関係ガイド
不安型愛着との付き合い方:確かめたい気持ちを落ち着かせる練習
返信ひとつで一日が揺れるなら、相手ではなく自分のための練習から。確かめたい衝動を体から落ち着かせる方法、20分ルール、プロテスト行動の代わりに頼む言葉、安心感の育て方をまとめました。
不安型愛着は「愛が重い」のではなく、警報が敏感な状態です
返信が少し遅れただけで最悪のシナリオが頭に広がる、相手の文面がいつもより短いと「何かしたかな」と一日中考えてしまう。そんなときは不安型の愛着が働いているのかもしれません。大人の愛着研究は、1987年にヘイザンとシェイバーが恋愛を愛着の視点でとらえたことから本格的に始まりました。今では、ブレナンやフレイリーらが発展させたECR尺度のように、「不安」と「回避」の二つの軸の点数で読む方法が広く使われています。
ここでいう「不安」の軸は、拒まれたり見捨てられたりすることへの心配の強さと、相手が本当に自分を愛しているか確かめたい気持ちの大きさを表します。研究者のミクリンサーとシェイバーは、これを愛着の欲求を強く働かせる「過活性化方略」と説明しています。関係の危険サインをいち早く察知するために、警報装置の感度をめいっぱい上げている状態と考えるとわかりやすいでしょう。
この警報は、もともと自分を守るために生まれたものです。不安型の人は相手の気分の変化によく気づき、関係に心を尽くし、すれ違いを修復しようと先に手を差しのべる強みを持っています。問題は、警報があまりに頻繁に鳴って、自分も相手も疲れてしまうときです。この記事は警報を切る方法ではなく、感度を少し下げ、鳴ったときに振り回されにくくなる方法を扱います。
不安が強まる瞬間と「プロテスト行動」
不安型の愛着が揺れる瞬間は、だいたい似ています。返信が遅いときや既読のまま返事がないとき、約束が変わったり取り消されたりしたとき、相手がひとりの時間をほしがるとき、SNSで知らない人との写真を見たときなど、「つながりが切れるかもしれない」というサインが見えると、心の警報が大きく鳴りはじめます。
このとき、つながりを取り戻そうとしてとる行動は、よく「プロテスト行動(protest behavior)」と呼ばれます。幼い子どもが養育者と離れるときに泣いてしがみつき、抗議する反応から来た言葉です。立て続けにメッセージを送る・電話をかける、「私がいなくても平気でしょ?」と探りを入れる、わざと返信を遅らせる、嫉妬させようとする、相手のSNSを何度も確認する、引き止めてほしくて自分から別れを切り出す、などがこれにあたります。
プロテスト行動は無理もない反応ですが、たいていは望むのと逆の結果を招きます。相手は不安よりも先にプレッシャーや非難を感じ取り、特に回避型寄りの相手なら、さらに遠ざかりがちです。すると不安はいっそう大きくなり、プロテスト行動も強まるという悪循環が生まれます。「今、プロテスト行動をしようとしているな」と気づくだけでも、循環を断ち切るすき間が生まれます。
不安が急に高まったときに自分を落ち着かせる方法
不安が急に高まると、考えより先に体が動きます。心臓がどきどきし、手がスマホに伸び、気づけばもうメッセージを打っている。だから最初のステップは、考えを変えることではなく体を落ち着かせることです。四つ数えながら吸い、六つ数えながらゆっくり吐く呼吸を何回か繰り返したり、立ち上がって水を飲み、少し歩いたりするだけでも、警報の音量が少し下がります。
次に「20分ルール」を試してみましょう。送りたいメッセージはまずメモ帳に書き、20分後に読み返してから送るかどうかを決めます。その間に、事実と解釈を分けて書き出すのも役立ちます。事実は「3時間返信がない」、解釈は「私に冷めた」です。そして、ほかの可能性を三つ書いてみます。「会議中」「スマホの充電が切れた」「疲れて休んでいる」のようにです。
不安になった瞬間を短く記録しておくのもおすすめです。いつ、何がきっかけで、どれくらい不安になり、実際にはどうなったかを書いていくと、「心配したことが本当に起きたことは思ったより少ない」と自分の目で確かめられます。この記録は、あとで恋人に自分のパターンを説明するときにも、カウンセリングを受けるときにも役立つ材料になります。
確認を迫る代わりにお願いする:望みの伝え方
不安型に必要なのは、確認したい気持ちを我慢することではなく、確認を健やかな形で頼むことです。安心したい気持ちは悪いものではありません。ただ、「なんで返信しないの?」という問い詰めと、「連絡が長くないと少し不安になるんだ。忙しいときは『忙しい』の一言だけ送ってくれる?」というお願いとでは、相手への届き方がまったく違います。
お願いは「気持ち+必要+具体的な行動」で組み立ててみましょう。「昨日、約束が急に変わって寂しかった(気持ち)。前もってわかっていると安心できる(必要)。次に変わりそうなときは前の日に教えてくれる?(行動)」のようにです。相手が守れるくらい小さく、はっきりしたお願いほどよいでしょう。言葉で確かめられると安心する人なら言葉での承認、一緒に過ごす時間に愛を感じる人なら質の高い時間というように、自分の愛の言語をあわせて伝えるのも役立ちます。
お願いがいつもそのまま受け入れられるとは限りません。相手が「毎回は難しいけど、お昼に一度は連絡するね」と調整案を出すこともあるでしょう。それは拒絶ではなく交渉です。自分の望みと相手の余裕のあいだで、二人とも守れる地点を見つける経験が重なるほど、自分の不安が支えていなくても関係は続いていく、という信頼が育ちます。
不安を大きくする関係、和らげる関係
不安型の愛着は、誰と一緒にいるかによって強まることも、静まることもあります。優しかったかと思えば急に冷たくなる相手や、連絡にむらのある相手といると、警報はつねに鳴りっぱなしになります。予測できない関係はむしろ強い惹かれや「ときめき」のように感じられることもあり、不安を愛の大きさと取り違えやすいのです。
反対に、一貫していて反応の温かい安定型に近い人は、最初は物足りなく感じるかもしれません。やきもきすることがないからです。でも、その穏やかさこそ、警報が休んでいる状態です。新しい人と出会ったら、「どれくらいときめくか」だけでなく、「この人のそばで自分はどれくらい楽に息ができるか」も自分に問いかけてみてください。
すでに回避型寄りの恋人と一緒にいるなら、二人は「追う・引く」の循環に入りやすくなります。この循環を相手側からどうほどくかは、回避型の恋人との話し方で扱っています。恋人だけでなく、友人や家族など信頼して頼れる関係をいくつか持っておくことも、不安をひとりの人に全部向けないための大切な安全網です。関係がすでに終わり、連絡したい衝動と闘っているなら、不安型の失恋からの回復を続けて読んでみてください。
安心感は時間をかけて育ちます
愛着は一生変わらない性格ではありません。子どものころの親との関係がつらかったと振り返りながらも、いまはその経験を安定型の人のように落ち着いて筋道立てて語れる人たちを、研究者は「獲得された安定(earned security)」に分類しています。変化は一度の気づきよりも、小さな経験の繰り返しの中でゆっくり起こります。変化の幅と、その変化を助けうる経験については、安定型愛着に近づく方法で研究とあわせて紹介しています。
不安型の愛着は「自分は愛される価値があるのか」という疑いと結びついていることが多いため、自己肯定感を大切にすることが、そのまま愛着を大切にすることにもなります。相手の反応ではなく、自分との小さな約束を守ることで自分の価値を確かめる練習をしてみてください。具体的な習慣は自己肯定感を高める方法にまとめてあり、今の自己肯定感が気になるなら自己肯定感テストで確かめられます。
ひとりで抱えるのが重いなら、カウンセリングの助けを借りるのもよい選択です。認知行動療法のように不安な考えのパターンを扱う方法もあり、恋人と一緒なら愛着の視点から関係のパターンを扱うカップルカウンセリングもあります。数か月おきに愛着スタイル診断を受け直して不安の点数の変化を比べると、目に見えにくい変化に気づく助けになります。
「不安型」という結果を読むときに覚えておきたいこと
不安型という結果は、自分の欠陥を証明するラベルではありません。同じ人でも、ある関係では不安が強く、別の関係ではほとんど表れないことがあります。点数の詳しい読み方は、愛着スタイルの結果を一般化しすぎずに読む方法で確かめてみてください。
また、関係の中の不安と、生活全体に広がる不安は分けて考える必要があります。恋人とは関係なく心配が止まらない、眠れなかったり日常生活がつらくなったりするほど緊張が続く、という場合は、愛着よりも不安の症状そのものに目を向けたほうがよいかもしれません。そんなときは、不安のセルフチェック(GAD-7)のようなスクリーニングで今の状態を確かめ、専門家に相談することをおすすめします。
最後に、自分の不安が、相手の行動に対するまっとうな警告である場合もあります。恋人が繰り返し嘘をつく、自分を支配したり脅したりするなら、それは自分の愛着の問題ではなく安全の問題です。そのときは信頼できる人や専門の窓口にまず助けを求めてください。どんな行動が危険のサインか、どこに相談できるかは、回避型の恋人との話し方の「愛着の問題ではないとき」にまとめています。起きたことについて自分の記憶や知覚が間違っていると繰り返し言われ、自分をだんだん信じられなくなっているなら、そのパターンはガスライティングで別に扱っています。心がつらすぎて自分を傷つけたい気持ちになったときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)にいつでも連絡できます。
参考文献:Hazan & Shaver (1987), Journal of Personality and Social Psychology 52(3); Bowlby (1973), Attachment and Loss, Vol. 2: Separation; Brennan, Clark & Shaver (1998), Simpson & Rholes 編 Attachment Theory and Close Relationships; Fraley, Waller & Brennan (2000), Journal of Personality and Social Psychology 78(2); Pearson, Cohn, Cowan & Cowan (1994), Development and Psychopathology 6(2); Mikulincer & Shaver (2016), Attachment in Adulthood 第2版; Levine & Heller (2010), Attached.
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