こころのガイド
自己肯定感が低い人の特徴:研究でわかった5つのサインとよくある誤解
自己肯定感が低い人の特徴を、根拠のないリストではなく研究からまとめました。失敗を自分全体に広げる、よいことを長く味わえないなど五つのサインと、よくある誤解、変われるのかまで。
自己肯定感が低い人の特徴、何を見ればいい?
心理学でいう自己肯定感(自尊感情)は、自分を全体としてどれくらい価値ある人だと感じているかを指します。もっとも広く使われているローゼンバーグの自尊感情尺度も、「だいたいにおいて、自分に満足している」といった文にどれくらい同意するかをたずねます。mind.ioの自己肯定感テストもこの尺度を使っています。
ネットにある「自己肯定感が低い人の特徴」のリストは、ほとんどが根拠なく並べたものです。このガイドでは、研究に裏づけのある五つの傾向だけを選び、それぞれどんな実験や調査から出てきたのかとあわせてまとめます。続いて、自己肯定感がなぜ大切なのか、よくある誤解、そして自己肯定感は変わるのかを取り上げます。
先に知っておきたいことがあります。以下の傾向は診断基準ではなく、自己肯定感が低いからといって全部当てはまるわけでもありません。多くは実験や調査で自己肯定感の高い人と低い人の平均を比べた結果なので、ひとりの人を判断するより「なぜこれがくり返されるのか」を理解するために使うのが向いています。
研究でわかった五つのサイン
1. ひとつの失敗を「自分全体」に広げてしまう。ブラウンとダットン(Brown & Dutton, 1995)の実験では、失敗のあとの自己肯定感の低い人と高い人の違いは、うれしさや悲しさのような一般的な気分ではなく、恥ずかしさや誇りのように自分に直結する感情に表れました。研究チームは、自己肯定感の低い人が失敗の否定的な意味を広げすぎることが一因だと考えました。「今回の発表は失敗した」が「自分はもともとこういう人間だ」になるのです。
2. よいことがあっても長く味わえない。ウッドら(Wood, Heimpel & Michela, 2003)の五つの研究では、自己肯定感の低い人は成功のあとによい気分を自分で抑える傾向(「浮かれちゃだめ」「運がよかっただけ」)が強く、この反応は翌日の気分の悪さと関連していました。神経症傾向と外向性を統制しても、自己肯定感との関係は残りました。
3. 相手が自分をよく思っていると信じにくい。マレーら(Murray, Holmes & Griffin, 2000)が恋人や夫婦を調べると、自己肯定感の低い人は、相手が自分をどれくらいよく見ているかを実際よりずっと低く見積もっていました。この不安は相手を寛大に見られないことや関係の満足度の低さと関連があり、交際中のカップルを追跡すると時間とともに強まりました。
4. 受け入れられているかに敏感(理論にもとづく解釈)。リアリーら(Leary et al., 1995)のソシオメーター理論は、自己肯定感を「いま周りに受け入れられているか」を知らせる計器のようにとらえます。この理論に照らすと、人の顔色をよく見たり拒絶の気配に揺れたりするのは、計器がしょっちゅう「危険」を指している状態と解釈できます。
5. ポジティブな自己暗示がかえって気分を下げることがある。ウッドら(Wood, Perunovic & Lee, 2009)の実験では、自己肯定感の低い参加者が「私は愛される価値のある人間だ」とくり返すと、くり返さなかった人より気分が悪くなりました。自己肯定感の高い人は少しよくなっただけでした。信じられない言葉は、かえって反対の証拠を思い出させるからかもしれないと研究チームは考えています。ただし、2020年に同じ方法をもう一度試した2つの研究(約225人と237人)では、この違いは再び現れませんでした(Flynn & Bordieri, 2020)。
自己肯定感はなぜ大切か:うつとの関係
ソウィスロとオルト(Sowislo & Orth, 2013)は、同じ人を時間を追って調べた研究を集めて分析しました(うつ77件、不安18件)。低い自己肯定感がのちのうつを予測する大きさ(.16)は、うつがのちの自己肯定感を下げる大きさ(.08)のおよそ2倍でした。低い自己肯定感がうつの原因のひとつになりうるという「脆弱性モデル」を支持する結果です。不安では両方向が同じくらいでした(.10と.08)。
続く研究(Sowislo, Orth & Meier, 2014)では、自己肯定感がどれだけ上下するかや自分にかかわる出来事にどれだけ左右されるかよりも、自己肯定感の水準そのものが、その後の抑うつ症状をよく予測しました。ビッグファイブを統制しても同じでした。
オルトとロビンス(Orth & Robins, 2022)は複数のメタ分析を検討し、高い自己肯定感は人間関係、学業、仕事、心身の健康でおおむね有利に働くとまとめました。効果の大きさは領域をならして平均.10ほどと大きくはありませんが、自己効力感や愛着の安定といったほかの要因と同じくらいです。自己肯定感がすべてを決めるわけではありませんが、大切にする価値は十分にあります。自己肯定感と混同されやすい自己効力感は自己効力感のガイドにまとめています。
自己肯定感についてのよくある誤解
誤解1「えらそうにする人は自己肯定感が高い」。ブルーメルマンら(Brummelman, Thomaes & Sedikides, 2016)は、自己愛(ナルシシズム)を「行きすぎた自己肯定感」とみなす見方に異を唱えました。自己愛の中心は人より優れているという感覚と称賛を求める気持ちですが、自己肯定感は人より優れていなくても自分は十分に大丈夫だと思える気持ちです。両者は表れ方も、もたらす結果も、育ってきた背景も違うとまとめています。
誤解2「自己肯定感が低いとうつ病だ」。両者は密接に関係していて、低い自己肯定感はうつのリスク要因ですが、低い自己肯定感そのものは診断ではありません。うつとは別に見つめ、取り組める部分です。
誤解3「ポジティブな自己暗示をくり返せば自己肯定感が上がる」。上のウッドら(2009)の実験のように、自己肯定感が低い人ほど逆効果になることがあります。無理によい言葉を重ねるより、事実に近いバランスのとれた言い方のほうがよいことは、自己肯定感を高める方法で例とあわせて取り上げています。アファメーションと「引き寄せの法則」の研究全体は引き寄せの法則のガイドにまとめています。
誤解4「自己肯定感は生まれつきで変わらない」。次の節で見るように、自己肯定感は年齢によって平均でかなり大きく動き、取り組みによって変わりうるという研究もあります。
自己肯定感は変わるのか
オルトら(Orth, Erol & Luciano, 2018)は、同じ人を時間を追って調べた331のサンプル、16万4千人あまりのデータを集めて分析しました。サンプルの平均年齢は4歳から94歳にわたります。平均の自己肯定感は子ども時代に上がり、思春期の初めにいったん止まったあと30歳まで大きく上がり、60歳ごろにもっとも高くなって、70歳以降ゆるやかに下がりました。性別、国、世代が違ってもこの流れは似ていました。いま低いからといって、ずっと低いままではないということです。
体系的なプログラムを調べた研究もあります。ヘイニーとダーラック(Haney & Durlak, 1998)が子ども・若者を対象にした研究116件を分析したところ、自己肯定感そのものを目標にしたプログラムの効果(0.57)は、行動やソーシャルスキルなどほかの目標を扱ったプログラム(0.10)よりずっと大きいものでした。成人を対象にした分析ではないのでそのまま当てはめることはできませんが、ただ待つより自己肯定感に直接取り組むほうがよい可能性を示しています。
上の五つのサインを裏返すと、試してみる価値のある練習が見えてきます。失敗を「今回のこと」に絞って言う、よいことがあったらすぐ流さずにしばらく味わう、相手が自分をどう見ているかを想像ではなく実際の言葉や行動から確かめる、耳ざわりのよい自己暗示の代わりに信じられる言葉を使う、といったことです。自分を責める癖が強いなら、セルフ・コンパッションもあわせて見てみてください。
mind.ioの自己肯定感テストとあわせて読む
mind.ioの自己肯定感テストは、ローゼンバーグ尺度の10問に答えると0〜30点で表示します。0〜14点は「今は自分に厳しくなっている時期」、15〜25点は「おおむね安定した自己肯定感」、26〜30点は「しっかりした自己肯定感」と読みます。韓国の成人の平均はこの点数でおよそ18〜22点です(くわしい数字は自己肯定感の平均点)。
点数が低く出たなら、上の五つのサインのうち自分になじみのあるものがあるか思い返してみてください。ひとつでも思い当たれば、そこから練習を始めればいいのです。点数はその日の気分や最近の出来事で変わるので、数週間後にもう一度受けて「マイ結果」で比べてみてください。
ただし、気分の落ち込みが2週間以上続いていたり、日常がつらかったりするなら、自己肯定感より先に心の健康を見るときです。うつのセルフチェックで状態を確かめ、必要なら専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 自己肯定感が低い人のいちばん代表的な特徴は? A. 研究に裏づけがあるのは、失敗を自分全体に広げること、よいことを長く味わえないこと、相手が自分をよく思っていると信じにくいこと、ポジティブな自己暗示がかえって居心地悪いことです。受け入れられているかに敏感なことは、理論にもとづく解釈です。ただし、全員にすべて当てはまるわけではありません。
Q. 自己肯定感がいちばん高いのは何歳ごろ? A. 4歳から94歳までの研究をまとめた分析では、平均の自己肯定感は60歳ごろにもっとも高くなりました。30歳まで大きく上がり、70歳以降はゆるやかに下がりました。ただし国やデータによって違いがあり、韓国福祉パネルを分析した研究では、年齢の高いグループほど平均が少し低めでした(自己肯定感の平均点)。
Q. 自己肯定感が低いと、必ずカウンセリングを受けるべき? A. 自己肯定感そのものは診断名ではなく、自分で練習できる部分も多くあり、危機でなくても相談が役に立つことがあります。ただ、落ち込みが長く続いたり、自分を傷つけたい気持ちがあったりするなら、すぐに専門家や相談窓口(よりそいホットライン 0120-279-338、24時間・無料)に助けを求めてください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。
参考文献:Brown, J. D., & Dutton, K. A. (1995), The thrill of victory, the complexity of defeat: Self-esteem and people’s emotional reactions to success and failure, Journal of Personality and Social Psychology 68(4), 712-722, https://doi.org/10.1037/0022-3514.68.4.712; Wood, J. V., Heimpel, S. A., & Michela, J. L. (2003), Savoring versus dampening: Self-esteem differences in regulating positive affect, Journal of Personality and Social Psychology 85(3), 566-580, https://doi.org/10.1037/0022-3514.85.3.566; Murray, S. L., Holmes, J. G., & Griffin, D. W. (2000), Self-esteem and the quest for felt security: How perceived regard regulates attachment processes, Journal of Personality and Social Psychology 78(3), 478-498, https://doi.org/10.1037/0022-3514.78.3.478; Leary, M. R., Tambor, E. S., Terdal, S. K., & Downs, D. L. (1995), Self-esteem as an interpersonal monitor: The sociometer hypothesis, Journal of Personality and Social Psychology 68(3), 518-530, https://doi.org/10.1037/0022-3514.68.3.518; Wood, J. V., Perunovic, W. Q. E., & Lee, J. W. (2009), Positive self-statements: Power for some, peril for others, Psychological Science 20(7), 860-866, https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2009.02370.x; Flynn, M. K., & Bordieri, M. J. (2020), On the failure to replicate past findings regarding positive affirmations and self-esteem, Journal of Contextual Behavioral Science 16, 49-61, https://doi.org/10.1016/j.jcbs.2020.03.003; Sowislo, J. F., & Orth, U. (2013), Does low self-esteem predict depression and anxiety? A meta-analysis of longitudinal studies, Psychological Bulletin 139(1), 213-240, https://doi.org/10.1037/a0028931; Sowislo, J. F., Orth, U., & Meier, L. L. (2014), What constitutes vulnerable self-esteem? Comparing the prospective effects of low, unstable, and contingent self-esteem on depressive symptoms, Journal of Abnormal Psychology 123(4), 737-753, https://doi.org/10.1037/a0037770; Orth, U., & Robins, R. W. (2022), Is high self-esteem beneficial? Revisiting a classic question, American Psychologist 77(1), 5-17, https://doi.org/10.1037/amp0000922; Brummelman, E., Thomaes, S., & Sedikides, C. (2016), Separating narcissism from self-esteem, Current Directions in Psychological Science 25(1), 8-13, https://doi.org/10.1177/0963721415619737; Orth, U., Erol, R. Y., & Luciano, E. C. (2018), Development of self-esteem from age 4 to 94 years: A meta-analysis of longitudinal studies, Psychological Bulletin 144(10), 1045-1080, https://doi.org/10.1037/bul0000161; Haney, P., & Durlak, J. A. (1998), Changing self-esteem in children and adolescents: A meta-analytic review, Journal of Clinical Child Psychology 27(4), 423-433, https://doi.org/10.1207/s15374424jccp2704_6.
ひとりで抱えなくて大丈夫です
自分を傷つけたい気持ちになったときや、心がつらくてたまらないときは、下の窓口に相談できます。よりそいホットラインは24時間つながります。
- よりそいホットライン 0120-279-338 24時間・無料
- いのちの電話(ナビダイヤル) 0570-783-556 毎日10:00〜22:00・通話料がかかります
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