うより信じる方向に傾き、長く付き合っている相手についての判断も50%から数ポイント以内でした(Bond & DePaulo, 2006)。

ですから、以下は研究で確かめられた方法ではなく、研究結果に照らした提案です。気になることがあるなら、表情やしぐさを読もうとするより、何が食い違って見えるのか、具体的な事実について話してみてください。しぐさだけで相手を嘘つきと決めつけると、本当のことを言っている人を不当に傷つけかねません。恋人の携帯電話をこっそり確かめたくなったとき、確かめることが一時の安心のあとでなぜ新しい疑いを生みうるのかは、恋愛の嫉妬のガイドで取り上げています。相手が、あなたがはっきり見聞きしたことまで繰り返し否定して、自分の記憶や判断を疑うようになっているなら、ガスライティングのガイドを読んでみてください。

「嘘つきのサイン」のリストがなぜもっともらしく感じられるのかも考えてみる価値があります。目の動きで嘘がわかるという思い込みについて、研究者は錯誤相関を可能性の一つとして挙げました。そのサインがたまたま嘘と一致したときだけを覚えていて、外れたときは忘れてしまうという説明ですが、直接確かめた仮説ではありません(Wiseman ほか, 2012)。誰にでも当てはまる説明が自分のことのように感じられる理由は、バーナム効果のガイドで取り上げています。

嘘の見抜き方のよくある質問

Q. 嘘をつくと目が右上に動きますか? A. そうだという根拠は見つかりませんでした。三つの研究のどれもこの説を支持しませんでした。嘘と本当の話の目の動きに有意な差はなく、このルールを教わった人もより正確ではありませんでした(32本中16.33本対16.59本)(Wiseman ほか, 2012)。

Q. 嘘をつくと鼻を触ったり、手足をそわそわ動かしたりしますか? A. そわそわした動きと嘘のあいだにはっきりした関係はなく、自分の体をかいたり触ったりする行動にもほとんど差がありませんでした(d = −0.01)(DePaulo ほか, 2003)。嘘をつくときに手や脚の動きがむしろ少し減ったというメタ分析もありますが、研究によって結果はまちまちでした(Sporer & Schwandt, 2007)。

Q. 警察官や心理の専門家は嘘をよく見抜けますか? A. そうだという証拠はありません。同じ話についての20の比較で専門家のほうが優れてはおらず、専門家の正答率も平均55%未満でした(Bond & DePaulo, 2006)。仕事で嘘を扱う人(55.51%)と学生・一般市民(54.22%)の差も小さいものでした(Aamodt & Custer, 2006)。

Q. ポリグラフはどれくらい正確ですか? A. 特定の出来事についての検査は偶然よりはるかに優れていますが、完璧にはほど遠いものです。実験室研究の正確度指数の中央値0.86は「86%正しい」という意味ではなく、委員会は現場での正確さはこれより低いとみていました。嘘をつく人がごく少ない集団をスクリーニングすると、無実の人が多く引っかかるという問題も大きくなります(National Research Council, 2003)。

Q. 微表情を学べば嘘を見抜けますか? A. これまでの根拠からは難しそうです。微表情は表情の2%にしか見られず(Porter & ten Brinke, 2008)、90人を無作為に分けた研究では訓練を受けた群の正答率は高くありませんでした(Jordan ほか, 2019)。

Q. 身近な人の嘘なら見抜きやすいですか? A. 少し助けになる程度です。実験でふだんの様子を先に見てから判断すると正答率は55.91%で、そうでない場合(52.26%)よりわずかに高いだけでした。よく知っている相手ほど信じる傾向もありました(Bond & DePaulo, 2006)。実際には、時間がたってから他の人の話や証拠でわかることが多くありました(Park ほか, 2002)。

Q. 人は1日に何回嘘をつきますか? A. 一週間の日記研究では、学生は1日およそ2回(1.96回)、地域の住民はおよそ1回(0.97回)でした(DePaulo ほか, 1996)。米国の成人1,000人の調査では平均1.65回でしたが、59.9%はその日一度も嘘をつかず、嘘の半分を5.3%の人がついていました(Serota ほか, 2010)。

Q. 嘘がばれにくい人はいますか? A. 判断する側より話し手の側の違いのほうが大きく、嘘でも本当でもより信用できそうに見える人がいました(Bond & DePaulo, 2008)。信用できそうに見えることと、正直であることは同じではありません。

参考文献:The Global Deception Research Team (2006), A world of lies, Journal of Cross-Cultural Psychology 37(1), 60–74, https://doi.org/10.1177/0022022105282295; DePaulo, B. M., Lindsay, J. J., Malone, B. E., Muhlenbruck, L., Charlton, K., & Cooper, H. (2003), Cues to deception, Psychological Bulletin 129(1), 74–118, https://doi.org/10.1037/0033-2909.129.1.74; Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2006), Accuracy of deception judgments, Personality and Social Psychology Review 10(3), 214–234, https://doi.org/10.1207/s15327957pspr1003_2; Hartwig, M., & Bond, C. F., Jr. (2011), Why do lie-catchers fail? A lens model meta-analysis of human lie judgments, Psychological Bulletin 137(4), 643–659, https://doi.org/10.1037/a0023589; Park, H. S., Levine, T. R., McCornack, S. A., Morrison, K., & Ferrara, M. (2002), How people really detect lies, Communication Monographs 69(2), 144–157, https://doi.org/10.1080/714041710; Sporer, S. L., & Schwandt, B. (2007), Moderators of nonverbal indicators of deception: a meta-analytic synthesis, Psychology, Public Policy, and Law 13(1), 1–34, https://doi.org/10.1037/1076-8971.13.1.1; Luke, T. J. (2019), Lessons from Pinocchio: cues to deception may be highly exaggerated, Perspectives on Psychological Science 14(4), 646–671, https://doi.org/10.1177/1745691619838258; Wiseman, R., Watt, C., ten Brinke, L., Porter, S., Couper, S.-L., & Rankin, C. (2012), The eyes don’t have it: lie detection and neuro-linguistic programming, PLoS ONE 7(7), e40259, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0040259; Aamodt, M. G., & Custer, H. (2006), Who can best catch a liar? A meta-analysis of individual differences in detecting deception, The Forensic Examiner 15(1), 6–11; Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2008), Individual differences in judging deception: accuracy and bias, Psychological Bulletin 134(4), 477–492, https://doi.org/10.1037/0033-2909.134.4.477; Porter, S., & ten Brinke, L. (2008), Reading between the lies: identifying concealed and falsified emotions in universal facial expressions, Psychological Science 19(5), 508–514, https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02116.x; Jordan, S., Brimbal, L., Wallace, D. B., Kassin, S. M., Hartwig, M., & Street, C. N. H. (2019), A test of the micro-expressions training tool: does it improve lie detection?, Journal of Investigative Psychology and Offender Profiling 16(3), 222–235, https://doi.org/10.1002/jip.1532; National Research Council (2003), The Polygraph and Lie Detection, Washington, DC: The National Academies Press, https://doi.org/10.17226/10420; Vrij, A., Fisher, R. P., & Blank, H. (2017), A cognitive approach to lie detection: a meta-analysis, Legal and Criminological Psychology 22(1), 1–21, https://doi.org/10.1111/lcrp.12088; Levine, T. R., Blair, J. P., & Carpenter, C. J. (2018), A critical look at meta-analytic evidence for the cognitive approach to lie detection: a re-examination of Vrij, Fisher, and Blank (2017), Legal and Criminological Psychology 23(1), 7–19, https://doi.org/10.1111/lcrp.12115; Vrij, A., Blank, H., & Fisher, R. P. (2018), A re-analysis that supports our main results: a reply to Levine et al., Legal and Criminological Psychology 23(1), 20–23, https://doi.org/10.1111/lcrp.12121; Mac Giolla, E., & Luke, T. J. (2021), Does the cognitive approach to lie detection improve the accuracy of human observers?, Applied Cognitive Psychology 35(2), 385–392, https://doi.org/10.1002/acp.3777; Palena, N., Caso, L., Vrij, A., & Nahari, G. (2021), The Verifiability Approach: a meta-analysis, Journal of Applied Research in Memory and Cognition 10, 155–166, https://doi.org/10.1037/h0101785 [as cited in Vrij et al., 2022]; Hartwig, M., Granhag, P. A., & Luke, T. J. (2014), Strategic use of evidence during investigative interviews: the state of the science, in D. C. Raskin, C. R. Honts & J. C. Kircher (Eds.), Credibility Assessment: Scientific Research and Applications (pp. 1–36), Oxford: Academic Press [as cited in Vrij et al., 2022]; Vrij, A., Granhag, P. A., Ashkenazi, T., Ganis, G., Leal, S., & Fisher, R. P. (2022), Verbal lie detection: its past, present and future, Brain Sciences 12(12), 1644, https://doi.org/10.3390/brainsci12121644; Vrij, A., Hartwig, M., & Granhag, P. A. (2019), Reading lies: nonverbal communication and deception, Annual Review of Psychology 70, 295–317, https://doi.org/10.1146/annurev-psych-010418-103135; DePaulo, B. M., Kashy, D. A., Kirkendol, S. E., Wyer, M. M., & Epstein, J. A. (1996), Lying in everyday life, Journal of Personality and Social Psychology 70(5), 979–995, https://doi.org/10.1037/0022-3514.70.5.979; Serota, K. B., Levine, T. R., & Boster, F. J. (2010), The prevalence of lying in America: three studies of self-reported lies, Human Communication Research 36(1), 2–25, https://doi.org/10.1111/j.1468-2958.2009.01366.x

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