関係ガイド
回避型愛着との付き合い方:距離を置きたくなる気持ちに気づく練習
近づくほど息苦しく、一人が楽なら、回避型の自分のための練習から。距離を置くサインへの気づき方、引く前に時間をもらうひと言、少しずつ近さに慣れる方法をまとめました。
回避型は人が嫌いなのではなく、頼らないやり方を先に身につけた状態です
愛着スタイル診断で回避型と出ると、「自分は情のない人間なのか」とまず思うかもしれません。でも大人の愛着の研究で、回避は冷たい性格を意味しません。身近な人に頼ったり寄りかかったりすることがどれだけ落ち着かないかを見る一つの軸で、見捨てられる心配の度合いである不安とあわせて、愛着を説明する二つの軸の一つです(Brennan、Clark、Shaver、1998年)。
研究者たちは、回避の点数が高い人がよく使う心の戦略を「不活性化方略」と呼んでいます。近づいても無駄だと感じたときに、助けを求める気持ちを抑えてつらいことを一人で片づけようとし、愛着の欲求そのものを否定したり、親密さや依存を避けて距離を広げたりするやり方です(Mikulincer、Shaver、Pereg、2003年)。がっかりする経験を減らすために身につけた守りなので、自分では「もともと一人のほうが楽な人間」と感じられることもあります。
この戦略には役に立つ面もあります。一人で問題を解いていく力や、感情に簡単には流されない落ち着きは強みにもなります。ただ親しい関係では、相手が突き放されたと感じたり、自分も必要なときに助けを受け取れなかったりする代償を払いやすくなります。このガイドは回避型の自分を変えなさいというものではなく、距離を置きたくなる瞬間に気づき、望むときには別の選択もできるようにするための練習をまとめたものです。
距離を置きたくなる瞬間
不活性化は、関係が近づく瞬間に特に起こりやすくなります。付き合うかどうかを決めるときや一緒に暮らす話が出たとき、恋人が寂しかったと気持ちを打ち明けたとき、けんかが長引いたとき、自分が体調を崩したり疲れたりして誰かの助けが必要なときが代表的です。
そのときに出る様子は人によって違います。連絡が減ったり忙しさを理由に会うのを先延ばしにしたり、相手の小さな欠点が急に大きく見えたり、「まだよくわからない」と決めるのを先送りしたり、過去の恋愛を思い出して今の関係と比べたりする、といった形です。恋愛心理を扱う一般書でも、こうした様子を不活性化のよくある例として紹介しています(LevineとHeller、2010年)。
大切なのは、こうした様子が必ずしも「相手が嫌い」という証拠ではないということです。近づくほど落ち着かなさが増す警報が鳴っているだけかもしれません。距離を置きたくなったとき、「この人がいやなのか、近づくことが落ち着かないのか」を一度分けて考えるだけでも、選択肢は広がります。ただし、相手が自分をけなしたり支配したりするなら、引きたい気持ちは自分を守るための正当なサインかもしれません(下の「一人では難しいとき」を参照)。
距離を置くサインに気づく方法
練習の第一歩は気づくことです。連絡を先延ばしにしたくなったとき、相手の言葉が急にわずらわしく感じられたとき、体にどんな感覚があるかを確かめてみましょう。息苦しさや詰まった感じ、急な疲れのように、体が先にサインを出すこともあります。
気づいたら名前をつけてみてください。「いま距離を置くボタンが押された」「近づくのが落ち着かなくて引きたくなっている」のように言葉にすると、衝動と自分の間に小さなすき間ができます。落ち着かなさの大きさを0から10の点数にして短く書き留めておくと、どんな場面でサインが強くなるのか、自分なりのパターンが見えてきます。
このとき、落ち着かなさを無理に消そうとする必要はありません。研究では、回避の点数が高い人は、つらい考えを押しのけ、否定的な感情を認めにくい傾向が報告されています(Mikulincer、Shaver、Pereg、2003年)。だからこそ、「いま落ち着かない」をそのまま認めること自体が、いつもとは違う選択になります。
引く前にひと言:時間をもらい、戻ってくる
距離を置きたいときに黙って消えるのと、時間が必要だと伝えてから引くのとでは、相手への伝わり方がまったく違います。何も言わずに連絡が途切れると、相手は見捨てられたと感じやすく、その不安がもっと頻繁な連絡や質問になって返ってきて、自分をさらに息苦しくさせる悪循環が生まれやすくなります。
だからこそ、引く前にひと言だけ残してみましょう。「一人で考えを整理する時間が少しほしい。離れたいわけじゃないから、明日の夜にこっちから連絡するね」のように、必要なこと、離れていくのではないこと、戻ってくる時を一緒に伝えるのです。けんかの最中に感情が高ぶりすぎたとき、いったん止めて落ち着いてから戻ることは、夫婦関係を研究したゴットマンも勧めている方法です(GottmanとSilver、1999年)。
戻ると決めた時は必ず守ってください。約束どおりに戻る経験が重なると、相手は自分が引いても関係から離れるわけではないと信じられるようになり、自分も距離を取りながらそばにいられることを学べます。回避型の恋人がいる側の向き合い方は、回避型の恋人との話し方にまとめています。
少しずつ近さに慣れる練習
回避の傾向も、固まった性格というより、関係の経験の中で変わりうるパターンと考えられています。子どものころの親との関係がつらかったと振り返りながらも、いまは安定型の人のようにその経験を落ち着いて筋道立てて語れる人たちがいて、研究者は彼らを「獲得された安定」に分類しました(Pearson、Cohn、Cowan、Cowan、1994年)。回避が高いときにどんな経験が助けになりうるかは、安定型愛着に近づく方法で詳しく読めます。
練習は、自分を尊重してくれる関係の中で、小さく始めるのがおすすめです。一日一回いまの気持ちを一言で伝えてみる、小さな手助けを断らずに受けてみる、ささいなお願いを自分からしてみる、難しい話し合いであと5分だけとどまってみる、といった具合です。落ち着かなさがゼロになるのを待つより、落ち着かないままでもできる大きさを選ぶのです。
一緒に練習する相手も大切です。自分が引いたときに追いかけて責めるより待ってくれて、戻ったときに快く迎えてくれる人との経験が、いちばん大きな練習になることもあります。相手が不安型なら、二人の警報が反対向きに鳴ることを一緒に理解するところから始めてみましょう。組み合わせごとの流れは愛着スタイル別の恋愛傾向で読めます。
一人では難しいとき
長年のパターンは、一人では変えにくいこともあります。親しい関係が何度も同じ形で終わる、恋人と同じ衝突が繰り返されるといった場合は、カウンセリングを受けてみるのも一つの方法です。個人カウンセリングでは距離を置くことがいつどのように始まったのかを一緒に振り返れますし、カップルカウンセリングには、愛着の視点から二人の循環を扱うアプローチもあります(Johnson、2008年)。
人を避けたい気持ちが恋愛を越えて友人や家族、日常全体に広がり、無気力や落ち込んだ気分が2週間以上続くなら、愛着のパターンより気分の問題かもしれません。うつのセルフチェック(PHQ-9)でいまの状態を言葉にしてみて、専門家に相談してみてください。このチェックは診断ではありません。
また、距離を置きたい気持ちが相手の行動に対する正当なサインであることもあります。恋人に支配されたり、脅されたり、けなされたりしているなら、それは自分の愛着の問題ではなく安全の問題です。そのときは、とどまる練習より先に、信頼できる人や専門の窓口に助けを求めてください。どんな行動が危険なサインか、相談先はどこかは、回避型の恋人との話し方の「愛着の問題ではないとき」にまとめています。
心がつらすぎて自分を傷つけたい気持ちになったときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)にいつでも連絡できます。
回避型愛着についてよくある質問
Q. 回避型は直せる? A. 直すべき欠点というより、変わりうるパターンです。距離を置くサインに気づき、引くときにひと言を残し、小さな近さを繰り返し経験するうちに、安定寄りに移っていけると考えられています。数か月後にもう一度診断を受けて、不安と回避の点数を比べてみるのも変化を確かめる方法です。
Q. 回避型と内向型は同じ? A. 違います。内向は人と関わる活動からどれだけ活力を得るかに関わる性格の傾向で、回避は身近な人に頼ることがどれだけ落ち着かないかに関わる愛着の軸です。内向的でも恋人に気楽に頼れる人もいれば、社交的でも関係が深まった途端に引いてしまう人もいます。回避型が多いMBTIタイプが本当にあるのかは、「MBTIと愛着スタイル」のガイドで別に取り上げました。
Q. 恋人に寂しかったと言われたら、どうすればいい? A. すぐに解決策を出したりその場を離れたりする前に、「そう感じたんだね」のように、まず相手の気持ちを受け止めるひと言が役に立ちます。その瞬間がつらすぎるなら、時間をもらい、いつ戻るかを決めて伝えてみてください。
Q. 回避型と恐れ・回避型はどう違う? A. どちらも距離を置く様子がありますが、恐れ・回避型は見捨てられる不安も高いため、近づきたい気持ちと引きたい気持ちが一緒に大きくなるのが特徴です。回避型は見捨てられる心配が少なめなので、距離を置くほうに傾きやすくなります。
参考文献:Brennan, Clark & Shaver (1998), Attachment Theory and Close Relationships(Simpson & Rholes 編); Mikulincer, Shaver & Pereg (2003), Motivation and Emotion 27(2), 77-102, https://doi.org/10.1023/A:1024515519160; Pearson, Cohn, Cowan & Cowan (1994), Development and Psychopathology 6(2); Gottman & Silver (1999), The Seven Principles for Making Marriage Work; Johnson (2008), Hold Me Tight; Levine & Heller (2010), Attached.
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