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こころのガイド

なぜ決められない? 優柔不断・最大化傾向・選択のパラドックスと、役立つこと

なぜ決められない? 優柔不断、マキシマイザーとサティスファイサー、ジャムの実験と選択過多、決断疲れの研究と、決めやすくする方法をまとめました。

決めることが特に難しい人たち:優柔不断とは

ランチのメニュー一つ選ぶのにも時間がかかり、選んだあとも別のものにすればよかったかと考え込んでしまう人がいます。心理学では、ある決定を一度ためらうことと、さまざまな場面で一貫して決めるのが難しいという傾向である優柔不断とを区別します。研究者が挙げる優柔不断の特徴は、決めることが負担に感じられる、決めるのに時間がかかる、決定を先延ばししたり避けたりする、決める前に何度も考えを変える、決めたあともその決定を振り返って心配する、といったものです(Cheek & Goebel, 2020)。

優柔不断は診断名ではありません。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-11)の診断ガイドラインは、優柔不断を、決定を下したり一つの方針に心を決めたりするのが難しい傾向と定義し、病気ではなく、性格の特徴に関連する症状・徴候の一つとして挙げています(WHO, 2024)。優柔不断を実験で研究したドイツの研究チームも、これを病的ではない特性とし、文化によっては肯定的に受け止められることもあると書いています(Appel & Gerlach, 2025)。韓国では、決められないことを障害にたとえる俗語がよく使われますが、これも診断名ではありません。韓国語の市民団体ハングル文化連帯の学生記者による記事は、この言葉が障害を茶化す表現だと指摘し、「決めるのが難しい」「優柔不断」と言い換えることを提案しています(Jeong, 2023)。この記事では「優柔不断」「選ぶのが難しい」という言葉を使います。

研究では、優柔不断を質問紙で測ります。1993年に発表された優柔不断尺度(15項目)を使った研究では、得点が高い人ほど先延ばしの傾向や全般的な心理的困難が大きく、対人関係・学業・家族・日常生活などさまざまな領域で決めるのが難しいと答え、実験課題でも決めるのに時間がかかりました(Frost & Shows, 1993; Bratko & Cetina, 2021)。mind.ioには優柔不断の検査はありません。この記事では、選ぶのが難しい理由についての研究を整理し、「最善だけを求める傾向」「選択肢が多すぎる状況」「決断疲れ」をめぐる主張と反論、そして役立つ方法を、根拠の強さとあわせて紹介します。

何と一緒に現れるのか:性格、不確実さ、後悔

優柔不断は、いくつかの性格特性と一緒に現れる傾向があります。クロアチア語のオンライン調査に答えた296人を分析した研究チームは、それまでのビッグファイブ研究を整理し、優柔不断との相関が最も高いのは神経症傾向(情緒の不安定さ)で、誠実性と開放性にも相当な相関が見られたと紹介しました。この研究自体はHEXACOという6因子の性格モデルを使っており、外向性(r = −.52)と誠実性(r = −.35)が低いほど、情動性(r = .26)が高いほど優柔不断でした(Bratko & Cetina, 2021)。米国の大学生191人のデータでも、優柔不断は神経症傾向とr = .57、人生満足度とr = −.34の相関がありました(Diab ほか, 2008)。いずれも一時点で測った相関なので、性格が優柔不断を生むという意味ではありません。自分の情緒の敏感さや誠実性はビッグファイブで確かめられます。

不確実な状況に耐えにくい傾向、つまり「不確実性への不耐性」も、優柔不断と一貫して関連しています(Appel & Gerlach, 2025)。ドイツの研究チームは、それが原因なのかを確かめるため、成人301人を無作為に三つのグループに分け、そのうち二つのグループに、架空の女性に不確実さをもっと警戒するよう、あるいはもっと受け入れるよう助言する文章を書いてもらいました。そのあと、実際のお金がかかった宝くじ選びでは、不確実さをもっと警戒するよう助言した人のほうが、もっと受け入れるよう助言した人より優柔不断でした(d = 0.54)。転職のように自分が実際に抱えている大事な決定でも同じ方向でしたが、統計的に意味のある差ではありませんでした(d = 0.23)。架空の事例に助言を書く短い課題なので、効果が長く続くとは考えにくいと研究チームも述べています(Appel & Gerlach, 2025)。不安症や強迫症と診断された154人に同じ方法を使った追加の実験では、条件による直接の効果はなく、そのときに感じた不確実さを通した小さな間接効果だけが見られました(Appel ほか, 2026)。

完璧主義との関係は、どの完璧主義を測るかで違いました。1993年の研究では、優柔不断は強迫的な考えや確認行為、ミスや他人の評価を気にするタイプの完璧主義、物を捨てられないためこみと関連していました(Frost & Shows, 1993)。一方、オンライン参加者279人を調べた2020年の研究では、完璧を目指す傾向を測る尺度とはほとんど関連がなく(r = −.06)、後悔(r = .65)、不確実性への不耐性(r = .54)、否定的な評価への恐れ(r = .51)と強く関連していました(Cheek & Goebel, 2020)。完璧主義については完璧主義とはで別にまとめています。

文化による違いもあります。中国・日本・米国の参加者を比べた研究では、日本の参加者が自己報告した優柔不断の程度が高く、研究チームは、決断力のある行動をどれだけよいものと見るかという価値観の違いと、物事を念入りに検討する傾向をその背景に挙げました(Yates ほか, 2010)。優柔不断を欠点とだけ見る必要はないということです。MBTIの判断と知覚(J/P)は、決定を下して区切りをつけるほうと、選択肢を開いておくほうのどちらが楽かという好みを表します。この記事で紹介する研究は、優柔不断を別の尺度で測っており、J/Pで測ったものではないので、Pという結果だけで優柔不断だとは言えません。

最善だけを求める人と「これで十分」と思える人

選ぶのが難しい理由としてよく取り上げられるのが、最大化傾向です。2002年、シュワルツらの研究チームはハーバート・サイモンの理論をもとに、いつも最善の選択肢を選ぼうとする人をマキシマイザー(最大化者)、受け入れられる基準を超える選択肢に出会えばそれを選ぶ人をサティスファイサー(満足化者)と呼びました。サイモンは、人は実際には最善ではなく「これで十分」な選択肢を探していると考えていました(Schwartz ほか, 2002)。

研究チームは最大化尺度をつくり、米国の2大学とカナダの1大学の学生4グループと、看護師を中心とする医療従事者、駅の利用者、陪審員候補という一般成人3グループ、合わせて1,747人に実施しました。最大化の得点が高いほど、全体で後悔が多く(r = .52)、幸福感を測った6グループでは幸福感が低く(r = −.25)、抑うつを測った4グループでは抑うつ得点が高くなっていました(r = .34)。楽観性、自尊心、人生満足度も低い傾向でした。ただし研究チーム自身も、この結果からは因果の向きはわからないと述べています(Schwartz ほか, 2002)。

就職活動を追った研究もあります。11の大学の卒業予定者548人が、2001年11月から2002年5月までの3回の調査のうち最初の調査に答えました。最後の調査で内定を受け入れたと答えた学生のうち、最大化傾向が中央値より高い人の平均年収は44,515ドルで、低い人(37,085ドル)より約20%高くなっていました。それでも、最大化傾向が高いほど、年収を考慮しても得た仕事への満足度が低く、就職活動のあいだずっと、より悲観的で、不安で、疲れていて、落ち込んでいたと答えていました(Iyengar ほか, 2006)。

その後の研究は、「マキシマイザーは不幸だ」という結論が測り方のせいかもしれないと指摘しました。元の尺度を既存のデータ(全部で12件、5,800人以上)で分析し直した研究では、尺度は三つの部分に分かれました。よりよい選択肢を探し続ける「代替案の探索」と、決めるのが難しい「決定の困難」は幸福感・抑うつ・楽観性と予想どおりの方向で関連しましたが、自分や物事に高い基準を求める「高い基準」は、これらとはっきりした関連がありませんでした。ただし、同じ論文が3つの大学の学生と職員176人から新たに集めたデータも踏まえて出した結論では、決定の困難は幸福感・人生満足度・楽観性の低さや抑うつの高さと関連した一方、代替案の探索は幸福感や抑うつとは関連せず、人生満足度の低さと後悔の多さとだけ関連していました(Nenkov ほか, 2008)。米国の大学生191人の研究では、新しくつくられた最大化尺度は元の尺度と違って、人生満足度(r = .04)、優柔不断(r = .05)、神経症傾向(r = .01)と関連がなく、後悔(r = .27)とだけ関連していました(Diab ほか, 2008)。

元の尺度をつくったシュワルツも加わった2016年のレビューは、最大化を「最善を選ぼうとする目標」と「代替案を探し続ける戦略」の二つの要素で考えることを提案しました。最善を求める目標そのものは不幸や人生への不満、抑うつを予測しないようで、決定の困難や後悔は最大化の一部というより、その原因や結果と見るべきだというのです(Cheek & Schwartz, 2016)。実際、オンラインで行われた二つの研究(合計639人)では、最大化尺度の「決定の困難」の項目と優柔不断尺度がr = .85以上の相関を示し、研究チームは両者が事実上同じ傾向を測っていると考えました(Cheek & Goebel, 2020)。これらの研究をまとめると、高い基準そのものより、際限なく比べて決めるのに苦しむことのほうが不満と強く関係しているようです。どれも相関研究である点は覚えておいてください。

選択肢が多いと本当に選べないのか:ジャムの実験とその後

「選択のパラドックス」を語るときによく登場するのがジャムの実験です。米国カリフォルニア州の高級食料品店で、2回の土曜日に試食コーナーを設け、1時間ごとにジャム6種類と24種類を入れ替えて並べました。24種類のときは前を通った客242人のうち60%が、6種類のときは260人のうち40%が立ち止まりました。ところが、立ち寄った客のうち実際にジャムを買った割合は、6種類のほうが約30%(31人)、24種類のほうが3%(4人)でした。同じ論文の大学生の実験でも、チョコレート30種類より6種類から選んだ人のほうが、選んだチョコレートに満足していました(Iyengar & Lepper, 2000)。

しかし、この結果はいつも再現されたわけではありません。発表・未発表の実験50件(63条件、5,036人)をまとめた2010年のメタ分析では、選択肢が多いことの悪影響は平均するとほぼゼロでした(D = 0.02、95%信頼区間 −0.09〜0.12)。著者の一人がドイツの高級スーパーでジャムの実験を再現しようとしたときも、悪影響は見られませんでした。また、選ぶ前からはっきりした好みや専門知識がある人は、選択肢が多いほうがむしろ有利でした(Scheibehenne ほか, 2010)。

だからといって、選択過多が起こらないという結論でもありません。99の観察(7,202人)を分析した2015年のメタ分析は、選択肢の構成が複雑なとき、課題が難しいとき、自分が何を望んでいるかはっきりしないとき、できるだけ手間をかけずに選ぼうとするときに選択過多が起こりやすく、こうした条件を考慮すると選択肢の数の効果は有意だったと報告しました(Chernev ほか, 2015)。二つのメタ分析をあわせて見ると、選択肢が多いというだけでいつも選べなくなるわけではありませんが、条件によっては選ぶのが難しくなりえます。

選択肢が増えると、決定そのものを先送りすることもあります。1992年の研究は、選択肢が増えたりよくなったりして選ぶことに葛藤が生じると、決定を先延ばしする、新しい選択肢を探す、デフォルト(初期設定)を選ぶといった傾向が強まりうると報告しました(Tversky & Shafir, 1992)。決定を何度も先送りしてしまうなら、先延ばし癖の直し方も参考にしてください。

「決断疲れ」は本当か:空腹の裁判官の研究と反論

たくさん決めると疲れて判断が鈍るという「決断疲れ」の根拠としてよく引用される研究があります。イスラエルの仮釈放審査委員会2か所で、裁判官8人が10か月間に下した1,112件の決定を分析した2011年の研究です。受刑者に有利な決定の割合は、1日の始まりや食事休憩の直後には約65%でしたが、次の休憩が近づくにつれてほぼゼロまで下がりました。研究チームはこれを、決定を繰り返すことで心的資源が枯渇した結果と解釈しましたが、裁判官の心的資源を直接測ったわけではないとも述べています(Danziger ほか, 2011a)。

この解釈には反論が相次ぎました。イスラエルの裁判所の研究部門と米国連邦司法センターの研究者は、審理の順番が無作為ではないと指摘しました。委員会は休憩の前に一つの刑務所の案件を終えようとし、弁護士のいない受刑者はたいてい各セッションの最後に審理されるというのです。彼らが集めた227件では、弁護士のいない受刑者の仮釈放が認められた割合は15%で、弁護士がいる受刑者(35%)より低くなっていました(Weinshall-Margel & Shapard, 2011)。元の研究チームは、弁護士の有無を加えて分析し直しても結果は変わらなかったと反論しました(Danziger ほか, 2011b)。2016年のシミュレーション研究は、時間のかかる有利な決定を休憩の直前には始めないという「合理的な時間管理」だけでも、似た、ただしやや小さい低下が生じうるとして、元の研究は効果の大きさを過大評価していると結論づけ、これだけですべての結果を説明できるわけではないとも付け加えました(Glöckner, 2016)。

この研究を心的資源の枯渇として読む背景には、自己制御は使うほど減る限られた資源だという「自我消耗」理論があります(Danziger ほか, 2011a; Hagger ほか, 2016)。ところが、23の研究室が同じ手順で2,141人を調べた事前登録の再現研究では、自我消耗の効果はd = 0.04と小さく、95%信頼区間(−0.07〜0.15)にゼロが含まれていました(Hagger ほか, 2016)。36の研究室、3,531人が参加した2021年の事前登録研究でも、あらかじめ決めた分析の結果は有意ではなく(d = 0.06)、除外基準を使わずに全員を見た探索的分析でだけ、ごく小さな効果(d = 0.08)が有意でした(Vohs ほか, 2021)。ただ、これらの研究は決定を続けて下させたのではなく、自己制御の課題のあとの成績を見たものなので、決断疲れを直接確かめたわけではありません。長く悩んだあとに疲れを感じることは実際にありえますが、「たくさん決めると判断力が尽きる」という話は、思われているほど根拠がしっかりしていません。

決めることを少し楽にする方法

以下の方法は、根拠の種類がそれぞれ違います。実験やメタ分析で直接確かめられたことと、研究結果から導いた提案を分けて書きました。この記事のために確認した資料の中には、優柔不断そのものを減らす方法を試した研究はありませんでした。

「これで十分」という基準を先に決めましょう。たとえばノートパソコンを買うなら、予算・重さ・画面の大きさのように本当に必要な条件を先に書き出し、それをすべて満たす製品が出てきたらそこで選ぶ、というやり方です。サイモンのいう満足化はこのやり方です(Schwartz ほか, 2002)。最大化傾向が強い人ほど後悔が大きく(Schwartz ほか, 2002)、よりよい選択肢を探し続ける傾向は、人生満足度の低さや後悔の多さと関連していました(Nenkov ほか, 2008)。ただ、どれも相関研究で、人に満足化を練習してもらって効果を確かめた実験は見つからなかったので、これは研究から導いた提案です。

自分が何を望んでいるかわからないときほど、比べる候補を減らしましょう。メタ分析では、望むものがはっきりせず選択肢が複雑なときに選択過多が起こりやすく(Chernev ほか, 2015)、前もってはっきりした好みがある人は、選択肢が多くてもむしろ有利でした(Scheibehenne ほか, 2010)。ですから、探し始める前に自分にとって大事な基準を二つか三つ決め、その基準で候補をいくつかに絞ってから比べてみてください。基準を先に決めて候補を絞るのはこれらの結果にもとづく提案で、候補がいくつのときに最もよいかについて、研究で決まった数はありません。

小さな決定には、自分なりのデフォルトを決めておきましょう。前もって選ばれた選択肢(デフォルト)は、人の選択にかなり大きな影響を与えます。58件の研究(73,675人)をまとめたメタ分析では、デフォルトの効果はd = 0.68でしたが、研究によるばらつきが大きく、有意な効果がない研究や逆の効果が出た研究もありました(Jachimowicz ほか, 2019)。これらの研究は、政策や企業が決めたデフォルトを調べたものです。同じ考え方を自分に当てはめて、「平日のランチは決めておいた2店のどちらか」「はっきりよいものがなければ今のものを続ける」のようなルールをつくるのは提案であり、直接試された方法ではありません。

ほかの使い道を思い浮かべてみましょう。何かを買うか迷っている人に、そのお金でできるほかのことを思い浮かべてもらうと、購入が減り、より安い選択肢を選ぶ割合が増えました(Frederick ほか, 2009)。39件の実験(14,005人)をまとめたメタ分析でもこの効果は確かめられましたが、大きさは最初の報告(d = 0.45〜0.85)よりかなり小さいものでした(d = 0.22)(Maguire ほか, 2023)。比べるのに使う時間やエネルギーを「その時間でできるほかのこと」と比べてみるのは、これらの研究から導いた提案です。

決めたら、それを「確定」として受け止める練習をしてみましょう。写真の授業の学生を対象にした実験では、選んだ写真をあとで変えられた学生は、変えられなかった学生より、その写真を好きになれませんでした。研究チームは、変えられる機会があると、決定のあとに満足を高める心の働きが妨げられると考えましたが、それでも参加者の多くは変えられる機会があるほうを望みました(Gilbert & Ebert, 2002)。この研究は選んだ写真への満足度を測ったもので、決定を確定と受け止める練習が優柔不断を減らすかどうかを試したわけではなく、この結果から導いた提案です。要旨だけを確認した研究であり、返品やキャンセルのように本当に必要な安全策まで手放すべきだという意味ではありません。

本当に似た二つの選択肢のあいだで長く迷っているなら、コインを投げてみるのも一つの方法です。米国シカゴ大学の経済学者が運営したウェブサイトで、決められずにいた人たちがコインを投げた実験(分析されたのは22,511回)では、「変える」を意味する表が出た人は、裏が出た人より、2か月後に実際に変えたと答えた割合が24.9ポイント高くなっていました。転職や別れのような大事な決定では、コインが変えるよう示した人たちが、6か月後により幸せだと答えていました。ただし、自分からサイトを訪れた人たちなので代表性はなく、答えはすべて自己報告です(Levitt, 2016)。コインの結果を見た瞬間の「それは違う」といった気持ちに気づくことも役に立ちます。オンライン参加者78人と87人が架空のコース料理を選んだ二つの実験では、コインやサイコロの提案を見た人のほうが、自分が何を望んでいるかをよりはっきり感じたと答えました(Jaffé ほか, 2019)。

決定を何度も先延ばししてしまうなら、「金曜日の夜までに決める」のように決める日を決め、それまでに集めた情報で選ぶのも一つの方法です。優柔不断について特に試された方法ではありません。

不安や気分の落ち込みと一緒にあるとき

以前より目に見えて決めるのが難しくなったなら、気分もあわせて確かめてみてください。ICD-11は、うつ病エピソードの症状の一つとして「課題に集中し注意を保つ力の低下、または著しい優柔不断」を挙げており、抑うつ気分か興味の低下を含む五つ以上の症状が、少なくとも2週間、ほぼ毎日、1日の大半続くときにうつ病エピソードとしています(WHO, 2024)。オンラインで成人602人を調べた研究でも、優柔不断は抑うつ症状と強く関連していました(Hallenbeck ほか, 2022)。以前は簡単だった決定さえ負担に感じ、興味や気力の落ちた日が2週間以上ほぼ毎日続くなら、うつ病の症状とうつのセルフチェック(PHQ-9)を確かめてみてください。こうしたセルフチェックは診断ではなく、いまの状態を確かめる道具です。

心配のせいで決められないことがいろいろな領域に広がり、何か月も続いているなら、不安の症状と不安のセルフチェック(GAD-7)もあわせて見てください。優柔不断は、強迫症や強迫性パーソナリティ障害でよく挙げられる症状です(Frost & Shows, 1993)。ICD-11も、パーソナリティ障害の特性領域のうちアナンカスティア(anankastia)が目立つ人は、すべての側面や選択肢を考え尽くしていないのではと心配して決めるのが難しくなると記しています(WHO, 2024)。しかし、決めるのが難しいというだけで強迫症ではありません。強迫症は、望まない考えが繰り返し浮かぶ強迫観念や、それに応じて確認などの行為を繰り返す強迫行為があり、それが例えば1日1時間を超えたり、強い苦痛や支障をもたらしたりするときに診断されます(WHO, 2024)。思い当たるなら、強迫症(強迫性障害)を読んでみてください。

不安に関連する障害では、不確実さに耐える力を育てる治療が効果を示しています。28件のランダム化比較試験をまとめたメタ分析では、根拠にもとづく治療は対照群より不確実性への不耐性を大きく減らしました(g = 0.89)(Miller & McGuire, 2023)。こうした治療が優柔不断まで減らすかどうかを直接示した資料は見つかりませんでしたが、先の実験の研究チームは、不確実さに耐える力を育てることを、優柔不断を減らす有望な方法と見ています(Appel & Gerlach, 2025)。決められないことで生活が大きく揺らいでいるなら、一人で直そうとがんばるより、かかりつけ医や精神科・心療内科、大学の学生相談室に相談してみてください。

決定一つできない自分が情けなく感じられ、何もかも無駄だと思うほどになったら、一人で抱えないでください。死にたい気持ちがあるなら、すぐに「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。

よくある質問

Q. 決めるのが苦手なのは病気ですか? A. いいえ。優柔不断は診断名ではなく、性格に関連する傾向です(WHO, 2024)。ただ、決めることが急にずっと難しくなり、気分の落ち込みや興味の低下が2週間以上一緒に続いているなら、うつ病エピソードの症状のこともあるので、専門家に相談してください(WHO, 2024)。

Q. 優柔不断な性格は変えられますか? A. 優柔不断そのものを減らす治療を試した研究は、この記事のために探した範囲では見つかりませんでした。ただ、ある実験の実際のお金がかかった宝くじ選びでは、不確実さをもっと警戒するよう助言する文章を書いた人のほうが、反対の文章を書いた人より優柔不断でした。実際に抱えている決定では差は有意ではなく、短い作文課題なので効果が長く続くとは考えにくいと研究チームも述べています(Appel & Gerlach, 2025)。不安に関連する障害の治療は、不確実性への不耐性を大きく減らしました(Miller & McGuire, 2023)。基準を先に決め、候補を絞る習慣は、今日からでも試せます。

Q. MBTIでPが出たら優柔不断なのですか? A. そうとは言えません。J/Pは生活や仕事の進め方についての好みで、優柔不断の研究は別の尺度を使います。ビッグファイブの研究では、神経症傾向(情緒の不安定さ)が優柔不断と最も高い相関を示すという整理があります(Bratko & Cetina, 2021)。

Q. 選択肢が多いのは、いつでもよくないのですか? A. いいえ。50件の実験をまとめたメタ分析では平均の効果はほぼゼロで(Scheibehenne ほか, 2010)、望むものがはっきりしないときや選択肢が複雑なときに選択過多が起こりやすくなっていました(Chernev ほか, 2015)。

Q. 結局はマキシマイザーのほうがうまくいくのでは? A. ある研究では、内定を受け入れた卒業予定者のうち最大化傾向の高い人は年収が約20%高かったものの、得た仕事への満足度は低くなっていました(Iyengar ほか, 2006)。最善を望む目標そのものは不幸と関連しないようで、際限のない比較や決定の困難のほうが不満と強く関係するという解釈があります(Cheek & Schwartz, 2016)。

Q. 一つも決められない自分が嫌で、消えてしまいたいと思います。 A. 一人で抱えないでください。すぐに相談窓口(よりそいホットライン 0120-279-338、24時間・無料)に連絡してください。今すぐ命の危険があるときは、119(救急)または110(警察)に連絡してください。

参考文献:Cheek, N. N., & Goebel, J. (2020), What does it mean to maximize? “Decision difficulty,” indecisiveness, and the jingle-jangle fallacies in the measurement of maximizing, Judgment and Decision Making 15(1), 7-24, https://doi.org/10.1017/S1930297500006884; World Health Organization (2024), Clinical descriptions and diagnostic requirements for ICD-11 mental, behavioural and neurodevelopmental disorders (CDDR), https://www.who.int/publications/i/item/9789240077263; Appel, H., & Gerlach, A. L. (2025), Intolerance of uncertainty causally affects indecisiveness, British Journal of Clinical Psychology 64(3), 806-816, https://doi.org/10.1111/bjc.12534; Jeong, C. (2023), Are the words I use discriminatory? “Short-sleeve tee”, “decision disability” and other expressions that feel uncomfortable once you know [in Korean], Hangeul Munhwa Yeondae student reporters, https://www.urimal.org/4597; Frost, R. O., & Shows, D. L. 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