こころのガイド
習慣化にかかる期間は? 21日説の真偽と、習慣を身につける・やめる方法
習慣は21日で身につく? 研究でわかった習慣化にかかる期間、新しい習慣を続けるコツ、悪い習慣のやめ方、三日坊主や意志力についての誤解を整理。
習慣とは:心理学でいう習慣と、ただよくすることの違い
日常では、よくすることを「習慣」と呼びますが、心理学でいう習慣とは、その行動と結びついてきた状況の手がかりがあると、自動的に引き起こされる行動のことです。同じ状況で簡単な行動をくり返すと、やがてその状況を見るだけで行動が自然に出てくるようになります(Gardner ほか, 2012)。習慣は、手がかりを見ると「したい」という衝動が生まれる過程なので、その衝動が意識的な決定とぶつかれば、いつも行動につながるとは限りません(Gardner, 2015)。
最初は目標のためにしていた行動も、同じ場所や同じ直前の行動とくり返し結びつくと、やがて目標を通さずに状況がそのまま行動を呼び起こすようになります(Wood & Neal, 2007)。そのため習慣は、やる気や興味がなくなったあとも続きやすいのです(Gardner ほか, 2012)。1時間ごとに日常を記録した2つの日記研究では、ほぼ毎日同じ状況でしている行動をしているとき、人はその行動と関係のないことを考えていることが多く、ストレスも少なく感じていました(Wood ほか, 2002)。
習慣は、望む気持ちと食い違うときにも働きます。映画館でいつもポップコーンを食べていた人たちは、空腹や味にあまり左右されず、しけたポップコーンも新しいものと同じだけ食べましたが、映画館以外の場所や、利き手でないほうの手で食べるときはそうなりませんでした(Neal ほか, 2011)。この記事では、習慣になるまで実際にどのくらいかかるのか、新しい習慣を定着させるコツ、悪い習慣のやめ方、よくある誤解を研究からまとめます。
習慣になるまでどのくらい? 21日説の出どころと66日
「21日で習慣になる」という話は広く知られています。習慣の研究者は、この話は美容整形を受けた患者がたいてい21日以内に新しい外見に慣れたという逸話から出たものらしいと説明しています(Gardner ほか, 2012)。大衆文化では、1960年の本『サイコ・サイバネティクス』に由来する考えとしてよく語られます(Gardner ほか, 2012; Singh ほか, 2024)。
実際に測った研究があります。96人が「朝食のあと」のように毎日同じ状況で、食べる・飲む・体を動かすことのうち一つを12週間行い、その行動がどのくらい自動的になったかを毎日記録しました。十分なデータのあった82人を分析し(曲線が当てはまったのは62人、よく当てはまったのは39人)、自動的にできる度合いがその人なりの最高の水準にほぼ達するまでの期間は、人によって18日から254日までばらつきました。観察期間は84日だったので、それより長い値は曲線を延ばして推定したものです(Lally ほか, 2010)。よく引用される66日は、この研究の中央値です(Lally ほか, 2010; Singh ほか, 2024)。
健康行動の習慣化を扱った20本の研究(2,601人)をまとめた系統的レビューでは、習慣になるまでの期間を報告していた研究は4本だけでした。中央値は59〜66日、平均は106〜154日で、人によって4日から335日までばらつきました。著者らは、ほとんどの健康行動が自動的になるまでに2〜5か月かかるとまとめています(Singh ほか, 2024)。そのうち食習慣の研究の中央値59日は、習慣ができた人だけの値で、研究の決めた基準に達した人は23%でした(Keller ほか, 2021; Singh ほか, 2024)。
行動によっても違います。米国のジム会員30,110人の出席記録と、病院職員3,124人の手洗い記録を機械学習で分析し、行動が状況からどのくらい予測できるようになったかで習慣を測った研究では、ジム通いはふつう4〜7か月かかりましたが、病院での手洗いは数週間(勤務9〜10回)でした。研究者は、ジム通いのほうが頻度が低く、より複雑な行動であることを理由の一つとして挙げています(Buyalskaya ほか, 2023)。結局、大切なのは日数より、同じ状況でどれだけ一貫してくり返したかです。1日に何度もする行動は、週に1回の活動より短い期間で習慣になると考えられます(Gardner ほか, 2022)。
新しい習慣を定着させるコツ
新しい習慣は、同じ手がかり、同じ状況でくり返すときに定着します。「昼休みになったら」のように、すでにある毎日の流れの中の手がかりを選ぶと、手軽で安定した出発点になります(Gardner ほか, 2012)。192人を無作為に分けた試験では、「朝食のあと」のように日課に結びつけても、決まった時刻に結びつけても同じくらいで、決めたとおりに実際にくり返したことが、自動性を予測する重要な要因でした(Keller ほか, 2021)。歯みがきのあとにフロスをするよう案内された人は、歯みがきの前にと案内された人より習慣が強くなる傾向があり、8か月後もよく使っていたという小さな探索的研究(50人)もあります(Judah ほか, 2013)。よく「習慣の積み重ね」と呼ばれる方法はこれに近いものです。
いつ、どこで、何をするかを「もし〜なら〜する」の形で決めておく実行意図も役に立ちます。94本の研究をまとめたメタ解析では、こうした計画を立てた人は、目標を決めただけの人より目標の達成度が中〜大程度高くなりました(d = 0.65; Gollwitzer & Sheeran, 2006; Rozental ほか, 2018)。642の検証をまとめた最近の分析では、結果の種類によって効果量は0.27〜0.66で、「もし〜なら」の形がきちんとしているとき、目標を本当に達成したいと思っているとき、計画を前もって唱えて練習したときに効果が大きくなりました(Sheeran ほか, 2025)。ただし、これらの研究は習慣ができたかどうかを直接測ったものではありません。計画の立て方は先延ばしのガイドにくわしくまとめています。
小さく、簡単に始めましょう。簡単な行動ほど早く習慣になります(Gardner ほか, 2012)。新しくジムに入会した111人を12週間追った研究では、一貫性、行動の簡単さ、環境、運動が楽しいという感覚が、習慣ができることを予測しました(Kaushal & Rhodes, 2015)。同じ回数をくり返しても、その行動が楽しかったり、それ自体をしたいと思えたりするほど習慣は強くなり、「役に立つ」「体によい」という考えはそうではありませんでした(118人の探索的研究; Judah ほか, 2018)。
記録をつけ、やりやすくしておきましょう。目標に向けた進み具合を確かめるよう促した実験138本(19,951人)をまとめたメタ解析では、確かめるよう促されたほうが対照条件より目標を多く達成し(d = 0.40)、実際に書きとめたときに効果が大きくなりました(Harkin ほか, 2016)。食べ物を手の届きにくい場所に置くと食べる量が減ったという研究をまとめたコクランレビューもありますが(12本、1,098人)、多くは実験室での研究で、根拠の確実性は低いものでした(Hollands ほか, 2019)。
習慣の原理を使ったプログラムの効果は、おおむね控えめです。習慣化の原理を使った体重管理の試験5本(630人)をまとめたメタ解析では、8〜14週間後に対照群より平均1.4kg多く減り(Cleo ほか, 2020)、英国のプライマリケアで537人を無作為に分けた試験では、習慣づくりの案内を受けた群が3か月で通常の診療より0.87kg多く減ったものの、2年後には通常の診療の群も同じくらい減っていました(Beeken ほか, 2017)。米国のジム会員61,293人に4週間のプログラム54種類を試した研究では、運動を休んだあとに戻ると小さなご褒美がもらえるプログラムがもっとも効果的でしたが(プラセボ対照より週0.40回、27%多い)、プログラムが終わったあとも有意な効果が残ったのは8%だけでした(Milkman ほか, 2021)。
意志力より、くり返しと環境が大切な理由
意志力の強い人は誘惑によく耐えられる人だと考えがちです。ところが、205人が1週間、ポケベルが鳴るたびにそのときの欲求を記録した研究などで、自制心の高い人は誘惑に耐えようとがんばることがむしろ少なかったといいます(Hofmann ほか, 2012; Galla & Duckworth, 2015より引用)。102本の研究(32,648人)をまとめたメタ解析でも、自制心は意識的な努力が必要な行動より、自動的にする行動とより強く関連していました(de Ridder ほか, 2012)。
6つの研究(2,274人)では、自制心の高い人にはよい習慣が根づいており(最初の研究では健康的な間食、運動、規則正しい睡眠)、研究者は、がんばって我慢することより、よい習慣こそが自制心とよい結果をつなぐ大切な鎖なのかもしれないと考えました。ただし実験研究ではないため、因果関係は確定できません(Galla & Duckworth, 2015)。意志力は使うとすり減るという「自我消耗」の考えも、うまく再現されませんでした。23の実験室が同じ手順で2,141人を調べた事前登録の再現研究では、効果がd = 0.04と小さく、95%信頼区間(−0.07〜0.15)に0が含まれていました(Hagger ほか, 2016)。
決心するだけでは足りません。意図を中〜大程度変えた47の実験をまとめたメタ解析では、実際の行動は小〜中程度しか変わりませんでした(対照群と比べて意図d = 0.66、行動d = 0.36; Webb & Sheeran, 2006)。運動しようと決めた人のうち46%は、実際には推奨量まで運動できず(Rhodes & de Bruijn, 2013)、知識や決心を高める働きかけはたいてい短期的な変化しか生まないというまとめもあります(Wood & Neal, 2016)。ですから習慣には、意志よりも、同じ時間、同じ場所でくり返せるよう日課や環境を整えることのほうが役に立つかもしれません。つい手が伸びるスマホの習慣はスマホ依存(過依存)、睡眠にかかわる習慣は不眠症のガイドにまとめています。
悪い習慣のやめ方:状況を変え、代わりの行動を決める
悪い習慣をやめることは、新しい習慣を身につけることとは違い、より多くの努力が必要です(Gardner ほか, 2012)。習慣はゆっくり積み重なり、いまの目標やたまの例外くらいではあまり変わりません(Wood & Neal, 2007)。そのかわり、習慣が起きる状況が変わると揺らぎます。大学を移った学生の運動、新聞を読む、テレビを見るといった習慣は、それまでの状況が変わらないときだけ続き、状況が変わると、そのときの意図どおりに行動することもありました(Wood ほか, 2005)。
ですから、引っ越しのような大きな変化の直後は、新しい習慣を始めるのによい時期かもしれません。800人が参加したある現場実験では、環境にやさしい暮らしをすすめる働きかけは、最近引っ越した人でより効果的で、その「機会の窓」は引っ越し後およそ3か月と見られました(Verplanken & Roy, 2016)。新しい週、新しい月、新年、誕生日のように新しいスタートを感じる時期には、ダイエットの検索やジム通い、目標の宣言が増えたという研究もあります(Dai ほか, 2014)。
「しないこと」より「代わりに何をするか」を決めましょう。「お菓子を食べない」のように、しないことだけを決めた計画はかえってその習慣を強め、習慣が強いほどそうなりました(Adriaanse ほか, 2011a)。同じ状況でする別の行動を決めた計画は習慣を抑えることができましたが、その別の行動を本当に望んでいるときにだけ、実際の行動が変わりました(Adriaanse ほか, 2011b)。新年の抱負を立てたスウェーデンの1,066人を1年間追った研究でも、1年後に回答した人の55%が抱負を守れたと答え、「〜しない」より「〜する」という形の抱負のほうが多く守られていました(58.9%対47.1%; Oscarsson ほか, 2020)。
すでに根づいた習慣には、その瞬間に気づいて「やめておこう」と見張る方法がもっとも役立ったという日記研究もあります。ただし習慣そのものが弱まったわけではなく、この研究では手がかりを避ける方法は強い習慣には役立ちませんでした(Quinn ほか, 2010)。悪い習慣をやめながら同時によい習慣を身につける二本立てのやり方が、長続きする変化にもっともよいとまとめたレビューもあります(Wood & Neal, 2016)。
習慣ではなく助けが必要なとき
爪かみ、指しゃぶり、チックのように自分では止めにくいくり返しの行動には、「ハビット・リバーサル訓練(HRT)」という、治療者といっしょに行う行動療法があります。18本の研究(575人)をまとめたメタ解析では、対照条件より大きな効果がありました(d = 0.80; Bate ほか, 2011)。ただし、一つひとつの研究の参加者は少数でした。チックについてはチックのガイドで別にまとめています。
髪の毛をくり返し抜く抜毛症の薬物療法と行動療法の試験24本(857人)をまとめたメタ解析でも、ハビット・リバーサル訓練を含む行動療法が対照条件より大きな効果を示しました(Farhat ほか, 2020)。皮膚をくり返しむしる行動については、ハビット・リバーサル訓練を試した無作為化試験は2本しかなく、検討された試験の研究方法の質にも疑問がありました(Lee ほか, 2019)。こうした行動が日常生活に支障が出るほど続くなら、診断や治療が必要な状態かもしれないので、専門家に相談してください。
害があると分かっていてもやめられず、だんだん多くの時間を使うようになり、やめるとつらかったり強く引き寄せられたりするなら、単なる習慣ではなく依存や強迫かもしれません。そのときはゲーム依存症(ゲーム障害)、ギャンブル、スマホ依存(過依存)、お酒の問題、薬物依存、強迫症のガイドを参考にしてください。毎日習慣のようにゲームをするだけではゲーム障害にはならないことも、ゲームのガイドにまとめています。
よくある5つの誤解
誤解1 21日で習慣になる。21日という数字は美容整形の患者の慣れについての逸話から出たものらしく(Gardner ほか, 2012)、実際に測った研究では人によって18日から254日まで大きく違いました(Lally ほか, 2010)。習慣になる「魔法の数字」があるという思い込みとは違い、ジム通いは数か月、病院での手洗いは数週間かかりました(Buyalskaya ほか, 2023)。
誤解2 1日休むと最初からやり直しになる。1回抜かしても、習慣ができる過程に大きな影響はありませんでした(Lally ほか, 2010)。抜かした日の影響は一時的で、長い目で見ると消えたという研究もあります(Gardner ほか, 2022)。運動を休んだあと戻ってくると小さなご褒美がもらえる方法がもっとも効果的だったように、大切なのは次の日にまた続けることです(Milkman ほか, 2021)。
誤解3 意志力が強くないと習慣はつくれない。自制心の高い人は、誘惑をぐっと我慢するより、よい習慣に頼っていることが多くありました(Galla & Duckworth, 2015)。とはいえ、意志がまったくいらないわけではありません。新年の抱負を最後まで守った人は、守れなかった人より、手がかりの調整やご褒美とともに意志力も多く使ったと答えています(Norcross & Vangarelli, 1988)。
誤解4 やる気さえ十分ならいい。決心の強さが大きく変わっても、行動はそれほど変わらず(Webb & Sheeran, 2006)、運動しようと決めた人のうち46%は、実際には推奨量まで運動できませんでした(Rhodes & de Bruijn, 2013)。逆に習慣は、やる気や興味がなくなったあとも続きやすいものです(Gardner ほか, 2012)。
誤解5 三日坊主は意志が弱いからだ。「三日坊主」そのものを扱った研究はこの記事のために調べたなかでは見つかりませんでしたが、新年の抱負を立てた200人を2年間追った研究があります。最初の1週間守れた人は77%でしたが、2年後には19%で、最後まで守れた人も53%が少なくとも1回は破り、2年間で平均14回つまずいていました(Norcross & Vangarelli, 1988)。つまずくのはよくあることで、新しい週や新しい月のように仕切り直したくなる時期はまたやってきます(Dai ほか, 2014)。
よくある質問
Q. 習慣になったかどうかは、どうすればわかりますか? A. わざわざ考えたりがんばったりしなくても、その状況になると自然にしているなら、習慣になったサインです(Gardner ほか, 2012)。研究でも、多くはこの度合いを本人に評価してもらって測っています(Gardner, 2015)。
Q. 一度にいくつも習慣をつくってもいいですか? A. これを直接比べた研究は、この記事のために調べたなかでは見つかりませんでした。簡単な行動ほど早く習慣になるので(Gardner ほか, 2012)、小さな習慣を一つから始めることをおすすめします。
Q. 習慣アプリや習慣トラッカーは効果がありますか? A. 特定のアプリを試した研究はここでは扱っていません。ただ、進み具合を確かめるよう促した実験では、対照条件より目標を多く達成し、実際に書きとめたときに効果が大きくなりました(Harkin ほか, 2016)。
Q. 朝にするほうがうまくいきますか? A. 学生48人が参加した小さな研究で、朝にストレッチをした人のほうが夜にした人より自動的になる時期が早いと、曲線を延ばして推定した結果がありますが(Fournier ほか, 2017)、決まったルールではありません。系統的レビューも朝の習慣のほうがおおむね強かったとまとめていますが、研究の数は少ないものでした(Singh ほか, 2024)。
Q. ビッグファイブのテストで、習慣が身につきやすいかわかりますか? A. いいえ。ビッグファイブ性格診断は、粘り強さに関わる誠実性を含め五つの性格特性を見る検査で、習慣が身につきやすいかどうかはわかりません。
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